赤薔薇の花嫁
ここで生まれる前は確か日本で学生をしていた気がする
なんとなくだが人のひしめくホームでバランスを崩した記憶があるから打ち所が悪かったか電車に轢かれるかして死んだのだろう
彼女だった記憶は曖昧だ
名前も 家族も覚えていない
だが確かに私は前世があった
「38番の健康状態は良好、しかし栄養剤の減りが悪いため改良の余地あり」
今日も小綺麗な50代前半くらいのおじさまが部屋に来る
勝手に心の中で博士と名付けた彼は私をチェックして小声でつぶやきながら何か書き付け 管の位置など直すとすぐ部屋から出て行った
私は生まれた時の記憶は無いがおそらくここでは無いところで生まれ持ち帰られたのだろう
なんだか土が合わ無いというか 収まりの悪さを常に感じる
私は珍しいのだろうか?
自分と博士と世話してくれる無口な老人しか知ら無いから解ら無いが おそらく常に観察されモルモットのように逃れられ無い箱庭で飼われてる程度には珍しいのだろう
先を整えるようにハサミを入れられる、綺麗にしてもらうのは好きだな
ショキショキと軽やかな金属音に癒される
さっぱりして そのまま前の癖で体を振るうと老人に動くなと怒られた
そんな…ただ植物のように生きろというのだろうか?
なんでも私には普段動か無いようにする訓練が必要だそうだ
昔に比べると格段に動いていないがそれでも隣にいる奴や他のものに比べると動きすぎだと老人は不満のようだ
老人と話したくても どうしようかと悩んでるうちにいつも帰ってしまう
前に手を掴んだら引き剥がされてから容易に触れる事もできなくなった
静かに時間ばかりが流れては消える
そんなある日 春が近づいてきたのかガラスから注ぐ光が温かくてうとうとしていたら何かが私を引っ張った
やめてほしい
そう思いはたくと幼い可愛らしい悲鳴が聞こえて驚く
頭がはっきりとしてきたので声の方を見ると可愛い少年が泣きそうな目で私を見てる
尻餅をついた彼を見てそこまでする気は無かったのにと 罪悪感がわいた
きっとこれが欲しくて私を引っ張ってしまったのだろう
そう目星をつけて近くの薔薇を折って差し出した
「え?もらっていいの」
戸惑いながらも少年は受け取ると嬉しそうに笑った
「ありがとう綺麗な薔薇さん」
とんでもないと私は手の代わりにしている枝をパタパタ振った
それからたまに少年が来るようになった
彼はなんでも博士の末の孫だそうで遊んでるうちにここに来たそうだ
そして博士は博士じゃなくて 植物の掛け合わせが趣味の早々隠居した皇帝だそうだ
どうりで38以上私みたいな変な植物を育て 幼かった私に温室まで作ってくれた金があるわけだ
私から見え無い部屋の入り口にあった札を少年が読んでくれたところによると私は騎士の薔薇と呼ばれる魔法植物の変わり種のようだ
普通の騎士の薔薇は共存できる動植物の巣に近づくそれ以外を無差別に蔓ではたく植物だそうだ
だが私は猫に蕾を差し出し猫じゃらしのようにおちょくって遊んでいるのを見つかり変な株だと売られて来たらしい
なんと 苗木の私はそんな事をしていたのか 羨ましい
記憶に無い猫との戯れを想像していると少年がじーっと私を見ていた
なんだいと尋ねるように蕾を伸ばし目の前で傾ける
「ぼくね お話ができる薔薇さんって初めてなの」
そうか 奇遇だね私もだよ
そううなずくと彼は笑ってくれた
「面白い薔薇さんだね」
そんな薔薇さんと話してくれるお坊ちゃんはいい子だね葉の先で痛く無いよう気をつけて手を撫ぜるとくすぐったかったのか更に笑みは深くなった
「面白い薔薇さんはお名前あるの?ぼくはアルバートって言うの」
前の名前はあるに含むのだろうか?
あった気がする でも思いだせない
わからなくて蕾をかしげると今度名前を付けてくれるそうだ
唯一喋ってくれるアルバートの事は大好きだし そんな彼から贈られるなら嬉しいことこの上無い
ブンブン蕾を縦に振るとアルバートは今度会う時につけてあげるねと言ってくれた
「ル・ベ・ル…ルベルはこう書くの」
この世界の文字はローマ字に似ているようだ 私の植わってる花壇のそばにアルバートは棒でガリガリと左から右に日に晒されたミミズのようなのたうち角張った字を書いた
これが私の名前らしい
私も自分の枝を伸ばしルベルと書いてみる
「んーこのルとこのルは違うんだよ、ここがねくるんって跳ねてるの」
正直ロシアの筆記体並みに読めない
とっさにわから無いから一文字ずつ区切って書いてもらった 似た形が多いせいか覚える大変そうだ
これとこれはどう違うのかと蕾を捻って聞いてみるとアクセントの強弱の違いだそうだ…早く読みやすい記号とかに代わってくれ無いだろうか?
アルバートがめげ無いので私も諦めずにルベルと書いていく
地面がルベルに覆われてきたのでざっと消しふかふかになってきた土を書きにくいかなと思い固くなれ固くなれと叩くとなぜか枝が刺さら無いほどになりアルバートに怒られた
不可抗力だ
「すごいねルベルって書けてきたよ」
これなんてすごい上手と褒めてくれた
とても嬉しい
褒められた字を丸く囲い私の方に矢印を向ける
ル ベ ル 枝先で1文字ずつ指し示し最後に自分を指す
「そうだね!薔薇さんはルベルだよ」
そこで今度は何も書いてい無い地面に同じ様に丸を書きアルバートを指す
わかってくれないかな
「え?えーと もしかしてぼくの名前?」
おー伝わった
ぶんぶん蕾を振るとアルバートの綴りを教えてくれた
愛称を呼んでもいいと言われたから とりあえずアルとだけでも書けるようになりたい
アルバート 素敵な響きな気がする
私はアルバートに見守られながら今度はアルの綴りを練習し始めた
『アル また 来た』
「そうだよ また来ちゃった、ルベルといる時が一番落ち着くんだもん仕方ないじゃないか」
『いっしょ 』
「ほんと?じゃあまた来ちゃお」
あれから数年が経ち少年は15歳くらいになった
最初はあんなに小さく女の子みたいに可愛らしかった少年は 伸びた手足にも筋肉が付き始めてまだ中性的な顔立ちながらその金髪も相まって若獅子のような精悍さを身につけた青年になりかけている
気がつくとこんなにも大きくなっていた少年は今だに私のところでおしゃべりをしていく
根はともかく 心に潤いなど無い生活ではこの少年だけが癒しだ
『今日 なに やる した』
「今日は古文の先生にお母様に告げ口されて怒られちゃったんだ、なぜ昨日やったところもわからないのです あの女の息子は優秀なのにこの子はまったくって…お母様もいいかげ僕を諦めてくれないかな」
『おつかれ』
「ありがとう」
彼に触れるために棘を落とした枝を伸ばし優しく髪を梳く
ご機嫌な猫のように目を細めるアルが本当は優秀なのは私と博士は知っている
だが皇位継承に巻き込まれたく無いからと早々に頭の弱いふりを始め なまじ天才肌のせいで誰一人違和感を感じさせてい無いようだ
博士には私の事を聞いたりするせいでばれてしまったが なにを言っても孫可愛さの盲目と流されるだろうからお爺様はいいのと言われていて 博士がすこし不憫だ
「ルベルは不思議だよね 中身はまるで人間で僕がどんな地位にいるのか理解もしてる、それなのに変わらず撫でてくれる そんなところが面白いよ」
『褒める 言葉 受る ありがとう』
「うん 褒めてる、こちらこそありがとう」
止り木で羽を休める鳥みたいに戻ってくる彼が好きだ
こっそり外に根を伸ばし始めてからは遠目から私に話しかける姿を見て皇子は夢見がちでいらっしゃると陰口をたたく奴等がいると知りながらも私に話しかける彼が好きだ
なぜだかどれだけ学んでも接続詞が書けないし 単語の並びさえ勝手に翻訳されてつたわっているのかあやふやな私の拙すぎる言葉に応えてくれる声が好きだ
そして 他の珍しい植物に脇目も振らずに私だけに向かってくる姿がたまらなく好きだ
友愛だか家族愛だかはたまた恋愛だかわからないが私は彼に執着している
「そういえば そろそろ誕生日なんだ、いい加減お爺様に君が欲しいってずっと頼んでるのにいい返事が貰えないから誕生日にねだる事にしたんだ…一緒に暮らしてくれる?」
『もちろん』
「僕が武官として働けるようになったら僕のお金で君にふさわしい綺麗な温室を作ってあげるから待っていて」
執着している相手からそんな風に言ってもらえて嬉しくない人などいるだろうか?
『楽しみ とても』
そう書くと彼は嬉しそうに笑った
その日は 熱い日だった
日も傾いてきたのにまだ蒸し蒸しとしたあまりの暑さについ温室の窓を少し開けてしまった
温室でぬくぬくと育ち 栄養をもらいまくって育った私は色々できるようになってきた
今日は作ったアレを見せて驚かしてあげよう
そう思っていると彼が来た
「おはようルベル」
『おはよう みて』
「なに?」
よく文字を見ようと屈んだ彼の頭があったところを一本の矢が通った
砕かれたガラスが大きな音を立てて落ちてくる
「っ!どうしよう」
アルバートをみると剣などは付けていない軽装、それなのに温室に向かってくる人影が幾つも見える
『アル 来て』
蔓で引っ張り無理やり文を見せたら自分の茂みを2つに割って中に連れ込む
「ルベル!なにするの!」
『黙る ある なに 黙る 黙る』
それでも叫ぼうとする彼の唇を傷つけないように一番柔らかい花弁で塞ぐ
『黙る お願い』
「…わかった」
そう言われたので花を退けまた引きずり込む
「え、なにこ」
中心にあるものを見るとまた声をあげようとしたので今度はしっかり花で抑えることにした
呻き声が聞こえるが 些事はいい
ただ彼が 私に普通に話しかけてくれる唯一の彼が死なないように
それだけを考えて彼をしっかり抱き込んだ
◇◆◇◆◇◆◇◆
騒ぎに気がついて駆けつけた頃にはもう遅かった
まさか 私の庭園に入り込む阿呆がいたとは
気でも狂ったようにこれまでおとなしかった変種の騎士の薔薇の蔓が無秩序に暴れる
その蔓は炎に包まれ無音なのに断末魔が聞こえそうな痛ましさを感じ 普段より何倍も大きく蔓を伸ばし空を掻いた
火の粉となって葉や花が舞い上がる
徐々に徐々に焼け落ちる薔薇の骨格の向こうには枝葉に隠されよく見えないものの座り込んだ小柄な人影が見えた
「アルバート!!」
その人影が火に巻かれ横倒しになった瞬間駆け寄ろうとしたが従者に止められる
「陛下!おやめください もうあの炎では助かりません」
「馬鹿者…可愛い孫が倒れたのだぞ!」
問答をしているうちも薔薇は崩れ落ち人影の上に降っていく
襲撃者は薔薇に火が回った事を確認したらすぐにいなくなってしまった、私が来た頃には手遅れ そんな事は頭でわかっても心が理解を拒絶する
「アルバート…」
火が収まった温室に脚を踏み入れると凄まじい熱気が足元から伝わってくる
お気に入りでやっとここまで大きく育てた38番の騎士の薔薇もガラスも見る影も無く 残るのは温室中心の人1人くらいの墨色の塊だけだ
アルバート あんなにも幼い頃から賢く 目立たないように皇位を棄てようと立ち回っていたのに、彼に一目惚れしたという高位貴族の令嬢との婚約が出た途端にこんな事になるなんて
きっと焦った兄の皇子達の誰かだろう
わかっていたのになにもできなかった自分の不甲斐なさに打ちのめされる
どんなに酷くても最期に一目見たい
そう思い塊の側まで行くと足元が小さく振動しているのに気が付いた
慌てて飛び退ると土の中から大量の蔓が出てくる
ああ、薔薇は無事だったのになぜ孫はいないのだろう
そう思いあまりの不条理につい刈り取ってやろうかと剣に手をかけた時蔓の塊が左右に開いた
「お爺様…」
「アルバート!」
ところどころ焦げているし弱ってはいるもののアルバートが生きていた!
普段は他の孫と同じ様に 贔屓しないように触れ合うのは最小限にしていたのにあまりの喜びに抱きしめてしまった
「お爺様 苦しいです」
「すまないアルバート しかしよくぞ無事でいてくれた」
私も 襲撃者も確かに人影が横倒しになるのを見たはずなのにアルバートは何もなかったかのようにそこにいる
首を傾げているとアルバートは38番の前に私を引っ張っていき薔薇に対して話しかけ始めた
「ルベル、よく知ってるだろうけど この人が僕のお爺様の前皇帝カルロ陛下だよ」
『よろしく』
「なんだこれは 凄いな」
地面に書かれる文字に感心してると孫に凄い目で見られていた
「これではありません 彼女です、訂正してください」
私に逆らうことなどなかったこの子が言葉の撤回を求めるなど想像したこともなかった
少しでも逸らすものかと足を踏ん張り目を見開いている様は私に逆らうのが怖いと示している、なのにこの子は一歩も引こうとはせずこの薔薇のために立っている
面白くなって笑うとアルバートの目が釣り上がる 口を開こうとした瞬間薔薇の蔓がアルバートの肩を叩くのが見えた
『大丈夫 薔薇 私』
「でもルベルは大切な人なのに!こんなに素敵な女の子なのに!!」
『薔薇 かわらない』
『 私 人 違う』
それを見た孫はなぜか泣きそうな顔で拳を握りしめた
「いやお嬢さんにこれ呼ばわりはなかったな 改めて挨拶しよう、よろしく薔薇のお嬢さん」
『よろしく』
「ところでお嬢さん なぜアルバートは助かったんだね?次回に活かしたいので教えてもらえないか」
『了解』
そう言うと彼女薔薇の燃えかすと人の倒れた跡みたいなところを指し示しまた地面に書き始めた
『私 アル 贈り物 土 人型 作る
前 私 守る 穴 土 掘り
アル 穴 入れる 人型 倒す 敵 アル 倒れる 思う
土 固める アル 守る』
なんとなくは解るが読みにくいな
しかし真面目に女性が書いたものにけちをつける程野暮ではない
「土の中で守ってくれたのかな?礼を言おう」
「お爺様 彼女は王族の命を救いました、平民でも騎士に取り立てられた前例さえあります それを礼の一言で終わらすのは不誠実ではないですか?」
「おお それもそうだな、何か望みはあるか」
他の者だったらこんな生意気な事を言えばただでは済ませないが 可愛い末っ子のたまにしかない我がままは出来るだけ聞いてやりたいものだ
『ない』
「それは困ったな」
ルベルと言ったかな 彼女の望みの褒美をやれば末っ子のご機嫌が取れそうなのに望みは無いと言われても私が困る
「僭越ながらお爺様 彼女に人の身分を与えては貰えませんか」
アルバートは何か思いついたかのように楽しげに笑いながらそう言った
◆◇◆◇◆◇◆◇
今日は舞踏会で重大な発表があると噂されていたのである程度以上の地位ある者達が離宮の大広間にひしめき合っていた
「僕は例え焔に焼かれても 僕を抱きしめていてくれるものと添い遂げたい」
そう末の王子が言った時 そんなものはいるものかと夢見がちな王子を皆笑った
「そして、先日 火に巻かれ殺されかけた時私を助けてくれた者がいます」
王子が入り口である二階の扉に駆け寄るとそこから1人の女性が現れた
その女性は濃い色のベールに包まれていて 臙脂と黒の重たい色のドレスを着ている事でやっと女性とわかる一分の隙もなく肌を覆いどんなものなのか一切わからない怪しい者だった
王族の前にもかかわらず車椅子から立ち上がることもなく王子に押されるがまま階段の上にたどり着く
「ここから挨拶する非礼をわびよう」堂々と何も非はないとばかりに一身に照明と視線を浴びながら王子は女性の隣に並び立ち手を取った
「婚約者のルベル・ローズ嬢だ、しかし彼女は喋れないし満足に動けないので許してやって欲しい」
あまりにも異様な婚約者の紹介に会場は多くのものがいるにもかかわらず静まり返っていた
「彼女は火に焼かれた後姿が変わってしまったのでこの様な姿になってしまったが、お爺様がその時居合わせておられたので彼女の保証はお爺様に頼んだ 間違いなく素晴らしい女性だ」
そう言い彼女の過剰なまでに飾り立てられた袖口を優しく攫い上げ 甲に口付ける
その動きだけで濃い薔薇の香りと焦げた匂いが下階まで広がった
王子は笑う愛しいと目で語る様に
彼女はただ有る
王子にとられた手を一瞥するとまた少しも動かなくなった
あまりに異様であまりにも釣り合わない
しかし口を挟む人はいない 彼のお爺様に逆らう人間などいやしない
「人とは信じられない姿だからな」
低い声が響く
誰よりも最後の入場 それがそのお方の地位を何よりも表す
階段の上の2人に近付くと蔑む様に一瞥をくれたあと口角を片方だけ引き上げ優しく語りかける
「ルベル・ローズ嬢 貴女には感謝しているがその見られぬ顔を出すのはいい気がしないな」
「お爺様 あんまりではございませんか」
前皇帝カルロ・ピアサネス陛下
未だ高官を支持者が占めている為 皇帝陛下でさえ逆らえぬ事実上の王
そのカルロ陛下に保証されたものにけちを付けるなど 思っていてもできやしない
「アルバート 王たる者配偶者は選べと話したな」
「覚えています、しかしながら私は王位か彼女かと言われたら迷わずルベルを望みます」
「そうか ならば早く彼女を娶り臣下にでも降りなさい、私が許そう」
「ありがとうございますお爺様」
朗らかに笑いながら 普通ならあり得ないことが推し進められていく
「今日は孫の花嫁が決まっためでたい日だ、杯を掲げよ」
戸惑いは確かにあった
しかし どうでもいい末の皇子の為に皇帝陛下に逆らおうと思う者などここには誰一人としていなかった
貼り付けられた笑顔で皆杯を掲げる
「若き二人に祝福を」
「「「祝福を」」」
持ち上げた杯を一際高く上げた時
その皇子の未来は定まった
◇◆◇◆◇◆◇◆
昔々、王を支えた騎士がいました
その騎士は臣下に降った皇子様にもかかわらず実力で騎士団長の地位にまで上り詰め 兄である皇帝をよく支えたそうです
その騎士が戦場に出る時は必ず真っ赤な薔薇を胸に一輪差して敵に挑みました
ある者がその薔薇について尋ねると嬉しそうに「御守りの花嫁の口付けだ」と答えたそうです
胸に矢を受けようとも奇跡的に帰還し 老衰で亡くなるまで活躍を続けた彼に多くの者が奇跡を感じ 憧れを抱きました
騎士とその花嫁にあやかり今でも戦場に向かう騎士に口付けと共に薔薇を贈る風習が残っています
なかでも彼の墓に植えられている立派な赤い騎士の薔薇を贈ると恋人は必ず戻ってくると言われていて
噎せ返るような薔薇の香りの中、今日も恋人達は眠る二人の前で無事を祈ります
赤薔薇の花嫁はいつまでもいつまでもそれを見ていました