8.許可と両親と
「ただいまー」
「おかえり!おにいちゃん!」
「お邪魔してます」
家に帰るとまずシルトに満面の笑みで迎えられ、リビングに入るとトルシィがいた。
「こんな時間にどうしたんだ?」
もう日も暮れてそろそろ晩御飯の時間だが。
「その……テスカの様子を見に来たら、晩御飯食べて泊まっていきなさいって……」
「ああ……母さんか。今日家は?」
「二人とも街に行ってる」
「そっか。そろそろ収穫の時期だしな」
トルシィの両親は商人……というか行商人で、この村で収穫したものを遠くの街に売りにいく仕事をしているため、親が行商に行っている間はトルシィはうちの子、と言って俺の親がよくトルシィを晩御飯に誘ったり、うちに泊めたりしている。
「そういえばおにいちゃんきょうはどこにいってたの?」
「ああ……ちょっとミクトさんのところに行ってた」
「ミクトさん? ……ああ!いちばんつよいひと!」
「忘れてたのか……」
「ミクトさんのところで何してたの?」
「えっと、修行、かな」
「……修行?何で?」
「もしかしておにいちゃん……」
「そのことでシルトに相談したいことがあるんだ」
「えっ? ……なにを?」
「俺、冒険者になろうと思ってる」
「えっ!?テスカ冒険者になるの!?」
「うん」
「……どうして?」
「やっぱり、日本に行くためにはそれが一番てっとり早いだろうし、それに俺は強くなりたいから」
「……」
「……日本って何?」
「……凄く遠いところにある大陸だよ」
「へー!何でそこに行きたいの?」
「……見に行きたいんだ」
「観光?」
「うん……まあ、そんな感じかな」
「…………ほんとはおにいちゃんにあぶないことしてほしくない」
「……うん」
「でも、おにいちゃんがぜったいしなないくらいつよくなったら……」
「……良いのか?」
「うん」
「……ありがとう」
「晩ごはんできたわよー!」
「「「はーい!」」」
絶対死なないくらい強くか……。
今度ミクトさんに《身体強化》とか教えてもらおう。
……………
「俺、冒険者になりたい」
当然、両親にも許可を貰わなければならない。
「……もう、決めたのね?」
「うん」
「……俺たちは、お前が決めたことにとやかく言うつもりはない。ただ、一つだけ約束してくれ」
「何を……?」
「冒険者になるなら、街へ行くのだろう?」
「うん」
「お前が街に行くと言ったらシルトも当然ついていくだろう」
「……うん」
「だから、約束だ。……絶対に俺たちより早く死ぬな。そして、シルトを守れ」
「……わかった」
「……それとな」
「?」
「『俺』はやめておけ」
「……え?」
「……せめて『僕』にしなさい」
「……はい?」
「本音を言うと、行ってほしくないんだけどねぇ……。でも、あなたが決めたことならとめないわ」
「……ありがとう」
「……たまには帰ってくるのよ?」
「はい!」
「それじゃあもう遅いし寝なさい」
「うん。……おやすみなさい」
明日はミクトさんに《身体強化》を教えて貰って……それから……。ふふふ……。
楽しみだ。この世界にも獣人はいるし、龍人という見たことない種族もいる。前世では全く観光できなかったから今世は楽しむぞ!
そう考えながら眠りにつき、そして
4年の月日が経った。
読んでくださってありがとうございます。
飛ぶぜー超飛ぶぜー