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夢の転生異世界へ  作者: オヨズマフタ
夢の続き
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7.修行と勘とアイテールと

「ミクトさん!」

「おう。来たか」


 昼飯を食べ終え、【アイテール】を持って急いでギルドに行って、ミクトさんに声をかける。


「それじゃあ早速始めるか。練習場借りるよー」

「あっ!ミクトさん!どうぞー」


 ミクトさんがギルドの受付嬢に許可をとり、ギルドの裏にある練習場に行く。

 練習場に着いたところでミクトさんがくるっと振り向いてこちらを見た。


「さて、これから修行を始めるわけだが……」

「はい」

「その……【アイテール】だっけか?それは結局話に出てきた剣と盾にしかなれないのか?」

「いえ……他にも色々な武器になれるようです」

「例えば?」

「えーっと……【アイテール 弓】」


 持ち手というか本体から棒と弦が出てきて弓になる。ついでに矢も出てきた。


「矢も出てくんのか……」

「そうみたいですね」

「他には何があるんだ?」

「……武器には大体なれるようですよ」

「……まあとりあえず俺が得意な武器からやるか」

「はい」

「じゃあまず片手剣からだ」

「はい。【アイテール 片手剣】」


 シュッという音がして弓部分が引っ込む。ついでに矢も引っ込んだ。……どこに入ってるんだ。


「まず自由に振ってみろ。悪いところは俺が修正する」

「はい!」


 言われた通り適当に振る。何回かブンブン振っても何も言われない。


「……」

「……あの」

「ん……? ああ、悪い」

「それで悪いところは……」

「……お前剣とか習ったこと無いんだよな?」

「? はい」

「……直すところは、無い」

「え?」

「実戦でどうなるかは知らんが振り方はできてる」

「本当ですか?」

「こんなことで嘘は言わねえよ」

「はあ……」


 前世で習ったとはいえ、身体が変わったからもう戦闘技術は覚えてないはずなんだが。


「次は……何かやりたい武器はあるか?」

「そうですね……弓矢とか」

「弓矢か、いいぞ」

「はい……あれ?」


 いつの間にか【アイテール】が弓の形になっている。


「そういえば言葉が通じるんだったな」

「そうでしたね。ありがとう【アイテール】」


【アイテール】が嬉しそうに震えた。


「じゃあさっきと同じだ適当に射ってみろ」

「はい!」


 ちょっと遠くにある木目掛けて射つ。矢が綺麗に飛んで、狙ったところに突き刺さった。


「……本当に習ってなかったんだよな」

「本当ですよ。ただ《勘》で射っただけで……」


 ……《勘》?

 まさかあのスキル……。武器を扱うときの《勘》にも効果があるのか?


「ミクトさん」

「あん?」

「もしかしたら今朝取得したスキルのせいかもしれません」

「なに?」

「《勘》っていうスキルで、説明には勘が鋭くなるとしか書いてなかったんですけど……」

「……武器を扱う勘も鋭くなんのか」

「そうっぽいです」

「……俺教えること無くねえか」

「……」

「……」

「……試合でもしてみるか」

「……はい」


 ……………


「じゃあ俺は木刀、お前は……【アイテール】は木刀とかも出せんのか?」

「出せるのか?」


【アイテール】に聞いてみる。ちょっと固まったあと持ち手はそのままに、刃の部分だけ木になった。

 やっぱりなれるのか。万能だな。


「じゃあそれで。武器替えもありだけど全部殺傷能力無いやつで頼むぞ」

「わかった?」


 俺がピンチになると勝手に動いて危ないので【アイテール】に確認しておく。【アイテール】が震えた。


「大丈夫です」

「よし、じゃあこのコインが地面に着いた瞬間にスタートだ」

「はい!」

「いくぞ……」


 ミクトさんの雰囲気が変わった。目がマジだ。そして、ミクトさんがコインを指で弾き、

 地面に……………………着いた。


 瞬間、ミクトさんが凄い勢いで接近してくる。身体能力の差が大きくて捉えきれない。《勘》で受ける。剣を構え、相手の剣が自分の剣の上を滑るように《勘》で動かし、受け流す。そうしてできた隙を逃さず攻撃、しない。これは罠だ。《勘》で相手がわざと受け流され、こちらの攻撃を誘っているのがわかる。誘いに乗らなかったのを見て、相手もすぐさま切り替える。相手が上段から斬りつけてくるのを避け、相棒の名前を呼ぶ。


「【アイテール ショットガン】」


 聞いたことの無い名前に、ミクトさんが一瞬動揺する。その動揺を見逃さずに、ゴム弾のショットガンを撃つ。


 決着は、ついた。


「いてて……」

「ありがとうございました」

「……さっきのは何だ?」

「企業秘密です」

「……非常に気になるがまあいい。まさか修行を始めて数十分で弟子が卒業するとは……」

「……すいません」

「いや、別にいいさ。面白かったしな」

「ははは……」


 ミクトさんには言っていないが、【アイテール】にはある能力……というか機能がついていた。

 それはイメージの共有化である。

 さっきのように、【アイテール】が知らない物にはいくら神器の【アイテール】といえど、なることはできない。

 そこでイメージの共有化だ。この機能によって、俺の頭の中。つまり前世のショットガンやロケットランチャー、マシンガンやレールガンなどの記憶を【アイテール】に伝えることができる。

 つまりテスカの記憶にある武器なら何でもなれるようになったということだ。


 ただしやはり実物を見たことが無いものを出現させるのにはそれなりにスタミナを使うようで、今のところ一日一回が限度らしい。慣れればもっと出せると言っていたが。


 ちなみに言っていたのは最近文字が書けるようになった【アイテール】だ。ペンは握れないので土に書いてもらっている。そのうちコイツ喋りだしそうで怖い。


「何はともあれこれで卒業だ。冒険者になるならギルド職員にお前のことを紹介するがどうする?」

「ちょっと考えさせてください。妹が何て言うかわからないので」

「わかった。決めたら俺のところに来てくれ。……シスコンだねぇ」

「ニヤニヤしないでください。……それでは、ありがとうございました」

「おう。じゃあな」


 さて、シルトは何て言うかな。

読んでくださってありがとうございます。


……うん、やっぱりじっくり強くなるはずがないよね。

前世が酷かったせいでこれでも遅く見える不思議。

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