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戦争

とある会場の一角。


「なに、あの人。女性のくせしてスーツで王宮のパーティーに出席するなんて常識外れもいいところですわ。」

「皇太子殿下と宰相殿が招待したとの噂もありますよ。」

「まあ。貧相な人がたぶらかして如何なさるおつもりなのかしら。」



とても酷い言い様。


「今回のパーティーは皇太子殿下と相手を探すパーティーですのに。」


「庶民が来るところではなくてよ。」

クスクスクスと笑う。

「少し知らないといけませんわね。」









「少しお借りしても宜しくて?」

金髪の可愛いドレスを着たお嬢様が私を見た。誰だこいつ。私と会談している三人に向かって言った。

「では殿方失礼します。」

私の合意せずに腕を引っ張っていく。そしてお嬢様方が集まる隅に連れてこられた。うん。なんかこのあとの展開が予想できる。


が、あえて拒否しなかった。


「貴女、ドレスも着ないで王宮でこんな格好して恥を知りなさい。」

中心部にいると思われし女性に言われた。

「貴女みたいな庶民が来るところではなくてよ。」


来たくて来たわけではないんだが。


「お帰りになって?」

周りのご令嬢方はクスクスクスと笑う。


「私は皇太子殿下と宰相殿にお話したいと言われて来たのでまだ帰れないんですが。」

と反論してみると、

「あの噂は本当でして?」

憎しみのこもった視線が集まる。おお、怖い怖い。


パシャ


お嬢様が持っていたワインが私の服にかかる。

「あらご免なさい。手が滑ってしまって。」

クスクスクス


周りの女性も笑う。


「滑ったのではなくてわざとかけたのに白々しいですね。」

この服は私が持っている中で一番上物なのに台無しにされた。腹が立つ。

「すみませんね。」

軽蔑、蔑み、庶民と見下す侮蔑の瞳。


「貴女みたいな汚い庶民が貴族の相手になれるわけがありませんのよ。」


いい加減鬱陶しくなった。そろそろ解放してほしかったから言ってしまった。


「何か勘違いをしている(頭の働かない)お嬢様みたいですね。私は今日、ここに呼ばれたのは政治的なものであって婚約者探しとかそういうのではありませんよ。(まあ貴女方はそれしか脳ミソにないから仕方ないか。)まおまけにで推測できないみたいですから教えて差し上げましょうか。」


つい本音が出てしまった。明らかに馬鹿にしていると思ったらしく、彼女達はワナワナ震えている。


会場の人は私達の様子に気がついていないみたいだ。さっさと帰ろう。このワインの染みは落ちるかな。落ちてほしいものです。

「生産性のある話題でしたら付き合いますが貴女方は無駄話なようですね。(鬱陶しい。)私は失礼します。」


と捨て台詞を残して近くの扉から出ていった。最後に見えたお嬢様方の表情が面白くて笑える。顔を真っ赤にして見てくる顔はアホ面だった。


会場を後にして笑いが込み上げる。必死に笑いを押さえながら視界が歪むが笑いのせいだと自分に言い聞かせる。早急にここを立ち去らねば。


私はヒールを履いていないから駆け出した。私の身長は160と少し。この国の女性の中では大きい方。だからヒールなんて持っていない。ヒール履いたらさらに大きくなってしまうから必要ない。


まあとりあえず一刻も早く王宮から出ていきたかった。


王宮から自宅まで徒歩で30分くらい。馬車はなくても大丈夫。もう夜になっているが比較的近いし問題ない。



あーあ。呼ばれたのに服を台無しにされるなんて。


厄介ごとはもうごめんだ。来るだけ損した。何だかとてもあっという間だったな…


私はそのまま王宮を出た。門番に体調が悪いので失礼しますと言い、即離れた。見えなくなるところまでくると、走り出した。




その頃王宮では、王子と宰相がアリスを探していた。

「ルーエ、アリス殿は?」

カールネストが聞くと、

「先程お嬢様方に呼ばれましてあの隅の方にいましたが…」


今は音楽が流れて皆ダンスをしている。それでバラバラに散らばったようだ。

「皇太子殿下、」

「宰相殿、」


後ろに女性が群がってくる。

「ルーエ、」

カールネストが呼ぼうとするがルーエは消えていた。




ルーエはあの二人が猛獣という名の女性陣に囲まれる前に避難した。巻き添えを喰らうのはごめんなのだ。

「先生はどこに行った?」

会場内を歩き回る。ドレスを着ていないから目立つはずなんだけど。


が見当たらなかった。暫く見回るがただえさえこの大勢人がいるホールの中、人を探すのは大変なことだ。仕方ないので宰相がいる所に戻った。と言っても、まだ囲まれている可能性があるから少し離れてはいるけれど。


宰相はルーエが戻ってくる前に。

「皇太子殿下、彼女もしかすると帰ったのかもしれないですね。探してくるので相手をお願い致します。」

カールネストはそういい、王子を置いて行こうとする。令嬢達に囲まれているから身動きもとりにくいが、王子を生け贄(?)にしてカールネストはその場から立ち去ろうとした。


先程から彼女の気配が感じない。会場を見てもスーツ姿の女性はいない。

「カールネスト、置いていくな。」

悲痛そうな声が聞こえるが無視する。背筋に悪寒が走ったのは気のせいだと思いたい。女性陣に偽りの微笑みを見せて失礼させてもらう。


早足で会場を出たが、ホールを出ると自然と脚がさらに加速していた。厩に向かわなければ。早く彼女の跡を追わないと。


これだけが頭の中をよぎっていた。


* * *



「よし。」

急いで鞍を取りつけ、愛馬のカザブランカに股がる。


「はっ!」

愛馬に走るよう指示を出して、真っ暗な道に走らせる。


「全くお騒がせな方ですね。」


最初に会った時を思い出す。公爵、しかもこの国の宰相を待たせるなんて度胸があると思った。彼女は薄汚れた白衣を着ていた。ドレスではなく男装をしているのに内心は驚くが表には出さない。


私が笑えば来てくれるだろうと思っていたが甘かった。


「行きません。」



あそこまで拒絶するなんて面白い人だと思った。私の誘いに乗らないなんてケースがない。


仕方がないからルーエを呼んでやっと来るように説得できた。積もる話もあるだろうに。



けれどもその彼女がいない。



どうしたのだろうか。



と言うよりも私が迂闊だった。もっと気を付けていれば良かっただけだ。




間違いの指摘ありがとうございました。


これからもよろしくお願いします。

視点がぐじゃぐじゃで申し訳ない。

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