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ビーカーの中の幸せ

「今日はここまで。きをつけ。礼」


「ありがとうございました。」


よし、これで今日の授業は終わり。机の上の教材を片付けよう。がさごそ本やら問題集を整理を始めたらときだった。

「先生、また痩せた?凄いガリガリだよ。」

女子生徒が私によってくる。最近研究が忙しくて気がつくと一食二食抜かしていたことはちょくちょくある。勿論RさんとCさんにガッツリ怒られてしまうけど。お陰で体重が落ちた。


不健康なのは分かっている。


「これお母さんが渡してって頼まれたから。」

渡されたのはおかずのお裾分け。

「ありがとう。頂きます。お母さんに伝えておいてね。」


いつも持ってきてくれてとても助かる。貧乏だから食費もあまりお金をかけられない。

「せんせー。そんなんじゃぶっ倒れるぞ。」

男子生徒からも言われちゃった。


「倒れないように頑張るわ。」

としか言えない。

雑談をしているうちにクロウェルが入ってきた。何か用があるのかな。

「ごめんね。このあと仕事があるから帰宅の時間よ。さあ帰った帰った。家で復習しといてね。」

と生徒に向かって言うと、不満そうだが皆部屋から出ていった。


「すみません。先程この手紙が届いたのですが如何しますか。」

クロウェルから渡された手紙を見ると封蝋に王家の紋章がある。クロウェルからペーパーナイフを貰って開封すると夜会の招待が入っていた。


「届ける家を間違えた?」

受け取った第一印象がこれだ。

「しかしホルス家の名前が記入されています。」

封筒には確かにアリス.ホルスと書かれている。


「どこぞの小説と同じねえ。返信するから便箋の用意を。」

「参加されるので?」

と聞いてきた。

「んなわけないじゃん。私に恥をかけってか。」

わかりましたとクロウェルは立ち去った。


「全く私に何のようかしら。」

一人で呟く。もう没落しているから無縁の世界。もうかれこれ何年も出席していないため、招待状が来ることも無くなった。なのに何故今更来るのだろう。


「こちらです。」

トレーに手紙の一式をのせてクロウェルが戻ってきた。

「ありがとう。」

と受けとる。さて、失礼の無いように断りの文句を書き連ね封筒に入れて蝋をする。

「出しといて。」

とクロウェルに渡した。彼はそれを受け取りまた退室した。


私はその後自室に籠った。私の部屋には薬品や実験器具が大量にある。今研究途中の実験データの記録をしなければならないからビーカーに薬品を入れて実験する。


どのくらい経ったか、リリが来るまで気付かず没頭していた。

「お茶をお持ちしました。」

カップにお湯を注いだ。彼女のお茶は絶品。


「ああ、生き返る~。」

「少しは休憩してください。」

「だって面白いし。」

リリとクロウェルに充分な給料渡せていないし。屋敷の管理は大変なのに…


「また最近細くなりましたね。」

私をじっと見る。もとから肉付きは良くないがさらに悪くなったようなそうではないようなと自分では思う。

「さっき生徒からも言われた。あっそうそう、貰い物。」

頂いたおかずをリリに渡した。空のティーカップと一緒に。


リリは失礼しましたと下がった。


また一人。



窓を開けて換気する。窓の下は手入れの行き届いた庭がある。私の母が好きな百合やマーガレット、薔薇等多くの草木や花が植わっている。甘い香りが私の部屋まで香る。


とても心地よい。

実験用の植物もある。

裏方のほうには実験用の草花が植わっている。


この庭を見ている視線にはこの時気がつかなかった。

こいつが全ての元凶なのだが。









窓際に置いた花瓶代わりのビーカーが鈍く太陽光で反射して光っていた。





初めまして。harryです。前置きが長くてすみません。文章拙いですが宜しくお願いします。


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