着替えの時間
一応裏口から王宮に入ったのは良いものの、(それでも入口が大きくて唖然とするしかなかったのだが)そこからは引きずられるように公爵殿の後をついていった。
幾つもの部屋を通りすぎ、クリスタルガーデンと呼ばれる温室に入った。
クリスタルガーデンとはその名の通りガラス張りの温室で中に植物が育てられている。数多くの植物が育てられている。ここにあるのは主に南国で植生しているものだ。
ここに来たのは初めてだからこんなにも植物があるなんて思ってもみなかった。ましてやそれが南国の植物だったとは。
中を真っ直ぐ突っ切ると少し大きめの広場があり、円卓と椅子が並べられていた。そして誰かがそこに座っていた。薄翠のドレス着た女性だ。視力があまり良くないためはっきり見えないのだ。本当に誰だと思ったら、女性は顔を上げてこちらを見てきた。
嫌な予感がする…
変な汗をかきはじめた。
その女性は椅子から立つなり突進してきたのだ。
「やっぱり可愛いー!お久し振り。やっと会えたわ!」
私に抱きついてはしゃぐ王女殿下。挨拶の前にいきなり抱きつくとか町の子供と変わらないなあ、とか失礼なことを考えていた。
しかし、一点だけ違うものがある。
「王女殿下もおかわりなく…」
彼女が抱きつく力が強すぎて首が絞まるー、息ができないー…
呼吸ができなくて弱々しく挨拶をしたが、それでも彼女は私を解放してはくれなかった。
「いい加減にしましょうね。」
見かねた公爵殿がぺりと王女殿下を引き剥がしてくれたからやっと酸素が肺に巡った。
いつも思うが王族に対する扱いが雑な気がする…おまけに女性なのに大丈夫かなとも思ったが、この人のことにいちいちつっこみをいれていたら頭がおかしくなりそうだから止めた。
「ああ、ごめんなさい。一応完成したけど、寸法の確認もしたいからこれに着替えて頂戴。」
王女殿下も先程のことは気にしていないみたいだ。
だが、この山住にされたドレスを着ろと言うのか。
「これ全部とは言いませんよね…?」
おそるおそる聞いてみたが、私の悪い予感は当たってしまうようだった。
「勿論全部。何色が似合うか見ないと。スーツも仕立ててあるから安心してね。」
王女殿下はぱちんとウィンクして自信満々に仰った。
円卓の上に畳んで置かれたドレスは山のように置いてある。色々な色のドレスが置かれていた。
これを着るだけでも相当面倒くさいし憂鬱だ。
「私、こんなに頼んでいませんが…幾らなんでも多すぎですよ!」
いくら支払わなければならないのかと頭のなかで概算を計算してみるが、これだけのドレスは支払えない。一応お詫びの筈だが、こんなにも多くは流石に請求されるだろう。
私には支払えるお金がないのだ!
やはり断れば良かったのだ!
私の心の叫びは虚しくも誰にも届くことはなかった。
「それじゃあ着替えの場所に移りましょうか。」
王女殿下は満面の笑みをうかべ、私の肩を掴んだ。以外と力あるよこの人。もう疲れが出始めているが面に出すわけにもいかない。
王女殿下につれられてクリスタルガーデンを後にした。おそるおそる後ろを振り返ると勿論公爵殿はついてきているし、数名の侍女が山のようなドレスを抱えていた。
本当にこれ全部着る必要あるのかなあ。
たどりついた部屋に入ると広い部屋に大きい机が置かれていた。その手前にはテーブルとソファがおかれている。ありきたりの書斎のようだが、置かれている家具はどれも一品もので質が高いのが私でもわかる。
それに所々可愛らしい人形やレースであしらったカバーも目に入る。カーテンもよく見ると水色で部屋が明るい雰囲気だ。
「ここは私の部屋よ。本当はもっと可愛くしたかったんだけど、真面目に商談事もやるからかなり抑えたわ。」
王女殿下が私に教えてくれた。女性の部屋かなとは思ったが、まさか王女殿下の部屋だったとは驚きだ。もっと可愛らしい部屋かなと勝手に想像していたからなあ。
「この部屋の奥は勿論可愛くしたわ。私の寝室はね。」
私の顔を見つめて、私の心の中の問に答えていた。私はそんなに考えていることが分かりやすいのかな…
というよりも自分の寝室の場所とか言って良いものではないだろう。特に王女という身分の高くて美人で有能な人なら尚更のこと!
でも待てよ。部屋を見渡す限り、奥らしき部屋は見あたらない。
どういうことだろう。
時間がないので一旦切り上げます。また編集しなおして話も付け足しします。かなり書き直ししますのでご了承下さい。
申し訳ないです。




