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国語はよくわからない

息が切れぎみではあるものの、一向にスピードを落とさずにずかずか家の敷地を歩く女性………というのはあまりにもレディらしくない。歩き方にしても少女らしく見えてしまう。


「ただいまー。」

バーンと音をたてながら扉を開けた。いつも音をたてて開けてはいない。ストレスが溜まっているのだがあの二人に言わせると屁理屈とか言いそうだ。


「お帰りなさい、お嬢様。」

少し呆れた視線を送りつつクロウェルが出迎える。

「お嬢様。生憎とレディが大股でしかも音をたてて入るとは全くもう。はしたないですよ。何度言えばわかりますか。」

リリまでもが忠告してきた。口調が母親が悪い子供を叱るみたいな感じがする。

「だって今日の予定は奴のせいで狂いっぱなし。何がしたいのよあの人!」


何時も私の邪魔ばかりして何が楽しいのかしら。おまけに私がいるところを知っているかのように毎回現れる。監視されているのかな。でもあの人にそんな余力はあるのでしょうか。仕事あるでしょうが仕事が。

何だかんだ理由をつけて私に会いにくるが屁理屈にしか聞こえない。宰相なんてとても忙しいのにまさかサボっているのでは…

と思っていたが、


「いえ。彼はそんなことはしませんよ。」

私の思考を読んだかのようにクロウェルが返事した。

「私の考えていることは分かりやすい?」

何度も聞いていることではあるのだが。

「そうですね。単純に表情に出ますから。」

「リリも言うのね。」

がくりと肩を落とす。どうしたら治るのでしょうかねえ。クロウェルならわかる。彼にならそう言われても仕方がない。けれどもこの前の王子といい、例の公爵といい、手のひらに踊らせれている感じしかしなくて気持ちが悪い。

「見られているのかな。」

私の独り言に返事をする人は誰もいなかった。


「とりあえずは部屋に戻りましょう。」

確かに玄関で突っ立っているのは不自然だ。部屋に戻るなりクロウェルは退室した。


「お嬢様。クロウェルさんから稽古をつけてもらうように頼みましたので。最近はいろんな輩に遭遇しますし。」

突然言われたことに頭がついていかなかった。暫く思考停止をして言われたことを噛み砕いてやっと理解した。先程の独り言に対する返答だった。いろんな輩と遭遇というのはやはり私は監視されていたと言うことか。

「稽古?本当にその覚悟があるの?」

「はい。」

「後戻りはできないけど良いのね。」

「ええ。お嬢様を守るためですから。」


ああ。私は不幸な人を量産させてしまったのか。クロウェルは今ではもう現役を引退しているが、かつて若かれし頃は暗殺者として王族お抱えの諜報部隊で活躍していた。腕は一流で、暗殺業界では名を轟かせていたらしい。


その暗殺スキルを身に付けようとするのか。


「私が不甲斐ないばかりですまない。恐らく私が王子と接触してから狙われるかもしれないのだろう。」

確認するためにチラとリリを見てみると彼女は決まり悪そうに俯いた。

「気がついていたのですか。」

「最近は物騒だからね。ある程度の情報はクロウェルからもらっているし。」

これくらいのことはみればわかる。現在は行政改革をしようとする王族の一派と反対派で争いが生じている。


そこへ学会の異端者である私にあの公爵、王子、国王と立て続けで面会をされては反対派は何かしら行動を起こすとは思っていた。私の思想は反対派にとって不利になることが多いのも知っていたから。暗殺まで目論んでいたのは不明などころではある。


あの時と何も変わらない。


私ができることは何もない。


「リリ、すまない。」

同じ言葉を繰返し言うことしか出来ない。

「見張られているのか。とりあえずは機密事項が漏れないようにしっかり管理しておかないと。」

私の研究結果が流出したらたまったものではない。今まで以上にしっかりしないといけないらしい。

その時ノックの音がして入ってきたのは紅茶のセットの台車と供にクロウェルが現れた。

「あ、すみません。」

リリはクロウェルの手伝いをする。


「クロウェル、本当に彼女をあの道に引きずり込むのか。」

と問いただすと、彼はリリに紅茶の用意をさせて自分は手を止めた。そして私の方にちかづいた。


「私もそう言いましたが、彼女は折れなかったものですから。」

「私は何時もそうだ。皆に苦労をかけるしか出来ない能無しだな。」

はっと自嘲ぎみに笑った。

紅茶が良い頃合いに抽出できたのか、甘い香りが漂う。

「そろそろあの件も証拠が出そうか。」

もういい加減年数もたってきた。証拠が消えてもおかしくはない時期にまで差し掛かっている。

「後もう少しですが、状況証拠しかなくこのままでは起訴も難しいかと。」

「そうか。」


リリから紅茶を受け取り、気持ちを落ち着かせるため一口飲んだ。

頭に焼き付いて忘れられないあの人。

「あの忌々しいくそ爺が。」

と憤慨すると、

「「ですからお嬢様。言葉が悪いです。」」

と二人に責められる。

「腹が立つのはわかりますが、今の貴女にできることはいい加減に淑女になってください。子供じゃあるまいし。結婚できませんよ。」

リリが腰に手を当てて力説する。

「いやー、私はするつもりもないし、見込みもないからなー。リリに頑張ってほしいんだけドナー。」

アハハと虚ろげな笑みで誤魔化すが彼女にこの手は通用するわけでもなく。


「私よりお嬢様の方が大事ですよ!あっという間に適齢期逃したらどうするんですか!」

正論ではあるのだが。私にその気は全く無い。


「お嬢様。もう少し視野を広げてみたらいかがでしょうか。」

クロウェルが口を挟んだ。

「広げたところでいないよ。」

私はティーカップを机において肩をすくめる。

「こんな女が好きな人なんていたら、天変地異が発生してしまうよ。」




このあとの二人からの哀れみの視線は耐えられなかった。

「あの方に同情します。」

「ここまでされて気がつかないお嬢様もある意味凄いですね。」

二人でこそこそ話ながら可哀想な目で私を見てくる。正直いたたまれない。

「何か酷いこと言ったつもりはないけど…」



先程よりも酷い静寂が部屋を包み込んだ。

「駄目だ。クロウェルさん。あの人に通告した方が良いのでは。」

「いや、彼も気がついていないところもありますからね。暫くは動向を見守りましょう。」


結局居づらくなった私は紅茶を一気のみして家を飛び出した。どこへ行ったのかって?そりゃ勿論図書館。残りの調べものを片付けに。


けれども結局。

「やっぱり無いか。」

例の言葉が探すことはできず、わからないまま。パタンと本を閉じて元の場所に戻した。


春がきた。


「どこに書いてあるんだろう。」

だから言葉遊びと言えばいいのか、隠語と言うのか、こういう系統のものは嫌いなんだ!はっきりしないものは好きではない!


という私の心の叫びは当然聞かれることなく、誰にも理解されないだろうと思いつつも穏やかに帰路についた。



伏線を張りすぎました。何を言っているのかわからないと思います。すみません_(..)_

真相は後程。


とりあえずクロウェルの正体を明かしました。お気づきの方も多いと思いますが。そのうち使用人の過去とかも書けたら良いなと思っています。


割りと訂正をしながら書き進めていますので、読みづらく申し訳ないです。

暖かく見守って下さると作者冥利につきます。

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