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図書館にて

私はたいそうな負けず嫌いで、知らないことはとことん調べ尽くさないと気がすまない性格をしている。


ということでどちらにしても図書館に用事があったので、ついでに昨日のあれも調べておこうと思い今王立図書館にいる。


馬鹿にされたのが悔しい。


なんだか、昨日の出来事を思い出すと腹がたってしょうがない。朝目が覚めてから苛々する。


何時もなら絶対に近よりもしない言語について書かれた本が陳列されている棚に寄った。流石は王立図書館。蔵書が多い。理系の本なら全て読破したが、言語系統の本、小説は殆んど読まない。

年に一、二冊読むくらいか読まないか、というくらい少ない。


慣用句の本を手に取り片っ端からパラパラページをめくってみる。


……………………………


ない。ない。ない。もしかしたらあれは隠語なのかもしれない。そうすると慣用句とかことわざに載っていない。

このままずっと調べていても埒があかない感じがしたから、本日のお目当てである雑誌コーナーに向かった。雑誌を読み終えた後にまた戻ってこよう。


雑誌コーナーには発表されたばかりの論文を読むことができる。私の最新の科学情報のネタはだいたいここで仕入れする。


設置されている椅子に座って読もうとするが、私は変人奇人に取り付かれる性質があるみたい。


「おはよう」

隣から声をかけられて雑誌から顔をあげると公爵殿がいた。サングラスをかけて質素な服を着ているがあまり周囲に溶け込めていない。

「おはようございます。…何故ここにいるのですか。」

「朝から寒いね。君の声は冷たいよ。」

「貴方がしつこいからですよ。」


公爵殿ほどにもなればこんな市民も使うような図書館に来なくても本は多く持っている筈だし、よく周りを見渡すと一人だけ別の雰囲気を纏っているせいか、人が寄り付かない。


私は愚鈍にも気にしなかったため、空いている席に座ってみたら偶然疫病神の隣になってしまった。あんなにも場違いなオーラを放っているにも関わらず気付かない私はどれだけ鈍いだろうと思う。


「貴方ならここにいる必要ないでしょ。というよりもこの時間は政務に励まなければありませんか。」

「ちょっと用事がてら寄っただけだから。それより何で敬語?今さら。」

首を少し傾げた。

「公衆の面前でそんなことはできませんよ。」

「常識一応あったんだね。」

「貴方に言われたくないわ!」


集中して読めそうもなかったから雑誌を置いて帰ろうとした。

「どこに行くの?」

「帰ります。どこぞの誰のせいで読めそうにありませんから。」

嫌味たっぷり込めて言った。

「人のせいにするのはよくないよ。なんだか機嫌悪い?」

私の嫌みすらスルーされてふてぶてしく公爵殿は返答した。

致し方ないので無視して帰ろうとするが、相手もついてくる。


「公爵殿はゆっくりしていても大丈夫ですよ。」

「いや、君といる方が楽しいあからね。」

「これまた酔狂な人もいるものですね。」

「早足になってきているけど君の体力大丈夫かい?」

「そこまで衰えていないですよ。」



因みに殆んど聞こえないくらいの音量でこそこそ話をしているため、周りからは「何やってんだ」とうろんげな眼差しを送られていたことは二人とも気付いていない。


「はあはあ。もう失礼します。」

息が少しきれ気味だがいきなり走り出して坂をかけ降りた。坂を降りるとすぐに家にたどり着く。


「そこまでしなくても良いじゃんか。」

公爵殿が呟いた独り言は誰の耳にも届かなかった。

そして何か面白いものを見つけたかのように笑う姿も彼女は知らない。

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