始まりⅡ
私の家は貧しいながら家族で協力しあいながら生活していた。貧しいから学校すら行っていない。けれど勉強はしなさいと言うことで、小さいとき、三歳くらいだったか読み書きを教えてもらい、あとは町の中心にある図書館で勉強していた。
三歳でってあり得ないと思うが私はやってのけた。本を読むのが好きで、図書館にある本は全て読みきった。
それから科学に興味を持ち始め、気が付くとわずか一二、三歳で地学、物理、化学についてはは大学院生と同レベルに達してしまった。それから研究に研究を重ねて論文を提出。それが認められて博士号を取得。そして十五歳で大学で講師をするようになった。
本当は教授だが家の事情で講師をしている。
まさに周りから見れば天才だと思われるだろう。
けれどそれも事情がある。
私の両親は十歳の時に死んだ。死因は働きすぎてどちらも過労死。とはいえ、突然死だったためとても嘘臭い。当然使用人の給料も払えないからクロウェルとリリを除いて皆辞めた。クロウェルとリリは給料なしでいいと言ってくれるが申し訳なく思い、早く職が欲しかった。
しかし私は勉強もしたい。化学や物理、地学は楽しい。経済学や歴史も面白い。
だから教授になってやろうと思い、毎日勉強したら論文が認められた。
勉強期間は迷惑をかけたから早く結果を出さないとと思ったら史上最年少で教授になった。
勿論科目は地学と物理、化学。
今も貧乏だから二人にはいい給料出せないんだけど。研究もお金がかかるものだから。
本当にすまなく思っている。
けれどもいつも二人は揃って、
「お嬢様といると面白いので給料はいいです。」
笑ってそう言う。
何でと聞くと、
「ご両親に私たちは助けられたのですよ。ご恩は返します。それに貴女は研究に没頭し過ぎて周りをみませんからねえ。しっかりしてほしいものです。もう子どもでもないのに。」
とハンカチを目に当てる。台詞が悔しいことに的を射ているから反論できない。
でも口調が年寄りだぞ二人とも!とくにリリは私と年が近いから婚期中なのにそんなこと言っていたら嫁に行けなくなってしまう。私は結婚するつもりはないから良いのだけれど、貴女までそうなってしまうのは貴女のご両親に申し訳ない。
少し心配だ。しかしそれを本人に言うと、また人のことより自分の心配しなさいとでも言うのが目に見えている。
目下の悩み事はリリが嫁にいき遅れてしまうことだ。
私のことはどうでもいいけど、リリには幸せになってほしい。