√2を√3にするための性転換
やっと性転換します。長かった〜
俺の中の俺はいつもこう何もしていない。だから外の俺はすべてが上手くいかないのだ。
そんな鏡の中の鏡を見ていると、ずっと奥には青くなっていて何も見えなくなってしまう。それは鏡と鏡の間の空間があるからこそ此処にはない青色があるのだ。
目を開けると見慣れぬ女とコンクリートがあった。
「わ、詫助君…?だ…大丈夫!?」
「詫す…誰!?」
「ん…んん…あ〜デブ…誰!?」
事態が急変化したのは確かなのだが、俺はヒョロヒョロ魔神に
「性転換」
って言っちったんだよな…だが…俺の前でぎゃあぎやあ騒いでいるやつは誰だ?出部子は消えたんだな。通りで涼しい訳だな。
「おめえ…誰だよ。名を名乗れ」
俺はうるせえ女を押し潰すように問う。
「え!?わたし!?私は出部子よん!!」
は?
「ちょっと待て。出部子はもっとデブでブスだぞ」
「ちょっと何いってんのよ〜!私はデブでもブスでもないわよ〜!」
女はしっとりとし、肩甲骨辺りまである黒髪。出部子のようにモジャモジャじゃない。
また、目もパッチリし、顔もわりと整ってる方だ。
そう言いながら女はポッケットから手鏡を取りだし顔をチェックしたのだが…
「おい、女。顔真っ青になってるが…もう一度聞くぞ。名前を言って見てくれ。」
「肥満 出部子よ…」
「このパターン…ラノベのお決まりじゃねえか!ってことは…!」
俺は自分の乳を揉んで確信した。
俺は体がぶるぶると震えているのが分かった。所謂、武者ぶるいと言うやつだろう。
ここではろくに自分を見る事が出来ねぇ!学校に全身鏡があったはず!
俺は女(出部子)を引っ張って学校へ走るのだが…
俺は足を止めた。
1つ気掛かりがある。
何故出部子の姿が変わったのだろうか?
バン!
勢い余って出部子がぶつかる。普段なら俺がぶっ飛ばされるんだが…女はぶつかってくらくらしている。
「ちょっと詫助君…?いきなり止まらないでよ!」
「なあ…出部子よ。お前、あのランプどこにあるかわかるか?」
「あ、それなら私の鞄の中に…ほら!」
出部子はランプを取り出す。
俺は手が見えない位にランプを擦った。
『あ、あちっ!あちぃって!』
どこからか情けない声が聞こえる。
「おい!ヒョロヒョロ魔神!出てこいや!」
『わ…わかった!わかったから!まじ!あつい!!あついから!出ます出ます!』
別の焦げた匂いのするランプからはまたボゥンと煙が出てきた。
『ったくよ〜何。何がしたいの?』
ヒョロヒョロ魔神は嫌みったらしく言う。
「俺が女になったのは嬉しいんだけどよ〜。何で出部子が可愛くなってんの?」
『え!?あ、やべっ。ごめんしくったわ〜』
「あら。私は元から可愛いわ!」
出部子が調子に乗る。が無視。
「後もう1つ。取り敢えず聞いておくが…元にはどうやって戻るんだ?」
『うーん…この世界にいればお前が戻りたいって思えば戻れんだろ』
ヒョロヒョロ魔神は面倒臭そうにそう言ってランプに戻った。
元の静寂に戻る。言っておくがここはまだ住宅街だ。人が来たって良いのに誰も通りすがらない…ってことは…これもヒョロヒョロ魔神の力か?
「まあ…取り敢えず出部子よ…」
「何?詫助君?」
「学校…遅刻だ」
お疲れ様でした。この回はちょっとセリフが多めになってます。