「お祭りの魔法」
幼馴染が「一緒に六月灯にいっが」って言ったので「うん」って答えたら、「浴衣着てけぇよ?」って言われた。
柄物だと透けそうなので真っ白なぱんつをはいて行ったら、「お前、まさかノーパン?」って言われたので
「ばか、えっち、はいてるが!」って言ってげんこつでがつんと殴ってやった。
わたしには浴衣着て来いって言ったくせに、自分はジーパンにTシャツとか着てたので「ずるくない?」って言ったら「男が浴衣着ててもうれしくなかが?」って言われたので「そんなことなかよ?」って言ったら「じゃ来年は俺も浴衣着っが」って笑ったので許すことにした。
ずらりと並ぶ灯篭をながめながら綿飴をなめていると、幼馴染が「浴衣だと、お前でも綺麗に見えっがね」って言うので「浴衣じゃなかったら綺麗じゃなかとね?」って言ったらそっぽ向いて「……いつも綺麗じゃっど」って言ったのでちょっと嬉しかった。
だから「二度と解けん、魔法をかくっよ?覚悟はいいね?」って言って、幼馴染の顔を両手で押さえてわたしの方を向けた。
それから、「なんね、なんしよっと?」って真っ赤になった幼馴染の唇に、ちゅっ、って軽くキスをした。
「魔法かかったね?」って聞いたら、「……ちっと足りんかも?」って言ったので「えっちー」って言いながらもういちど、ぎゅっと抱きしめてキスをした。
きっと来年も、この場所でこうしていられますように。
※六月灯:鹿児島独特の夏の行事。7月(旧暦6月)頃に行われる。
【浴衣】【魔法】【幼馴染】のお題で書かれました。
方言いいかげんです。耳では覚えてるのに文字にするとなんかイメージ違うなー、難しいなーと思いました。