「食パン女(深夜編)」
深夜というほど遅くもないのだが、割と遅めな時間に、急にカップラーメンが食いたくなった。うちの近所はあんまり治安がよくないので、こんな時間に出歩きたくはなかったのだが、コンビニが近いのでちょっと買って来ようという気になった。
うちをでてすぐの角を曲がったところで、「きゃ!」と誰かにぶつかった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」と謝ろうとしたら、目の前に落ちているのは制服を着た丸太だった。……まさか、忍者か、忍者なのか?!
「動かないで下さい……もぐもぐ」
背後からシャープペンシルのようなものを喉元に突きつけられたので、黙って両手を上げて敵意がないことを示す。……背中に、何か柔らかいものが押し付けられている。
「あの、もしかして、忍者なんですか?」
「いきなり人にぶつかってくるとか何考えてるんですか……もぐもぐ」
「あの、さっきからもぐもぐって何なんですか?」
背後を振り返ろうとしたら、頬をぷすりとシャーペンで刺された。痛い。
「反射的に空蝉しちゃったので、今、下着姿なんですよぅ。だから、こっちむいちゃだめです……もぐもぐ、ごっくん。あ、ちなみにもぐもぐいってたのは食パンですよ。これから忍者学校なのです」
「……っく、深夜だと思って安心していたら、貴様も食パン女だったのかっ!! くそ、フラグを、フラグを立ててなるものかっ!」
「食パン女ってなんですか……? ひとを妖怪か何かみたいに。それにフラグとか……やばい人にぶつかっちゃったかなぁ……」
【忍者】【食パン】【深夜】のお題で書かれました。
いろいろ説明の足りないお話。よくあるマンガやラノベで食パンをくわえた女の子にぶつかるシチュエーションをパロディにしてみたもの。設定的には主人公は何度も食パンをくわえた女子高生にぶつかられていて、これ以上フラグを立ててなるものかとあせっています。