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「無銭飲食」

 青年は窮地に立たされていた。ファミレスで散々飲み食いした後に、ふと気がつくと財布がないというこの状況をどうしたらよいのだろうかと、青年は必死に無い脳みそを駆使して考えてみたものの、頭に浮かぶのは店員のスカートが短めで嬉しいぜい、などとどうでもいいことばかりで、まったく窮地を打開する手段を思いつきはしなかった。

 ……などと他人事のようにひとりごちてみたものの、その青年というのが俺のことであるのはいかんともしがたい事実であり現実であって、今もって状況は改善の兆しを見せていない。

 さすがにドリンクバーで粘るのもそろそろ限界だろう、と携帯電話の時間表示を見ながら、ふうとため息をついて、はたと気がついた。ケータイあるじゃん! さっそく妹に電話する。

「よぉ、俺だよ俺」とフランクに話しかけたら「オレオレ詐欺キエロ」といきなり切られてしまったので、速攻でかけ直して「兄貴の電話番号くらい登録してあるだろうがっ!」と怒鳴ったら「そんなものは登録する価値などない」と言われたのでかなりへこんだ。

「たぶん玄関のとこに俺の財布があると思うので駅前のファミレスまで持って来て下さい。持っ来てくれたらなんかおごってあげます。かわいいかわいいい妹様よろしくお願いします」

 十五分後、にこにこしながら俺の財布を持ってきた妹は、笑顔で三千五百円もするDXパフェを注文してひとりで全部たいらげた。

 ちくしょう、金足りるかな、と財布の中身を確認しようとして千円しか入ってないのに気がついた。やべ、そもそも俺、財布に金が入ってないから金おろしに駅前に出てきたんだった!

「金、いくら持ってる?」と妹に聞いてみたら「他人がおごるというのに、金など持ってくる必要などあるまい?」とステキな答えが返ってきた。

 振り出しに戻る……というか最終的にかーちゃんに電話してお金払ってもらった。

 【青年】【財布】【ファミレス】のお題で書かれました。

 一人称しか書けない人間なので三人称やってみようとして四行であきらめました。妹の言動がお気に入り。兄を他人よばわりとか。でもあんまりオチてないっていう。


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