第5話:戦い!?
―夕方前―
結構時間が経過したと思う。矢印の反応が強くなってきたことが何と無くわかった。近付いて来てるのかもしれない。
『もし【未来の犯罪者】がいたらどうするの?』
『う〜ん戦わないといけないかな〜説得して応じるわけないし〜』
『戦うってアンタ戦えるの?』
『えっ戦うのは、ちはだよ!?』
『…えっ〜〜〜!?なんで私が戦うのよ!?しかもなに当たり前見たいに言ってんの?』『あれ?当然な‐『ことじゃないわよ!!』
途中で遮った。
『言ってなかったっけ?この未来の道具は作動する瞬間とても強い電波が生じて使用者は気を失うんだ〜。って言ってもそれは過去の人間だけらしいけど』
『?』
『なんか未来の人はその電波に耐えれるような体が出来上がってるんだ。つまり過去の人間は軟弱ってことだよ〜』
『えっ!?それって私も過去の人間だよね…?』
『あっそっか〜』
『……………。どっちも戦えないじゃん!』
『うっ、痛いとこつくね〜』
……こんな馬鹿な人っているんだ…。。
『あっ』
いつのまにか町外れの倉庫前についていた。矢印はこの倉庫を指しているみたいだった。
『たぶんここだね〜。』
倉庫を前に一気に緊張して来た。もしここに犯人がいたら……。いやっ!春を助けるんだ!
『とりあえず武器?を渡しとくよ』
『武器?』
『うん。野生動物を捕獲するネットだけどね』
そう言って野球ボールみたいなのを取り出した。
『とりあえず5個あるから〜ちはが3個で僕2個ね』
『えっ…。これだけ?しかも野生動物を捕獲するネットって……。もはや武器じゃない気がするんだけど…。』
『大丈夫!これも未来の道具でね、ボールに小さなボタンがついているだろ、これをね押して作動させてから投げると、何かに触れた時ネットが出てきてその対象物を捕獲するんだ〜。それとこれは作動してから数秒は気絶せずに耐えれるから安心して!』
『(どこに安心をすればいいの?)』
『後一応コレもあるから』
今度は長い棒を出した。
『これは〜簡単に言うと、電流棒。これで殴れば一発で気絶するよ。でもこれも作動した瞬間気絶するんだけどね!。』
もう全く意味がない。そこら辺にある棒と何が違うのだ。しかも自信満々に言われても…。
『…気絶したらどれくらいで意識が戻るの?』『う〜ん、捕獲用ネットは5分くらいかな?』
『えっ…5分も』
交互に道具を使っても5分は一人で戦わないといけない時があるなんて…。
『よし!中に入ろう』
私達は倉庫の重い扉を開けた。
そこは真っ暗で最初は何も見えなかったが、次第に目がなれ見えるようになった。とても広い倉庫で、周りはシートを被っている物ばかりだった。
『あっ伊久垣、矢印がアッチの扉を指してるよ』
矢印が一番奥の扉を指していた。
『うん、あそこで間違いないね』
よかった誰もいない。早く春の所に行って早くここを出よう―
『オイッ!』
私達が入ってきた方から声が聞こえた。
『お前ら何をしている!』
男の声だった振り返ると一人の男性が立っていた。さっき伊久垣に写真を見せてもらっていた。犯人だ。
『ここは俺の倉庫だ用がないなら出てもらおう』
『ボソッ(ねぇ、今は一回逃げた方がいいんじゃない?入口が塞がれてるし、あっちは気付いてないからもう一回様子を見てから―)』
私は犯人に聞こえないように、伊久垣に問掛けた。━━━あれっ?聞こえてない?ってか聞いてない!それどころか伊久垣は、
『お前が未来から来た犯罪者だな!お前を捕まえに来た!』
え〜〜〜!なんでこんなときだけ勇ましいの!?ってかやっぱり馬鹿なの?
『ほぅ、お前ら一体何者だ?未来を知ってるってことはお前らも未来から来たのか?警察か?それとも馬鹿な研究者達か?』
『いやっ俺は過去から来たんだ!』
別に言わなくてもいいのに…。
『ハァ〜?コイツは相当な馬鹿だな!ハッハッハー』
ほら、やっぱり笑われた…。
『まぁいい、お前らは死んでもらうぜ!本来なら銃がで殺す所だが、ちょうど弾切れでな、これで殺してやるよ!』
男は日本刀らしき物を出し、更に空中に浮いた。
『ねぇ、あの人浮いてるんですけど!それにあの日本刀は!?』
『あぁあれは未来の道具で、あいつの履いてる靴が空を飛べるようにするらしいよ。武器は日本刀みたいだけど、あれは伸縮自在で、更に鞭みたいになるんだって!危ないから気をつけてね』
『気をつけてねって…。こっちは玉5個に只の棒1本…。……とりあえず私が最初にボール投げるから気絶してる間絶対守ってよ!』そして私はボールのボタンを押し作動させた。…押した瞬間、電気が全身に流れたみたいだ。頭がボーっとしてきた、これが気絶前なんだろうか。とりあえず素早くボールを男に向かって投げた。がっ見事に避けられ男の後のパイプに当たりネットが開いた。駄目だ気を失いそう…。
…
…
…
…
…あれっ?全然気を失わない。
『あの全然気絶しないんだけど…』
『本当だ、なんでだろ〜あっそうか2006年の人間より1906年の人間の方がひ弱なんだ〜…うわっ危ない』
話ながら相手の攻撃を避けた伊久垣。
ってかひょっとして伊久垣が極端に軟弱なだけではないのだろうか?よくよく見ると、とても細い。そういえばさっき自転車の後にのせていたが、考えてみたらあまり重たくなかった気がする。現に疲れてないし…。やっぱり…。哀れみの目で伊久垣を見た。
『ちは!危ないよ』
『わっ!』
私の前スレスレを刀がかすめた。
『油断してると危ないよ〜じゃあ今度は僕が投げるからよろしく』
『えっアンタは使わないで―』
遅かった。伊久垣はボタンを押してボールを投げた。しかし軽々と避けられ伊久垣は数秒後気絶した。
なんて迷惑な。
『なんだコイツ!道具の電波にヤられたのか?とんだ馬鹿だな!』
男はそう言い笑った。
敵に二度も笑われた伊久垣…。やっぱり馬鹿なんだ。。っとそれどころじゃない伊久垣を運ばなければ狙われてしまう。私は伊久垣を抱えたがとても軽かった。女の私でも抱ながら走れるほど。
『とりあえず5分逃げなきゃ!』
私はひたすら逃げ回った。とても迷惑な男を抱えて…。
『う〜ん』
『あっ起きた?とりあえずアンタさボール使わないで私に渡してよ』
『そりゃ』
…伊久垣は私の話を聞いてないかのようにまたボールを投げた。そしてまた外れ気絶した。…………うわぁぁ、何この男!馬鹿とかのレベルじゃない!
ヤバイどうしようもないアホだ!とりあえずもう邪魔なので電流棒だけを取り、伊久垣は隅っこに投げ捨てた。犯人も伊久垣を無視して私の所に迫ってきた。もう私がやるしかない。
カキン
しかし私の棒は簡単に弾かれた。―もう終りだ―。私は目を瞑った。
『うわっ!』
…
…
…
…
…
私が目を開けると男はネットに絡まっていた。
『!?』
男の後に伊久垣が立っていた。
『アンタ気絶してたんじゃないの?』
『いや〜ボールは投げたけどボタンを押してなくてね〜作動してなかったんだ〜。』
『えっじゃあ気絶したふりしてたの?』
『まぁね。コイツが油断するのを待ってたんだ』
『…じゃあ私はおとり?』
『そだね〜』
私は落ちていた棒を拾い伊久垣の顔面に投げつけた。