第3話:道具!?
『とりあえずどこを探そう?』
私は家を出てから言った。
『う〜んそうだね〜、とりあえずあの子の家に行ってみよう。次はちゃんとした道を教えてね』
いちいちうるさいやつだ。
『はいはい』
私は愛想なく答えた。
春の家に向かう途中いろいろ考えた。なんでこの男は一緒に春を探すのだ?ハンカチを渡すだけなら私に預ければいいのに。でも誘拐犯にしてはなにか違う気がするし、こんなことをする意味がない。ますます怪しい。第一、家に不法侵入したのは犯罪だし…。
『ここが春の家よ』
春の家についたが警察の人が外に数人いるし中にも家族と警察がいるようだ。
『ってか春の家に来てもなんの意味ないじゃん』
『いや〜部屋に入れればいろいろとやりやすかったんだけどな〜』
…また不法侵入をしようと考えていたのか……。
『これじゃあこの道具が使えないな〜』
男はいつの間にか、四角い箱みたいなのを持っていた。今まで見たことのない物だった。パッと見てSF映画にでてきそうな未来的な物に見えた。しかしよく見ると一部古い物でつなぎあわせてる所があった。古臭い機械。所々、木の板も使ってある。天辺には矢印みたいなのがついていた。
…………なにこれ?まるで未来の道具と過去の道具が交ざったみたい。過去と未来?
『なによこれ?』
『えっ、え〜と説明してもどうせ信じないから実際に使ってみるよ。でもあの子の所持品なんて持ってないよね〜?』
なに言ってるの?やっぱり危ないかも。
『あっ!ハンカチ持ってたんだ!これを使おう』
『(自問自答?…。)』
『でっ、それをどうするの?』
『この箱にハンカチを入れて‥』
そう言って男は箱を開けて春のハンカチを入れた。
『それで次にこのスイッチを押します』
なんかインチキ手品師の口調になってきた…。
『あっ、このスイッチを入れると僕は気絶するけど、この箱があの子の場所を教えてくれるから僕も一緒に連れてってね』
……やっぱりおかしい!なに言ってるのか全然わからない!気絶する前に気絶するって宣告する人なんて見たことない!そもそもなんでこんな怪しい男と一緒に行動しないといけないんだ?逃げよう
『やっぱり別々に探した方が―』
ポチッ
あっ押した。
バタッ
『えっ?―』
押した瞬間、男が倒れた。……………なんの冗談なんだろう。
『はぁ〜』
私がため息をついて、ふと男の持っていた箱を見ると天辺の矢印が急に動きだし、北の方をさして止まった。……?よくわからない。なぜ急に動いてそして止まったのか。私はその箱を手に取り、確認をして、倒れた男をチラッと見て再び箱を見た。しょうがない、今はコレを信じるか。乗り気ではないがとりあえずその矢印の方向へ行くことにした。…………でっこの人どうしよう。本当に気絶してんのかな?第一連れていくったってどうやって?……とりあえず家から自転車を持ってこよう…。