第1話:謎?
4月26日:月曜日―朝―
いつも通りの朝が始まった。別に学校は嫌いではない。友達だっていないわけではないし、勉強が苦手なわけでもない。ただなんの変化もなく過ぎていく日々が嫌いなのかもしれない。
と、高校へ登校する時考えていた。
いきなり後ろから声が聞こえた。
『お〜い!!ちはる〜〜!』
………なんて大きな声…。前を数人歩いていたが全員振り向いた。『もう!恥ずかしいから大きい声で人の名前呼ばないでよ!』
私は必死に言った。
『ごめんごめん。アハハ』
…絶対反省はしてない。
こんな朝が毎日続いている。
だから嫌になるのかな?などとまた歩きながら考え込んでいた。隣では春が喋っていた。―あ春は先ほどの大きな声で人の名前を呼んでいた子だ。桜井春という名前で、季節的には『春』をイメージさせる名前だが、私から見ると…『夏』しか思いうかばない。暑いしうるさいというのが私の『夏』のイメージ…。
『あれ?人が倒れてる』
春がそう言って前を見ると本当に人が倒れてた。
『こういう時どうするんだっけ!?あっ人工呼吸?』と春が言う。
『いきなり!?』本当に驚いた。『とりあえず救急車!あっ意識があるか確かめてみよう』
『わかった!』春はそう言って頬をおもいっきり叩いた。
バチーン!バチーン!バコッ!
……3回もおもいっきりぶった。しがも最後はなぜかグーで頬というより目の横を殴っていた。
『いやぁ〜まいったね〜、僕になんの恨みがあるかわかんないけどね〜いきなり殴られてもね〜』
ここは学校近くの公園。先ほど倒れていた男性が腫れた右目を濡れたハンカチで押さえながら話してる。見た目は二十代前半って感じ。でも無精髭で寝惚け目そしてやる気なさそうな声!顔!
ボソッ(…なんか怪しい人)
『そこ!なんか言った?』
『いえ、別にハハハ…(地獄耳!)』ひきつった顔で喋っていることが自分でわかった。
『では失礼しまーす』走ってその場を離れた。
『ちょいちょいちょい!キミタチ待ちなさい』後ろから追ってきた。
『うわっ!追い掛けてくる』
『うわっ!ってとことん失礼だね!』
どちらも全力で走っている。私達はなんとか学校まで入った時には男の姿はなかった。
『面白かったね!』やっぱり春はどこかずれたことを言っている。
『何言ってんの危ないよ〜。あーいった人が犯罪をおかすんだから!』
『アハハ気をつけるよ〜』
『………。』
―放課後―
『今日は先に帰るからー』私は春にそう言うと教室を後にした。いつもは一緒に帰るけどたまに私は一人で帰ることがある。だから別に珍しいことではない。これもいつもと同じ光景である。
一人で帰るのは遠回りをして家に帰るからだ。ただ歩くのが好きだしいつもと違う景色も見たいからという特に深い理由はない。(今日は人通りの少ない道を歩いて帰ろう)そう思い、いつもと違う道を選んだ。
ひょっとしたら違う道を通ればなにか起こるかもしれないとかすかに期待しながら歩いている。でも実際今まで変わったことは起きてない。まぁそれが現実なんだろうなと思っていたら前方に倒れてる人を見つけた。…………とても嫌な予感がした。なんか見たことあるし…。とりあえず素通りをしようと思ったが、横を通った時、ムクッと起き上がった。
『ヒィッ!』
『ヒィッ!ってまた失礼な発言だね〜。ってかなんでキミは僕のいる所に現れるんだい?』
ボソッ(逆だよ)
『えっ?なに?』
『べっ別に(ってか反応するなら聞えてるんじゃないの?)』
『まぁいいや。あれ?僕をボコボコにした子は?』キョロキョロしながら言った。
『(ボコボコって…)別に帰りは一緒じゃないから、まだ学校だよ』
『ふ〜ん、学校ね…』少し考えてから『学校ってどこ?』
『えっ?学校?………このまま真っ直ぐ行って突き当たりを右に行って左に曲がって右に回って真っ直ぐ進めば学校だよ』
っと適当なことを言った。
『む、なかなか複雑だな〜。ありがとう少女』と言って消えていった。
(やっぱり危ないな。明日、春にまた忠告しとこ…)と考えて帰宅した。