無題
ふわりと 空に わたしは浮かんだ
たかく たかく あの雲をのぼろう
いつか見た 一日のおわりは
懐かしい匂いと 制服の青
閉じたくちびるは 何もかたらず
見すえた瞳は 何もうつさず
たかく たかく あの雲をこえて
見知らぬまちを ただ歩いた
雨上がりの土の匂いは もうしない
サルビアの蜜は 口にできない
たかく たかく わたしはのぼろう
終わりなき道を 駆け抜けて
たかく たかく わたしはのぼろう
あふれる記憶を 零さぬように
いつか会おうね 幸せを抱えて
いつか会おうね あの空の向こうで
たかく たかく あの雲をのぼろう
ふわりと 空に わたしは浮かんだ