帰省
「ご、ごめんなさい!私たち。別れましょ。」
「・・は?」
はい、約2年間。高校三年の頃から、付き合ってた彼女に今まさにこの瞬間。僕は、振られた。理由は、よく知っている。彼女が、他の男と寝たからだ。まぁ、寝たというか、取られちゃったというか、なんというかだ。相手の男は、よくあるサークルの先輩らしく、僕とは正反対で筋肉もアレも彼女好みの大きさらしい。振られて思うが、彼女はいつから僕に飽きていてのだろうか。夜は、さぞかし寂しかっただろうに。
僕は、どうやって家まで帰ってこれたのかわからなかった。でも、その日は一日中ずっと泣いていた。あの2年間は、なんだったのだろうか。僕は、一体どこで彼女を飽きさせてしまったのだろうか。考えるとキリがない。心の底から、愛していたのに。あぁ、本当に辛すぎる。こうなったら、やけ酒をしてやる。僕は、中身が寂しい冷蔵庫から、スト缶を出して一気に喉に流し込んだ。
「もう、こうなったら・・・俺なんてどこへでも行っちまえ!!!!うぁぁぁぁああああ・・」
もう夜の10時。こんな時間に大学生の成人男が泣き叫びながら、酒を煽ってる。本当に隣人にとって、いい迷惑だと思う。
「来世は、どこぞの美少女にしてくださ〜いって、〇の〇はか。いや、もう恋愛なんていいだろ。勉強しろって話だよな」
僕は、お酒に弱い。彼女は強い。ここでも、彼女を飽きさせてしまう原因があった。最初のうちは、可愛いとよく口にしてくれていた言葉もここ最近はない。二人とも、4月生まれだったから、勝手に運命だのなんだの言って、楽しんでいたのをよく覚えてる。テーブルの上は、お酒の缶でいっぱいになっていく。僕は、そのまま意識を手放した。
翌日、山のお酒の缶の中で、僕は爆睡していた。頭がすごく痛かった。ふと、スマホの画面を見ると
「もう、13時かよ・・・」
とっくにお昼を通り越していた。そんな中、スマホが鳴った
「あれ?母さんじゃん・・もしもし?」
電話の相手は、母さんだった。
「ちょっと。大樹。あんたさっきまで寝てたでしょ。」
「げっ・・なんでわかるんだよ・・・」
「そんなの声でわかるわよ。」
僕は、大きいため息をついた
「で?なんか用なの?」
「あそうそう。そろそろ、あんた春休みでしょ?ちょっと帰ってきてほしくてさぁ?」
「あぁ、そうだけど、もしかしてだけど・・・親父?」
「そうなのよ・・・ぎっくりよ」
「わかったよ。来週には、そっち行けると思うから」
「はーい。待ってるね〜」
「はいよー」
電話は、切れて静かな部屋に戻った。親父は、もう50過ぎてるが、長年農業を営んでいる。しかし、去年の冬に凍った道路で、派手に転んだらしく、腰をやってしまった。そのおかげで、ギックリの癖がついてしまったらしい。もういい歳なんだけら、息子としては、安静にしてもらいたいものだ。
翌日、大学へ行った。とてつもなく気まずい。何せ、別れた元カノとは、同じ学部、同じゼミだからだ。教室に入るとなんだか重い空気に押しつぶされそうになった。そんなでも気さくに話しかけてくれる奴がいた。
「おはよ!大樹」
「恒星ぃ〜!!!」
「話は、聞いたぞ?振られたんだって?」
「そうなんだよ・・」
「どんまい笑。でも、俺が聞いた話は、お前の浮気って聞いたけど、嘘だよな?」
「は?んなわけねぇだろ。えなんで?」
「いや・・・なんか、お前が1回生と遊びまくってるって、元カノが言っててさ。俺に関わんない方がいいってよ」
「はぁ・・とんだ最低女と付き合っちまったんだな。」
恒星は、頭良くて、運動できるいわばイケメンというやつだ。それなりにモテるのに彼女の1人もいない。本人曰く、昔の恋愛で何かあったみたいだった。
「まぁ、そんなこと言われて離れるんなら、バカな友達だよ。なんかあったら言えよ?」
「こうせいぃ〜!、!」
僕は、鼻水垂らしながら、恒星を見つめた。恒星が彼女できなくて困ることがあるなら、僕が彼女になろうと思う。
授業が終わり、教室から出ようとした時だった。元カノと運悪く目が合ってしまった。お互い気まずくて黙っていたが、僕の方が嫌になり、先に出ていこうとした。元カノは、そのとき何を思ったのだろう。
「あんたが……あんたが悪いんだから!!!」
「は?」
かなり大きい声で、僕に向かってはっきり言っていた。僕が一体何をしたというのだろうか。僕は、もう面倒なことに巻き込まれたくないので、その場を後にした。
ただ、無情に家に帰り、荷物をまとめた。もうあんな奴がいる場所にいたくなかった。もう授業はないし、実家に帰っても大丈夫だろう。
もう帰ろう。僕は、その日のうちに新幹線で地元に向かった。




