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そのおっぱいは誰のもの?  作者: リラックス
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第1話

それには、奇跡が詰まっている。


それには、希望が詰まっている。


それには、夢が詰まっている。




それの名は、おっぱい。


◇◆


 俺の名前は汐丈(しおたけ)夕大(ゆうだい)。どこにでもいる、ごく普通の大学生だ。

 だが一つだけ普通とは違う点がある。

 俺は、超能力者だ。スプーンを曲げたり火を出したり透視したり、とにかく何かすごい超常現象的なことを起こす、あれだ。

 そして、俺の能力なんだが、これは実演したほうが早いだろう。

 俺は今、電車の中にいる。爽籟(そうらい)を感じさせる穏やかな空の下、大学に向かう道中だ。

 今日の講義は2限目からということもあり、比較的空いている時間帯の電車に乗っている。俺を含め、ほとんどの人が座席に座っていた。

 参考書を読んでるふりをしている俺の対面には、若い金髪の女性が座っている。化粧が濃く、パーマのかかった長い金髪を指でいじいじしながら、不遜な態度でスマートフォンをいじっている。

 そして何より特筆すべきは、白のTシャツの上から盛り上がっている大きな双丘。あれはかなりのモノに違いない。

 今日は君にでいいや。

 俺は金髪ギャルの胸をじっと見る。女性はスマートフォンにご執心のようで、俺に気づく様子はない。

 綺麗な形をしたマシュマロのようなそれを三秒ほど凝視したとき、俺の能力が発動した。

 金髪ギャルの数センチ頭上の何もない空間が、まるで陽炎のようにゆらゆらと揺れ始める。

 そしてその陽炎の中に、ある人物がぽわーんと浮かび上がった。

 男だ。ギャルと同じ金髪で色黒の男が、爽やかな笑顔を浮かべている。

 男は1秒ほど笑顔を振りまくと、幽霊のようにすうっと消えていった。

 ちょうど、金髪ギャルが顔を上げ、俺と目が合った。俺はいそいそと視線を逸らす。だがギャルは不快そうに眉間に皺を寄せて露骨に舌打ちをすると立ち上がり、少し離れた座席に移動した。

 バカめ。逃げたところでもう遅い。あたしゃ、あんたの乳でもう十分楽しませてもらったからねえ。


 お分かりいただけただろう。これが俺の能力だ。

 そう。女性のおっぱいを凝視することで、その日そのおっぱいを揉む人物が浮かび上がる能力。俺はこの能力(ちから)を〈パイ()〉と呼んでいる。なぜか浮かび上がる人物は例外なく良い笑顔を向けてくるのだが、これは未だに不明だ。

 この能力が発現したのは一年前の、俺が大学に入学したてのころだ。


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