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9話

「ようこそ、冒険者ギルドへ。あれ? ベルジナさんじゃありませんか。もしかして横にいる方は彼氏ですか? いつも依頼ばかりで男っ気のなかったベルジナさんにもついに彼氏ができたんですね……私、嬉しいです!!」


 なんだろう、この職員さん感極まりすぎて泣きそうになってるんだけど……こんなところで赤の他人ですっていうのは流石に言いずらいな。俺に実害はあるわけじゃないし、ここは否定しないでおいておくか。


「ち、違うわよ。なんで私がこんな得体の知れない奴と付き合うなんて話になるのよ。こいつはただの不審者よ。やばそうな雰囲気を出してたから声をかけたら冒険者になりたいって言うから仕方なく連れてきただけ、ほんとにそれだけの関係なんだから!!」


「ええぇ? 本当なんですか? 私にはお二人が結構いい雰囲気に見えますけど? もう付き合っちゃえばいいじゃないですか? 貴方もベルジナさんのこと可愛いって思いますよね?」


「いきなり俺に話振ってくるなよ。そもそも俺とこいつじゃ釣り合わないだろ」


 俺も随分と低く見られたもんだ。

 まぁ、職員のお姉さんもベルジナに彼氏ができたと思って嬉しかったんだろうけど、俺は魔王とも並ぶ実力なんだぞ。こんなしょぼい町で冒険者している女と釣り合うはずもないだろ。


「それは私が高嶺の花過ぎて恐れ多いってことでいいのかしら? もしかしてだけど、貴方に対して私が釣り合わないとか言わないわよね?」


「そうに決まってるだろ。当たり前のことをわざわざ言わせんなよ。もうこの茶番いいよな。早く俺の冒険者登録を済ませてくれよ」


「随分と自信家何ですね。ベルジナさんはこの町で一番人気の女性冒険者なんですよ」


「そういうのもういいから、俺の能力値みたら二人して謝ることになるんだからさっさとしてくれよ」


 いい加減しつこいな。これ以上粘るつもりだったらぶん殴ってやろうか。

 もとはといえばこのお姉さんが変な勘違いをしたことが始まりなんだよな。ということはだ、全部お姉さんのせいだよな。もうやめてくれよ。俺の記念すべき冒険者登録の日なんだぞ。変な横やり入れてくるなよな。


「いいわよ。この男の凄さとやらを見てあげましょう。さぞかし凄い能力値なんでしょうからね。これで大したことなかったらわかってるわよね? これだけ私に恥をかかせておいてただですむと思わないことね」


「物騒だな。まさか俺を殺す気か? それなら俺も自分の身を守るために反撃するぞ」


「流石にそこまでしないわよ。私を殺人鬼か何かだとでも思ってるわけ? 私は冒険者よ。そんなことするわけないじゃない」


「それならいいか。驚かせるなよ」


 いきなり物騒なこと言ってくるから俺もここで殺し合いが始まってしまうんじゃないかと思って身構えちゃったじゃないか。

 それはそうと、やっと俺は冒険者登録できるんだな。ここまで長い道のりだったぜ。


「それでは、登録に入りたいと思います。こちらの冒険者カードに名前を記入して水晶にかざしてください」


「おう。そんな簡単に登録がすんじまうんだな」


 俺はさらっと、名前を書いた。

 いつも通り自分の名前を書いたつもりなんだけど、見たこともない文字が書かれているのが不思議でたまらない。おそらく、この世界ではこの文字であってるんだろうな。


「えぇーと、テルテルヤマショウマさんですね。随分と長い名前ですね」


「名前はショウマだ。テルテルヤマは苗字、それくらいわかってくれよ」


「「え?」」


 俺がそういうと二人が驚いたように声を上げた。

 一体どうしたって言うんだよ。何に驚いてるんだ?


「貴方、貴族だったの? え、私貴族なんて思わなくてすっごい失礼な態度を……」


「申し訳ございません、貴族の方だったんですね」


「貴族って何の話だ? 俺は一般人だけど」


「「え?」」


 俺の説明にさらに驚いたように声を上げている。

 本当にどこにそんなに驚いてるって言うんだよ? 意味不明なんだが……。


「名字は貴族しか持ってないって常識よ。それを持ってる貴方は一体何者なの?」


「ああ、そういうことか。そうだな、俺がすんでた村じゃ普通にみんな名字を持ってたんだ。だから、特別なことだなんて思わなかったんだよ」


「そんな村があるなんて話は聞いたことがありませんけど……」


「細かいことはいいんだよ。俺はもう準備してんだろ、後はそのカードを水晶にかざすだけなんだからさっさとしろよ」


 思いがけない時間を取られてしまい、また俺は少しイライラしてしまう。

 こいつらは俺のことを暇人とでも思ってるのか?


「わ、わかりました。ではお願いします」


「ああ、こんな感じでいいのか?」


 俺が冒険者カードを水晶にかざすと、冒険者ギルドを真っ白に染めるほどの強烈な光が生み出された。

 思わず目を瞑ってしまうほどの光に先に説明しておけよっていう感情が爆発しそうだった。


「眩しいなぁ。何だよこれ」


「何なのいまの光は!? 私の時は少し光っただけだったはずよ」


「私にもわかりません。これほどの光は初めて見ました」


 二人もわからないのか……どれどれ、俺の能力値はと。


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