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6話

「ねぇ、なんで魔王討伐なんて無茶な夢をもってるの? 誰が考えても無謀だってわかるわよ。Sランク冒険者ですら手を出さない相手よ、今から冒険者になろうってのに無理な話よ」


「確かに俺がただの人間だったら無理かもしれないな。まぁ、信じてもらえなくても構わない、後で俺の凄さに気が付くだけだ」


「どこからそんな自信が湧いてくるのか不思議だわ。いいわ、これ以上聞かないで上げる。私もできるだけ関わりたくないもの。魔王なんて関わるだけで命を危険に晒すような存在だしね」


 無駄に詮索してこないあたりは高得点だな。でもまぁ、俺がパーティを組むには圧倒的に実力不足なんだろうな。俺に見た目が弱そう何てよく言えたもんだよ。


「この町には初めて来たの? 冒険者ギルドなんて一度来たことが町のものだったら覚えていそうなものだけど……」


「ああ、俺はこの町に来たのははじめてだ。さまよってたらこの町に着いたんだよ。別にここに来ようと思ってきたわけでもないし、何がどこにあるかなんてまったくわからん。とりあえず、冒険者ギルド? まで案内してくれればそれでいいから。後のことは自分で何とかする。そこで、魔物を討伐すれば、金が貰えるんだろう。簡単な話じゃないか」


「冒険者を舐めてるようにしか聞こえないわね。私はこれでもAランク冒険者だけど、これまでに何度も命の危険を感じるような体験をしてきたわ。冒険者は生半可な気持ちで務まるものじゃないわよ。金を稼ぎたいからっていう適当な理由ならやめておきなさい」


「いや、魔王を討伐するためって言っただろ。冒険者は確かに金を稼ぐのにも役に立つかもしれないが、魔王討伐の足がかりとして経験を詰むという意味でも頑張るつもりだ」


「ああもぉー、それも無理だって言ってるの。ふざけて言ってるわけじゃないのよね? 死ぬだけだからやめなさい」


 これも俺の実力を知らないからこその忠告なんだろうな。

 一度実力の一端でも見せておけば、こんな余計なお世話を焼かれないで済むんじゃないか? 決して適当なノリで魔王討伐とか言ってるわけじゃないんだよ。俺はじいさんからそれをしないといけないって言われてるんだ、だから別にしたくもない魔王討伐をしなくちゃいけない。実際のところかなりめんどくさいが、これもしょうがないことだ。


「俺が魔王に勝てないってどうしてわかるんだ? 俺の実力を見たのか?」


「あれは、普通の人間が勝てるような存在じゃないの。魔王によっていくつの町や村が滅んだと思ってるのよ。迎えうった騎士団も冒険者もほぼ全滅よ。私だってこの目で見たことはないけど、聞いた話だけでも尋常じゃないことくらいわかるわ」


「へぇ、それはすげぇな。でも、今までの奴らが敵わなかったってだけで俺まで同じように扱われるのは納得いかないな。どうして、俺が魔王を超えるほどの力を持ってるって思わないんだ? 俺の実力を見てみるか?」


「本当に自信があるのね。私もSランク冒険者なら何人か見たことがあるからよほどのことがない限り驚いたりはしないわよ? 貴方は世間を知らないだけの田舎者よ。魔王のことだって全然知らないじゃない」


 田舎者扱いか。まぁ、俺はこの世界にはついさっき来たばかりだし、まだ田舎者のほうがましなんじゃないか? 俺が知ってることなんてこの世界には魔王という存在が居るってことだけぞ。話を聞く限り相当やばそうだけど、じいさんが魔王を討伐できる程の力を俺に授けてくれたんだから心配いらないよな? これで魔王に瞬殺されたりしたらじいさんを呪い殺してやる。


「そこまで言われちゃ俺も黙ってられないな。いいだろう、俺の実力を特別に見せてやるよ。冒険者の依頼でちょうどいいものがあればいいんだが」


「依頼? 私も貴方にどうこうしなくちゃいけないってこと? もぉ、私にも予定はあるのよ。なんで私こんな人に話しかけちゃったんだろう……」


「嫌なら別にいいんだぞ? 実力をひけらかすようなダサい真似は本当はしたくないんだ。俺を冒険者ギルドに案内してくれたらそれでいい」


「……一応見届けておかないと無謀な依頼を受けて死んだりなんかされたら私も目覚めが悪いのよ。乗り掛かった舟だしね、わかったわ、今日は貴方に付き合うわよ。これで、みっともない姿を見せたりなんかしたら承知しないんだから」


 それは無駄な心配だな。俺の身体能力が大幅に向上していることは先ほど走っただけでも感じている。これを戦闘用に出力を上げ、パンチやキックを放ったらどうなることやら。マジで、恐ろしいほどの威力が出ることは間違えないな。むしろ、巻き込んでしまわないか心配なまである。Aランク冒険者とか言ってたけど、それがどれくらい凄いのかいまいちわからないしな。口ぶりからしてそこそこ上のほうなのは予想できるが、後で聞いてみるとするか。それか、登録の時にランクの説明はあるかもな。なんにしても、俺が気にかける必要があるほどの強さじゃないはずだ。それだったらさっき話してたSランク冒険者ってのになってるはずだしな。


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