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13話

「それでなんで俺はギルドマスターの部屋に連れていかれてるんだ? 時間がもったいないから遠慮したいんだけど」


「そういうわけには行きませんよ。こんな能力値を叩きだしておいて何もなしにというわけには行きませんからね。ギルドマスターに相談したのですが、ひとまず会って話そうということになりました。なので、ついてきてください」


「良かったじゃない。ギルドマスターから直々に呼び出されるなんてこと滅多にないのよ。いい経験ができたと思って感謝しなさい」


「それは何に対する感謝だよ。だから、最初から言ってるだろうが俺は金がないから冒険者になったんだって。それが依頼よりも先にギルドマスターに会えって俺を今日野宿させるつもりかよ」


 このままじゃあ、時間がなくなって野宿という選択肢が現実味を帯びてきてしまう。それだけは何とか避けないのだが、この呼び出しは避けれそうもないんだよなぁ。どうしたもんか。俺にできることといえば、この話を少しでも早く切り上げることだけだ。それも失敗したあかつきには野宿確定だな。俺はふかふかのベットで寝たいんだ。硬い地面の上で寝るなんてまっぴらごめんだぜ。


 冒険者ギルドの裏ってこんな風になってるんだな。幅の狭い廊下に扉がいくつもある。

 この一つ一つに何が隠されていることやら。冒険者たちの情報なんかもありそうだな。それと、大量の金。そうだよ、冒険者たちに報酬を払わないといけないんだ。それなりに、金を蓄えていることは間違いない。いや、別に盗もうなんて考えてないからな。俺はちゃんと依頼をこなして報酬として金を受け取るだけだ。きちんと報酬が支払われるのか心配しただけで、他意はない。


「こちらがギルドマスターの部屋です」


 コンコンッ。


「失礼します。ショウマさんをお連れしました」


「おお、ご苦労。はじめました私がこの町のギルドマスターをしています、ケケンと申します。これから、この町で冒険者活動をしていくのであれば少なからず関りはあると思いますので私としても友好的な関係を築きたいと思っています。よろしくお願いします」


 むさくるしい冒険者たちのボスだからもっといかつい男を想像していたが、思っていたよりも全然優しい雰囲気でビックリだ。

 ひょろっと高めの身長に、眼鏡。これは全然強そうに見えないな。まあ、人は見かけで判断しちゃいけないってのは自分が一番よくわかっているからな。決して侮ったりはしない。ギルドマスターになるには相当な実力が必要なはずだ。


「ベルジナさんも一緒でしたか。この町最強の冒険者が同伴している初心者冒険者など意味の分からない存在でしかありませんね。私も拝見させていただきましたが、すさまじい能力値でした。私もこれほどまでの数値は見たこともありません。似たような能力値を持っている者も知りませんね。間違いなく現時点での冒険者最強の存在はショウマさんでしょう。これだけは断言できます」


「ありがとう。ギルドマスターのお墨付きが貰えるんだったらもう安心かな。俺もこの能力値を手に入れるまでは大分苦労したからな。これでも修行熱心なんだぜ」


「ほう、修行ですか。私にも是非、どのような修行を積まば、この能力値を手に入れることができるのか教えていただけないでしょうか? 大丈夫です。決して他言しません。私の純粋な興味です」


「悪いな、修行についての記憶は封印してあるんだ。思い出すだけで頭がおかしくなりそうだからな。我ながら壮絶な修行によく耐えたもんだよ。自分を褒めてやりたいくらいだ」


 どうしてこう冒険者ギルドの職員どもは俺の修行について気になっているんだろうか? 確かに、俺の能力値が凄くて、少しでも俺に追いつきたいという気持ちはわかるつもりだ。でもかといって、同じ修行を聞いて実践すれば同じ力が手に入るとでも思ってるのか? それはちょっと安直すぎるだろ。実際は、じいさんから魔王討伐のために授かった力だもんな。この世界の人間に手が届くような範囲の力じゃ困るんだよ。魔王何てとんでもない存在と戦うには俺もそのステージまで上がらないといけないからな。


「それは残念です。ショウマさんにそこまで言われてしまっては引き下がるほかありませんね。もし、トラウマを克服して、修行内容を公表しようって言う時には私にも教えてください。気長に待つとします」


「いつまで待つことになるかわからないが、俺もできる限りの努力はしていくつもりだ。精々、しびれを切らさないように頑張ってくれ」


「ここからは本題に入りますが、私はまだショウマさんのことを王都のギルド本部には連絡していません。もし私が連絡すれば、何が何でもショウマさんを勇者に仕立て上げようとすることは間違いないでしょう。私も本音を言うとショウマさんには魔王を討伐していただきたいのですが、ショウマさんがそのまま魔王に倒されてしまった場合、こんな能力値を持った人間は現れないのかもしれないそんなことになれば、人類は魔王に対抗する手段を完璧に失ってしまうことになるんだよ」


「空気が読めるじゃないか。おれもそんな面倒なことを引き受けるつもりはない。俺の目的はただ一つ、魔王討伐だ。俺は魔王討伐のために冒険者ギルドで実戦経験を詰まないといけないんだ。そのまま黙ってくれているとありがたい」


 ギルドマスターは俺の能力値を報告する気はまったくなさそうだ。

 自分が対応に終われるんじゃないかと思っているのか、はやまた俺のことを本当に信じてくれていて、魔王を討伐できる存在だと確信しているのかもしれないな。

 どちらにせよ、ギルドマスターに報告された場合はほかの町で変装して冒険者登録するだけだな。

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