10話
「へぇ、やっぱり俺最強じゃないか。ほら見て見ろよ。そして、俺に謝れ」
「まださっきの光で目がやられてまともに見えないわよ。ちょっと待って」
「ベルジナさんもですか? 私も何も見えません。不意打ち過ぎますよ」
こんな大事な時に目が見えないなんて軟弱なこと言いやがって。めんどくさいやつらだなぁ。俺の最強の能力値に刮目しやがれよ。
さっきのすさまじい光にちょっと注目が集まってるんだよな。流石にほかの冒険者たちも驚いたってわけか。至近距離で食らった俺たちはもちろんだけど、割と近くにいた連中もそろって目を抑えてるからな。なんかほんの少し、本当に少しだけ申し訳ない気持ちが湧いてくる。でも、俺が悪いわけじゃないからな。俺だって、こんな光が出るなんて話は知らなかったんだ。
「なんだ!? 今の光は!! どっからだ?」
「でけぇ声出すんじゃねぇよ。まだこっちは視界が回復してないんだぞ!!」
「俺は見たぞ!! あっちの冒険者登録の奴だ!! 手をかざした瞬間に信じられねぇくらいの光が……俺は遠かったから今はもう大丈夫だが、やばかったぜ」
おいおい、あんまり騒ぐんじゃねぇよ。俺は見世物じゃないんだからな。俺は関係ないふりでもしておくか……でも目撃者がいるんだったら流石に通じないよなぁ。諦めて無視しよう。
「まだかよ。俺が読み上げてやろうか? 大サービスだぜ?」
「その必要はないわ。あと少しだけ待ちなさい。もう見えてきたから」
「ええぇ? ベルジナさんそれは裏切りですよ。私はまだまだ無理です。これちょっと怖くなってきたんですけど、大丈夫ですかね?」
「大丈夫だろ。ただの光だぞ。そのうち治るって」
「そ、そうだといいんですが……」
本当にいつまで待たせる気なんだよ。俺は早く依頼を受けたいんだよ。あ!! そういえば、試験があるんだったな。能力値が一定に達していたら問題ないはずだから、いくら何でもこれは大丈夫だろう。俺に試験を受けさせるようだったら、間違いなく全員が受けないといけない試験ということだからな。ベルジナの話では、滅多に受けるやつなんていないって言ってたし、もう安心していいよな。無駄に時間を取られても困るんだよ。
「ふぅ、もう大丈夫よ。ちょっと冒険者カード見せなさい。私が直々に見てあげるわ。自信たっぷりのようだけど、所詮初心者だしね、私の能力値に比べたら大したことにないに決まってるんだから……はい?」
「どうだ? ベルジナの方が高い能力値が一つでもあったか? なぁ? その表情だと一つもないんだろう?」
俺の冒険者カードをでかい態度で奪っておいて、すぐに固まってしまった。
信じられないものでも見ているという青ざめた表情が俺の気分を上げてくれるな。望んでいた反応そのまんまだ。この様子だし、俺の能力値は凄いってことは確定だな。そもそも、自分で見た時点で割とチートみたいな能力値だなとは思ってたんだけどな。
「こんなの信じられないわ。私たちが目が見えなかった間に改ざんしたんでしょ。冒険者カードの改ざんは、犯罪だけど今回は見なかったことにしてあげるから正直に白状しなさい」
「信じられないからって妙な罪なすりつけてくるなよ。そもそも、あの光だって予期せぬものだったじゃないか。それも計算に入れて俺が、二人をだまそうとしていたとでもいうのか? そんな話が通るわけないよな」
「いいえ、あの光で唯一目をやられていなかったじゃない。それが何よりの証拠よ。事前にわかっていたから目を瞑って回避することができた。どう? もう言い逃れできないんじゃない?」
「めんどくせぇなぁ。何の得があってそんなつまらないことしなくちゃいけないんだよ。大体、戦ったらすぐにバレるような嘘つく何てあほ以外の何ものでもないだろ」
「た、確かに……嘘をついたところでこんな出鱈目な能力値にしてたら一瞬でバレて終りね。それじゃあ、これが本物だとでもいうわけ?」
しつこい女だ。
どうあっても俺の能力値を信じる気はないって言うのか? まさかこんないちゃもんつけられるなんてな。これは流石に予想外だわ。
「ベルジナさん、落ち着いてください。私がカードが不正に書き換えられた痕跡があるか調べてみます。カードを一旦こちらへ……えぇぇぇぇぇーーー!!」
「ちょっと声がでかいって。驚きすぎだろ」
「無茶苦茶過ぎますよ。こんな改ざんする人なんてあほです……ふぅ、一旦忘れました。それでは、水晶にかざしてみますね」
そういうと、お姉さんが俺の冒険者カードを水晶にかざした。
特に何も起きなかった。
「はい、これで終了です。冒険者カードに改ざんを行った痕跡はありませんでした。つまり、この能力値がショウマさんの正真正銘真の能力値というわけです……えぇぇぇぇぇーーー!!」
「だから、うるさいって。この人あほなのか?」
「すいません、取り乱してしまいました。ですが、ベルジナさんが信じられなかったのも無理はないですね。私も早、3ねんこのギルドで働いてきましたが、これほどの能力値を見たことはありませんから。といっても、私がみたことのある中で最強なのはベルジナさん何ですけどね」
「それじゃあ、俺はベルジナよりも強いってわけか。どうだ? 負けを認めろよ」
俺がそういうと、ベルジナは悔しそうに唸っていた。




