アドライト鉱石?
アドライト鉱石だ…
「あ…またアドライト鉱石がありましたね。
取ってていいですよ、私たちは休んでますんで。」
おれはその鉱石ををまじまじと見つめる。
「おかしい…。」
「どうかしました?別にそんなレアな鉱石じゃないんですよね。だったら別に…」
「これを見てくれ。」
俺が指をさす場所をニャミスがジーっと見るとクーが割り込んでくる。
「…さっき誠が削ったところが欠けてる。形もそっくり。」
おれは辺りを見回す。
「ああ、それに見落としていたが洞窟の構造もそっくりだ。
恐らく数時間前に通った場所で間違いないだろう。」
だがおかしい点が一点ある。
「お前たちが重そうにしながら担いできたその綱、
全く同じ場所に戻ってきてしまっていたとしたら、その綱が
一周していないとおかしい…。」
「どういうことですか?」
ニャミスが首を傾げる。
「どういうことって…、道に迷わないようにわざわざ入口にその綱を
繋いでここまで来たんだろう?
なら、既に通った前方の道に綱が無くてはおかしいじゃないか。」
何かにハッと気づいたニャミスの顔が急に青ざめ始める。
まさかコイツまたとんでもないおっちょこちょいを…
「忘れました…」
「何を?」
「…入口に繋いでくるの忘れました…
よくよく考えたらおかしいなーとは思ったんですよねー。
そういえばこの綱100メートルしか無かったですし。
なのにずーっと前に進めるなーって。」
「………。」
俺はダッシュでこの綱の先っぽを確認し、絶望する。
「………。」
こいつら…ただこのクソ重い綱を何の意味もなく引っ張ってきただけか…?
おっちょこちょいとか天然とかそういうレベルの話じゃない…。
俺は頭を抱えトボトボと2人がいるところまでゆっくりと戻る。
「…まあ、道に迷ってしまったのは先頭で歩いた俺の責任もあるしな…
だがまあ、心配は要らないだろう。クーの転移魔法があれば洞窟の入口まで
一っ飛びだ。夢の彼方へさあ行こう!」
「「………………………………。」」
…なんだこの沈黙は。
「よし、クー!入口まで転移魔法で一っ飛びだ!」
「…どうやって?」
クーは何を言ってるか良く分からないといったような表情を浮かべている。
「どうやってって…ラールだ!使えるだろう!?」
クーは何か考え込んでいるようだったが、しばらくして閃いたようでポンと手を叩く。
「…使えるのは使える。でも出てくるか分からない。」
…多分、これが嫌な予感の招待だ…俺は直観的にそう思った。
「………出てくるか分からないというのはどういう意味だ?」
次のクーの返答でその嫌な予感は見事に的中する。
「…私が使える魔法はプルパンテ(何が出てくるか分からない魔法)だけ。
魔法の種類は全部で319種類…1日に私が使えるのは3回まで。
だからラールが出てくるかは分からない…。」
サンイチキューを3回転だと………、それって確立何パーだ…おれは絶望した。
ニャミスがテヘッとわざとらしく笑う。
「あれ、言ってませんでしたっけ?でも攻撃魔法も治癒魔法も使えますし、
嘘はついてないですよね!?とりあえず1回使ってみます?」
………命を伴う契約は慎重に。
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