俺が愛した女性に君が瓜二つだったから、君を俺が見つけられたのかもしれない!
俺は5年前、愛する女性を失った。
彼女は見知らぬ男に襲われて、ナイフのような刃物でめった刺し
にされて殺される。
彼女は、誰かに恨みを買うような女性ではない!
誰にでも優しく親切で、そんな俺は彼女の事を心から愛していた。
近いうち、俺は彼女と結婚する為に結婚式場も予約していた。
彼女の両親にもちゃんと挨拶に行っていた。
『・・・き、緊張するな、』
『大丈夫よ、お父さん凄く優しい人だから。』
『でもさ、こういう時は緊張するよ。』
『頑張っ!』
『オ、オウ!』
彼女の実家に二人で行って、俺は彼女のお父さんとお母さんに挨拶する。
彼女のお母さんとは何度か会っていて仲良くさせてもらっていた。
気さくで豪快な彼女のお母さん、俺は少しホッとしていた。
俺は口下手で、あまり話すのが苦手だからだ!
彼女のお母さんは、細かい事を全く気にしないステキなお母さんだった。
・・・ただ、お父さんは違う!
“初対面”だし! どんな反応をするのか不安で仕方がない!
でも? 彼女はお母さん似なのか? お気楽で俺に“大丈夫だから”と
言って励ましてくれる。
きっと上手くいく! 俺はそう信じて勇気を振り絞り俺から彼女の両親に
話し出した。
『・・・す、スミマセン、お忙しいところ会って頂いて。』
『・・・・・・』
『いいのよ、“結婚の挨拶に来たんでしょ!”』
『あぁ、はい! “お父さん、僕に娘さんをください!”』
『・・・・・・』
『お父さん、』
『あらあら? どうしちゃったのよ、お父さん!』
『・・・む、娘を頼みます。』
『はい! 必ず娘さんを幸せにすると誓います!』
『・・・あぁ、頼むよ。』
彼女のお父さんはそう言うと? 下を向いて泣き出してしまった。
そりゃそうだよな、“大事に育てた娘を何処の馬の骨かも分からない
男に嫁をやる父親の気持ちはなんとなく俺にでも分かる!”
悔しさや娘を託す父親の気持ち。
それでも、彼女のお父さんは俺に彼女を任せると言ってくれた。
その期待に俺も絶対に答えなくてはと、あの時の俺はそう思ったんだ!
*
・・・でも? “こんな形で俺と彼女は終わってしまった”
いや? 厳密には終わっていない!
俺は彼女が亡くなって5年経つが、未だに彼女の両親と関係を築いている。
彼女のお母さんは、俺と会うといつもこんな風に言うだ。
『瀬戸君、もういい加減! 夕奈の事は忘れてもいいのよ。』
『・・・お、お母さん、』
『未だに犯人も捕まってないし! 瀬戸君だってもうあの子の死を受け止めて
新しい恋ぐらい探したらどう?』
『気持ちは嬉しんですけど、まだそんな気になれないんです。』
『あなたも十分、苦しんだわ! もうあの子の事は想い出にしていいのよ。』
『・・・いつかそうなれたら、でも今は未だ夕奈さんの事だけを好きでいさせて
くれませんか?』
『瀬戸君がそこまで言うなら、ワタシはいいけど......。』
『・・・お父さんは、今日は居ますか?』
『ごめんね、また出掛けてるのよ。』
『何時頃、帰って来ますか?』
『・・・そうね、今日はもう帰らないと思うわ。』
『そうですか、じゃあまた来ます。』
『えぇ、ちゃんとご飯食べるのよ、よく寝て、元気でいてね。』
『・・・は、はい。』
彼女の実家に行った帰り、俺は彼女に瓜二つの女性を見かけた!
そして俺は無意識に彼女を追いかけ、彼女の肩を叩いた。
『・・・な、なんで生きてんだよ!』
『えぇ!?』
咄嗟に出た! 俺の言葉。
彼女は俺を見て、“この人誰?”って顔で俺を見た!
俺も分かっている、彼女はもうこの世に居ない事、きっと俺の目の前に
居る女性は俺の愛した彼女によく似ているだけなのだろう。
『ごめんね、物凄く君が俺の知り合いの女性に似てたから。』
『・・・あぁ、い、いえ。』
『じゃあ、』
『あの? 少しお話しませんか?』
『えぇ!?』
『“何か大きな悩み事でもあるのかなって?”』
『俺、そんな顔してる?』
『してますよ!』
『ありがとう、じゃあお言葉に甘えて少し話を訊いてもらっていいかな?』
『はい!』
俺の愛する彼女に瓜二つの彼女との出会いは偶然で不思議だった!
見た目はよく似ているけど? 性格が随分と亡くなった彼女と違っている。
話す事が好きで、よく笑う子だった。
俺はそんな彼女に惹かれていく。
見た目がそっくりな彼女でも“中身”が違う彼女を俺はまた愛してしまった。
『これからはずっと一緒だから!』
『えぇ!?』
『いや? “俺は変らず君をこの先も愛していくよ。”』
『嬉しい! わたしもずっと貴方が好きよ。』
『あぁ、ずっとずっとこの先も一緒に、、、。』
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