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マンホールの怪物  作者: 小石沢英一
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第五章 三十一 今後

 空には雲一つもなく、晴天だった。

 

 旅行だったなら、最高の日と言えただろう。

 

 輝は十日前にありえない光景を目にした。信じられない事だった。

 

 宇宙人? ちゃんと日本語を喋ってる不思議さ。あれは何だったのか。

 

 夢?

 

 幻覚?

 

 その方がましだ。

 

 現実とは言いがたい。

 

 はっきりさせるためにあの場所に向かっていた。

 

 レンタカーで車の入れる位置で停め、そこからは歩きだ。

 

 輝は何度も来ているので、道に迷うことはない。馴れたものだ。

 

 簡単に辿り着けた。

 

 まだ、痕跡は残っていた。池だったはずだが、建物は健在だった。

 

 以前なら携帯で録画不可能だった。確認の為にカメラで撮影しようとした。

 

「何をやっているんだ!」

 

 輝の背後から声がした。声のトーンからして怒っている。振り返るのも躊躇し、逃げ出したい気持ちだ。

 

「撮影しようと……」

 

 輝はゆっくりと振り返ると、白い服が目に入った。長身なので、顔が見えなかった。視線を上に向けた。おじさんだった。顔は怒っている。


「無駄だよ」

 

 長身の男は言った。

 

 輝は長身の男が気持ち悪くて無視した。

 

「あっ……」

 

 輝はすぐに察した。携帯で動画を撮影しようとしたが、録画しない。画面をタップしても反応しないのだ。

 

 ゾッとし、身体か震えた。

 

 以前の状況と同じだ。敵を倒した思った。建物は変わりがないということは、どういうい事だ?

 

 不意に長身の男の顔を見ると、怒っていなかった。笑みを浮かべている。

 

「わかったか」

 

 輝は口をあんぐりと開け、棒立ちするしかなかった。「どう言うことだ!」出る言葉はそれしかなかった。

 

「すべて茶番だよ。始めから計画通りだ」

 

「えっ?」

 

 輝は困惑するしかなかった。いや、現実でないことを祈った。

 

「この地球を乗っ取るC計画。つまりChild計画。若年層を洗脳し、やがて彼らが大人になる頃には我らの言うことは絶対服従になる計画だ」

 

「そんな……でも、何で茶番を?」

 

「我らも完璧ではない。何度も失敗し、そのデータを元に完璧に仕上げるのだ。だから、失敗が多ければそこから分析し、成功するための要因うぃさぐるのだ」

 

「この地球を支配してどうするんだ!」


「我々の住みやすい環境だ。もちろん支配後は地球に不必要な六十億人を消去する」

 

「そんなことが許されるのか!」

 

「誰に許しを請うというのだ? 」

 

「神様? いや、違うな誰だ……」


「人間が環境破壊の原因だ」


「……」

 

 輝は思考を停止した。

 

「諦めろ。そして、完全な支配までは十年以上はかかるからそれまで、楽しい人生を送るんだな。阻止は無理だぞ。地球に存在するあらゆる武器は通用しないからな」

 

「諦めないぞ!」

 

「まあ、頑張って」

 

 長身の男は高笑いした。

 

 そこに建物から子どもたちが出て来た。前と同じだ。行列が出来ていた。

 

 輝はただ、横を通り過ぎる子どもたちを傍観するだけだった。

 

「おい!」

 

 輝の目に知った顔があった。先日、小学校の前にいた留樹緒と人太だ。

 

 無視して通り過ぎて行く。


 追いかけても無駄だろう。目は真っ直ぐだけ見て、輝の存在など眼中にない。


「そんな……」


 輝は肩を落とした。近未来のことを考えたら、消去される側になるのだろうと、絶望感しかなかった。


 

 了

 


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