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マンホールの怪物  作者: 小石沢英一
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第五章 三十 修太の想い

 陽も落ちて、街灯の明るさでは近くに来ないと、誰だか判別できない。お店から少し離れた場所ではなおさらだ。

 

「修太!」

 

 と、いきなり声をかけられて驚いた。

 

 修太の前に同じ年のいとこの紗良がいた。

 

「お前か……こっちに越してからよく会うな」

 

「残念な言い方ね」

 

「……」

 

「どうしたの? 落ち込んでいるの?」

 

「いや、そんなことはない……」

 

「否定してもわかるよ。ナニナニ。もしかして、恋の悩み?」

 

「違う……」

 

「そうなんだ」

 

「違うって」

 

「隠しても無駄よ。子どもの頃から知っているからバレバレよ」

 

「……」

 

「やっぱりね」

 

 紗良は何度も頷いた。

 

「ちょっと、いいかな?」

 

 そこに一人の男が割りこんできた。真っ白なスーツを着ていた。

 

 紗良は男の顔を見るために、視線を上に向け「デカッ!」と言った。


「君たちは恋人どうし?」

 

 長身の男は唐突に()いた。

 

「違うよ。ためのいとこ同士」

 

 紗良は言い終えると、長身の男は首を傾げて「ため?」

 

「えっ? ためがわからないの。もしかして外国人?」

 

「今、覚えた」

 

 と、長身の男は言った。

 

 紗良は不審な眼差しで、見ていた。

 

「そんな変な目で見ないで。それよりも頼みたいことがあるんだけど、カエルを見つけたら、私に持ってきてくれないか。お礼にどんな願いも叶えてあげる」

 

「カエル? ゲコゲコ鳴くカエル?」

 

 紗良は首を傾げた。

 

「そうだ」

 

「カエルなら売っているのでもいいの?」

 

「黄金のカエルだ。ピカピカ光っているから、見ればわかる」

 

「そんなのいるかよ!」

 

 今まで黙っていた修太が言った。

 

「この辺にいるから、頼んだよ」

 

 と、長身の男は言うと、すっと消えた。

 

「あれ? 修太、あのおじさんどこ?」

 

 紗良と修太はキョロキョロと見回すがどこにもいなかった。

 

「消えた? どういうことだ」


「修太、黄金のカエルさがそうよ」

 

「嫌だよ」

 

「だって、カエルを持って行けば願いを叶えてくれるって言ってたじゃない?」

 

「願いってそんな簡単に叶えるものかな。それもカエルだよ」

 

「黄金のカエルさがそうよ」

 

「やだよ」

 

「私が見つけても、修太の願いでいいから」

 

「そんなうまい話があるけわけない」

 

「修太の願いって恋の話だよね。相手はどんな人?」

 

 紗良は目をギラギラさせている。

 

「近くにいるけど、手の届かない存在だよ」

 

「それって……あの子か。そう言えば、近所に自宅があったよね」

 

「まぁ、そうだね……」

 

「それならなおさら、カエルの力を借りないと」

 

「でも、そうなると、アイドルを辞めないといけないから……でも、二十歳になればアイドルは卒業するし、もし、その時……」

 

「それじゃ、カエルはさがさないのね?」

 

「いや、さがそう」

 

「えっ! その流れだとさがさない感じだけど……」

 

「どうせ黄金のカエルなんて、見つかるわけがないだろう」


「そんな事さがさないとわからないじゃん」

 

 と、紗良は笑ったが、修太は暗い表情になり、無理に笑顔を作り微笑んだ。


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