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マンホールの怪物  作者: 小石沢英一
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第五章 二十八 エマの決断

 場内の電灯が消えた。

 

 そして、曲が流れた。

 

 ファンたちは待ちに待ったティーンフュチャーのコンサートだ。(ざわ)めきが歓声に変わり、スポットライトがメンバー全員を照らすと、歓声はさらに大きくなった。

 

 歌い始まると、ファンたちはリズムに乗った歓声を上げた。

 

 一曲目が終わり、スポットライトはエマだけに当たっていた。

 

「発表があります」

 

 場内の歓声はスピーカーから流れるエマの声が勝っていた。

 

 次第に静まり返った。

 

「私、個人の話です……」

 

 場内は動揺の声が上がった。いわゆる重大発表をするではないかという不安の声だ。

 

「このポジションにまで上りつめるまで、大変だったわ。脱落者はたくさん見てきたし、正直、私も限界って感じて辞めようと思ったわ。つい先日ね……」

 

 場内は『辞めないで!』と、ファンの声が響く。

 

「普通の高校生もいいなって思った。アイドルを続ける意味がある? そんなときに私のファンと出会って勇気をもらったわ。そして、続けるか辞めるか決断しました」

 

『辞めないで!』

 

 と、ファンの声が飛び交っていた。

 

「今日はその子に報告をしたいんで、この会場のどこかにいると思います。卒業まで突っ走ります!」

 

 エマはきっぱりと言った。


 場内は喜びの歓声が響いた。


 エマは大粒の涙を落とした。


 観客の誰もがわかるほど顔を曇らせた。


「泣かないで!」


 と、歓声飛びかった。


「もう、泣かない……」


 エマは笑顔に変わっていた。


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