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マンホールの怪物  作者: 小石沢英一
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第五章 二十四 地球の運命は?

 周囲は静まり返っていた。


 小瓶を流都が拾うため、手を伸ばしてした。それを阻止するりりかは身体でガードし、先に奪い戻すのか。

 

「あぁ……」

 

 その声はエマの悲痛な叫びだった。

 

小瓶をりりかは拾わずに、足で壊したのだ。絶望と言う言葉しか浮かばない。

 

 りりかは微笑み、エマと輝と留樹緒は口を開け、呆然としていた。

 

 流都は顔を上げずに、キョロキョロと周囲を伺っていて、喜怒哀楽はなかった。

 

「諦めなさい。あなたちは支配されればいいのよ」


 りりかは興奮気味に言った。そこに緑色の生命体が近づいていた。

 

 倒す機会をなくしたエマたちは抜け殻のようだった。

 

「そうだ、この子の言う通りだ。無駄な抵抗をしないのが正解だ」

 

 緑色の生命体は言った。

 

 支配下になったらどうなるのだろう。緑色の生命体の言いなりにになってしまうのだろう。

 

 りりかを見ていると、意思が欠落して、何のために生きているのだろうか。

 

 それで楽しいのか。側から見る限り楽しさは感じられない。

 

 流都は目の前のエマの不安な顔を見てしまった。

 

 そうだ。

 

 頭の中で何度も聴いたエマの曲が流れた。

 

 急に勇気が湧いた。

 

「うぉ! 諦めるわけにはいかない」

 

 と、流都は大声を発した、


 りりかも突然の事で振り返って見るが微動だにしない。

 

「やめろ!」

 

 緑色の生命体が言った。その声は怯えていた。

 

 流都は輝の持っていたペットボトルを拾ったのだ。倒れているとはいえ、ペットボトルの中には少し液体が残っていた。

 

「あっ!」

 

 りりかも状況がわかったようだ。

 

 しかし、対処する前に流都はペットボトルの液体をりりかに振りかけた。

 

 緑色の生命体を守る人太とりりかは屈んでいて役目を果たせそうにない。

 

 ペットボトルにはまだ液体が残っていた。

 

「止めろ!」

 

 緑色の生命体は焦っていた、踵を返し、走った。

 

 流都は勢いよく走ったので、緑色の生命体に追いつくのは時間の問題だ。

 

「待て!」

 

 勝ちを確信した流都は強気だ。

 

 緑色の生命体は足をもつれて、前屈み派手に倒れた。

 

 形勢逆転。

 

 うつ伏せに倒れた緑色の生命体に簡単に追いつき、流都はペットボトルに入っている残り少ない液体を垂らした。

 

 無抵抗だった。残りの一滴を身体にかけた。緑色の生命体の身体から、黒い煙が立ち上がった。

 

 黒煙は消え、緑色の生命体は消滅した。


「やったぞ!」

 

 流都は喜びの声を上げた。

 

 それと同時にエマと留樹緒と輝の顔にも笑顔が戻った。

 

「あれ?」

 

 りりかが周囲を見回してい、流都がいるのに気がついた。「何で、ここにいるの?」

 

「記憶がないのか?」

 

 流都はりりかに近付きながら言った。

 

「ないよ。怖ーい……」


 りりかは顔を真っ青にして、いまにも泣きそうだ。

 

「大丈夫だよ」

 

 流都は優しい目で訴えていた。

 

「あの……お取り込み中で、悪いんだけど……」

 

 エマは流都とりりかの雰囲気を察していた。「あっ、エマさんですね!」

 

 流都はエマに気づいた、「大ファンです、いつも曲を聴いています」

 

「それはありがとう」

 

「曲を聴いて勇気づけられています。今日もピンチのときに頭の中で勝手に曲が流れて、怪物を倒せたのもエマさんのお陰です」

 

「私は何もしていないよ、それどころか、ファンのあなたから私も勇気をもらったわ」

 

「そうですか……」

 

「私はある決断をするわ」

 

「それは……」

 

「これからの事よ」

 

「もしかして……」


「その先は言わないで。そんな事より、彼女を大事にね」

 

 エマは微笑んだ。

 

 流都はエマに何か言ったような気がしたが、あまりの緊張に覚えていない。気がつくと、エマとりりかが話している。その会話に入れず、終わるとエマは手を振って行ってしまった。

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