第五章 七 今後の事
留樹緒の目の前に虫かごがある、中にはウシガエルがいる。流都が持って来たのだ。
どうする?
と、沈黙が続いた。
対処法が思いつかないのだ。中学生と小学生が知恵を絞ったところで答えが出るわけがない。肝心の長身の男がいないからだ。
「誰か大人で信用出来る人がいないの?」
留樹緒は流都に訊いても黙っているだけで、苛ついて舌打ちをした。
「そんな事を言われたって、こんな事を信じる大人はいないだろう。夢でも見ているのって笑われるのがオチだ」
「どうしよう……」
留樹緒は今にも泣きそうだ。
「泣くなよ。ここで泣いたら、俺が小学生をいじめたみたいで、先生に怒られるだろ」
「先生? そうだ。先生だよ」
留樹緒は泣きそうな顔が嘘だったかのように、笑顔に変わった。
「先生が信じてくれるのか?」
流都は首を傾げた。荒唐無稽な話を信じてくれる先生が存在する事が疑わしいからだ。
「担任の佐村先生に……」
「えっ? 佐村先生ってもしかして、銀縁眼鏡をかけた佐村恵利か?」
「そうだよ」
「元担任だよ」
「何だ、卒業生だったのか。それじゃ、先輩という事だね」
「そうだよ。佐村先生なら、話やすから、カエルを預かってもらおう。あと、先輩っては嫌だな。野丘流都だから、流都でいいよ」
「それなら、留樹緒です」
「りりかに見つからなように気をつけよう」
「りりかって誰?」
「同級生。最近、変なんだよ。前とは明らかに別人の感じがする。それにこのカエルを異常に欲しがって、今も小学校の校門の前で待っているよ」
「あれ?」
留樹緒は首を傾げた。
「どうした?」
「人太も同じだ」
「そいつもカエルを欲しがっているのか?」
「カエルも欲しがっているけど、数日前に行方不明になって戻って来たら、別人になって、変な事を言ってきたよ」
「変な事?」
「C計画とか、わけがわからない事を言われても計画そのものが意味不明だし……」
「C計画ね……」
流都はその場に微動だにもせずにいた。理解出来ない事だらけで、思考を停止するしかなかったからだ。
「流都、何かわかった?」
そんな事とは知らずに、留樹緒は流都をジロジロと見回した。
「わかんないよ!」
ジロジロ見られる気持ち悪さから、怒りが増した。
「そう、それならばいいけど……」
留樹緒はしょんぼりと下を向いた。
「行くぞ!」
「どこに?」
「学校に決まっているだろう」
「そ、そうだね」
留樹緒は頭をかきながら笑った。これから先に大変な事が起こり、笑顔さえなくなる事などまだ知る由もなかった。




