表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンホールの怪物  作者: 小石沢英一
30/58

第五章 三 小学校の校門

 虫かごにウシガエルはいる。昨日、小学校の前からかっさらったが、これからどう行動するか決めかねていた。

 

 異様な光景を目の当たりにした流都は怖くて、外に行くのさえ怯えていた。

 

これは夢ではない。地球滅亡の危機だ。少なくとも大人には頼れない。もちろん同級生だって信じてもらえるはずがない。

 

 長身の男さえ小学生と、争っていたし、誰を信じていいか迷う。

 

 どうすればいいのか

 

 何も思い浮かばない。

 

 狭い部屋の中をウロウロしても、何も変わらない。

 

 落ち着こう。

 

 流都はティーンフュチャーのアップテンポな曲を流した。

 

 今、出来るのはそれくらいだ。気を紛らわす逃げの方法がそれしか思いつかなかった。

 

 曲に集中出来ない。

 

 いつもならエマを眺めていたはずだ。それどこれではないからだ。

 

 急に浮かんだのはエマではなく、りりかの顔だった。

 

 流都は急に頭の中に蘇った。

 

 携帯に文字を打っていた。

 

『家にいるの?』

 

 流都は即行、送信した。

 

 考える暇もなく、着信音が鳴った。


『いる』

 

 と、りりかだ。返信は早いが、文章が以前と違い簡素だ。砂奈からの情報がなければ、気にならなかっただろう。別人ではないかと疑いたくもなる。

 

『ウシガエルを捕まえたよ』

 

『今、どこにいる』

 

『家だよ』

 

『ウシガエルを持って、小学校の前に来て』

 

『すぐ行く』

 

 流都はりりかに約束をしたが、ウシガエルを持って行くつもりはない。別人かもしれない。易々と渡して後悔しないための対策だ。虫かごにウシガエルがいる事を確認して、手ぶらで小学校に向かった。

 

 小学校の門から児童がチョロチョロと出て来る。下校時間なのだろう。小学生ではない人影があった。

 

 りりかだ。

 

 流都の方が先に到着すると思っていた。マンホールをチラッと見たが、何の変哲もない。蓋が浮いているなどありえない事だ。まして、中から影や光線とか空想の領域だ。

 

「ウシガエルは?」

 

 りりかはあいさつもなく、いきなり本題だ。もちろん笑顔もない。

 

「忘れた」

 

 流都はニッコリと笑った。

 

「早く、持ってこい!」

 

 りりかに笑顔はなく、眉間にしわを寄せ、怒りをあらわに出している。怖い。


「それが……」

 

 流都は顔がそっくりだがりりかではないと思った。

 

「何?」

 

こんな怖いりりかは始めてだ。

 

 流都はこの場を逃れる策を思案した。「途中で逃げられちゃったよ」と、嘘をついた。

 

「忘れたのか? 逃がしたのか? どっちだよ。さがして、持ってこい!」

 

 流都は騙せる自信はなかったが、簡単に信じたようだ。

 

「さがしてくる」

 

 と、流都は走りたいのを抑えて、ゆっくりと歩いた。逃げられたと思われないためだ。りりかからはどう映ったのだろうか。追って来ないので、さがしに行ったと思ってくれたのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ