第五章 二 企み
外は晴れていた。陽射しも強く、雨が降る気配さえない。心配事がなければ気持ちのいい日の始まりだ。
留樹緒はこの地球で宇宙人が悪い企みをしている確信があった。昨日の事はどう考えても異常だ。目の前で長身の男が消えたり、マンホールの穴から黒い影が現れたり、そして、失踪後、人太が別人のような態度。
大人はこんな話をしても絶対に信じないだろう。唯一可能性があるならとしたら、ウシガエルを持って行った中学生だろう。
どこにいる。
顔も見ていないので、さがす手立てはない。
絶望的な展開と言えよう。
何も進展しないと思っていた。
留樹緒が教室に入ると、人太が待ち構えていた。
「お前も入れ」
人太は唐突に言った。
留樹緒は予期さえしていなかったので、驚き、無言だった。それもそのはずで、人太の言っている事が理解出来ていなかったからだ。
「入れって?」
留樹緒は少し、間を置いて訊き返した。
人太は無表情を崩さず、腕を組んで待っていた。
「組織に入るのか?」
やはり強引で、前とは違う。
「それじゃ、何の事だかわからないよ。詳しく教えてよ」
人太は目を左右に不規則に動かし、数秒後に止まった。「C計画だ」
「はっ?」
余計にわからなくなって留樹緒は首を傾げた。
「わからんのか!」
「しばらく考えてもいい?」
留樹緒は涙目で訴えていた。
「早めにな。そうでないと強引に……まあ、考えてくれ」
教室内にいた誰もが人太の言動が訝しく思えた。
留樹緒は人太と話さないように距離を置く事にした。今、出来る事はそれくらいだ。そして、ウシガエルを持って行った中学生をさがすだけだ。その先に解決策があるとは思えないが、長身の男が消えてしまったので、頼る当てがそれしかないのだ。
いつの間にか六時間目は終わり、教室は空っぽだった。




