第三章 五 モヤモヤ
りりかは二日間、流都に『今日は暇?」』と送信した。決まって返事は『忙しい』だった。
砂奈に言われた作戦を実行出来ないでいた。
三日目も昨日と同じ返答だった。
りりかは悩んでいた。帰りに気がつけば小学校に向かった。職員室に佐村先生はいた。
「ウチのクラスが発端らしいけど、カエルを教室に持ち込んだりして大変よ」
佐村先生は口をへの字にした。
「カエルですか? またどうして?」
「よくわからないのよ。マンホールに怪物がいるとか空想じみて困っているのよ。あなたたちの頃はなかったから特にね」
「……」
「どうしたの? 浮かない顔して」
と、佐村先生はすぐに気がついた。
「わかります?」
「もしかして、野丘くんの事?」
「えっ、何で、先生わかるんですか?」
「やっぱりね」
「流都にメールしているんですけど、素っ気ない返事しかこないんです。どうしたらいいですか?」
「何て?」
「忙しいって」
「そうか。そうだ。この間、クラス会の話をしたでしょう。その話題で会ったらどう?」
「でも、それも拒否されたら?」
「そしたら、待ち合わせ場所を指定して、待っているって言えば、野丘くんは絶対に来るわ」
「本当ですか?」
「その時にしつこく待っていると言えば来ないわけないから」
「ありがとうございます」
りりかは笑顔で佐村先生に頭を下げた。
「いけない。用事があったんだ。もう時間だから。それと、クラス会はここでやればいいわ。日付は十一月の第二日曜日がいいわね」
「わかりました」
りりかはモヤモヤな気持ちから少し解放された。佐村先生に会いに来て正解だった。
帰り際、下校する小学生たちが大きな声で会話をしていた。
「ウシガエルを捕まえたら、ゲーム機と交換だってよ」
「絶対に捕まえる!」
「帰ったら、公園に集合だ」
りりかの耳にもはっきりと聞こえた。
佐村先生が言っていた事だ。空想なのか。ではなぜここまで騒がれているのだろうか。




