最弱の再戦と成長
「グランド……オクトパス」
あいつ、弱点属性無かったんだよな~。
「なんだ影助。知ってたのか?」
「あぁ。ちょっとな……」
「そうか。じゃあ楽勝だな。行ってこい」
「ちょっと待て!俺はあいつとの戦い方を知ってるわけじゃないんだが?」
俺がそう言うと直也は少し悩んだような顔をした。
しかし直ぐに
「よし。やっぱり、行ってこい!」
と、俺の背中に手を当て、押し出した。
実戦で慣れろって事か?
まぁ普通は相手の弱点を最初から知ってるわけじゃないからな。
「しょうがない。行ってくるよ」
俺は直也の方に手をひらひらやってグランドオクトパス探しを始めた。
「全く……あいつは探すのから大変なんだよな~」
俺が文句を言いながら砂浜にある砂山を片っ端から短剣で刺していると
「影助~。さっさと見つけちまえ~」
「影助お兄ちゃん~頑張れ~」
と、催促と応援が飛んできた。
俺はやれやれと
「あぁ。俺ではどうにもなんないけどな~」
と、返しながら砂山を刺すと、グサッと刺さった感触を感じた。
当たりだ。
そう気づいた直後その砂山を中心に大きな茶色のタコが砂中から姿を現した。
頭のてっぺんにはこぶみたいな小さなふくらみがついている。
そこには俺が咄嗟に手を離した短剣が刺さっている。
そう。このグランドオクトパスには絶対に一本短剣を持っていかれるのだ。
魔術でも使えるなら別だが……俺は使えない。
「影助~。大丈夫か~?」
直也が砂煙の中俺の安否を確認する。
「あぁ。そっちは~?」
俺が聞くと、答えたのは灯ちゃん。
「大丈夫~。それより影助お兄ちゃんはあいつに集中だよ!」
「ありがとう!灯ちゃん」
「うん!頑張って~。いざとなったら灯が助けに行くからね~」
直也。お前も少しは見習え!
年下の女の子に守られるのはちょっと、と言うか、かなり恥ずかしいから……助けに来るのは直也で頼む!
「その前に負けるわけにはいかないんだがな!属性付与!」
自分を奮い立てるように言って、飛んできたタコ足の攻撃を避ける。
しかしどう戦ったら……。
走りながらそんなことを考える。
ダンッ、とまたタコ足が打ち付けられる。
辺りは砂が舞い上がり視界が悪い。
……
ッ!また攻撃。
あいつ、俺の居場所がわかるのか。
なんでだ?こんなに視界が悪いのに……。
クソッ!このままじゃ走り回ってるだけで終わっちまう!
あいつの弱点。それさえ分かれば!
そもそもあいつに弱点なんてものあるのだろうか……。
いやっ!探すんだ!あいつの弱点を!
俺は視界の悪い中を走りながら、目を凝らしてヤツを観察していた。
「やっぱり分からない~!」
そう声を出した直後タコ足の攻撃が飛んできた。
避けた。そう思って気を抜いた。
ヒュッ、と音と共に俺の頬をタコ足が撫ぜた。
危ない。
それでもダメージは体力の半分近くまで減らされた。
盗賊はHP、防御、と言った耐久力についてはおまけ程度にもならない値しかない。
もう一度食らったら終わりだ。
そう思った直後、再び攻撃が飛んできた。
クソッ!弱点は無いのか。
そう思いながら俺は攻撃をギリギリで避けた。
その直後俺の視界に文字が出た。
ステージ1『弱点属性探知』
を取得しました。
新スキル?
取り敢えず使ってみるしかない!
「弱点属性探知!」
すると俺の視界には、聖属性が有効です。
と言う文字が。
聖属性?
俺が知っているのは火、水、雷、風、地、そして無。
この六つのみだ。
いや、今はそんなことを考えてる余裕は無い。
「やるしか、ない!」
俺がそう叫ぶとまた、タコ足の攻撃が。
「属性変換!」
そう言い俺は短剣に聖属性を付与。
何の問題も無く成功した。
聖属性とはいったい?
俺は疑問を抱きながら、タコ足を切りつけた。
すると、スパッとほぼ抵抗なくタコ足が切断された。
す、凄いな聖属性……。
驚く暇もなく次のタコ足が飛んできた。
俺はそれもスッパリ切断し、本体へ走った。
すると、残りのタコ足が次々と攻撃を仕掛けてきた。
俺はそれらを難なく切り捨て、本体へ。
足が切断され、身動きの取れないヤツはその場でジタバタとのたうち回っていた。
いける。
俺は地を蹴り空中へ跳んだ。
そして短剣を2本構え、そのままヤツの体に向かって落ちる。
「いけええええ!」
精一杯に叫んだ直後、短剣はヤツの体に突き刺さった。
最初のような刺したような感触は無い。
そしてヤツの体は消失した。
グランドオクトパス、討伐完了。
出すのが次の日になってしまいました。
すいません。
明日は……。今日は、ですね。出します。
また遅れたらすいません。
『弱点属性探知』
相手の弱点である属性を知る事が出来る。
基本的にどのような相手にでも使用可能だが、無効化される場合もある。