真友(しんゆう)
「あぁ。久しぶり。まさか、ここで直也、お前に会えるなんてな」
「そうだな。影助、会いたかった」
「あぁ、俺もだ」
俺はそう言い直也と強く手を握り合った。
「まぁ、ここに来たきっかけとか、そういうのはあまり嬉しいもんじゃなかったけどな……」
「そうなのか?」
「あ、あんまり気にすんな。俺はそんなに気にしてないから」
あんまり、直也に心配かけちゃ、悪い、よな。
「そう言えば、灯ちゃんは拳士だったんだな」
俺が話題を変えようとそう言うと、
「へ、変、じゃないですか……?」
と、少し恥じらいながらそう言った。
「あぁ。似合ってると思うよ?」
そう答えると
「あ、ありがとうございます!」
と、凄く嬉しそうに言った。
「聞いてくださいよ影助お兄ちゃん!」
「お、おう。なんだ?」
なんか急に声が大きくなったような……。
「はい。私は兄さんにも同じことを聞いたんです」
「そしたら兄さん。お前、意外に小さかったんだな。とか言ったんですよ?!」
あ~なるほど。それでなんかモジモジしながら言ってたのか。
「酷いじゃないですか!私そんなにちっちゃくないですよ!」
「と言うか、そんなことを聞いたんじゃないんですけど!」
灯ちゃんはとてもお怒りのようだった。
これは手の付けようが無さそうだなぁ~。
「あ、灯。俺は別に、お前のその……」
「俺はただ、あまり灯の事を観察したことが無かったからつい……」
直也は灯ちゃんの勢いに飲み込まれ、しっかり言い返す事が出来ていなかった。
直也……ファイトだ。
「つい……じゃないです!」
「いいです。私は今日から影助お兄ちゃんの妹になりますから!」
その言葉を聞いた俺と直也は同時に
「「え?」」
と返してしまった。
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「全く。二人とも兄失格です!」
そう言いながら歩く灯ちゃんの後ろに俺と直也はついて歩いていた。
別に俺は兄になったわけじゃないんだがな……。
「そう言えば影助、お前は何のスキルを貰ったんだ?」
直也の言ったその言葉に俺は少し恐怖を感じた。
大丈夫、直也はあいつらみたいには……。
そう自分に言い聞かせて俺は直也にギフトスキルを見せた。
「あ、あぁ。これだ」
「なんだ?これは……。属性付与?」
直也はそう言いながらスキルの説明に目を通した。
「影助、お前まさか……」
直也がそう言いかけた途端
俺は更に大きい恐怖感に襲われた。
まさか、直也もか?
俺はまた、裏切られるのか?
一番の友達だと思っていたのに!
俺が自分の中で叫んだ直後に聞こえた言葉は
「レア物、引いたんじゃないか?」
だった。
「え?」
劣っていると言われなかったことは嬉しかった。
が、予想外の言葉に思わずそう返した。
「だけど……属性の付与だぞ?レア物かもしれないけど、正直弱いんじゃないか?と言うか、最弱なんじゃないか?」
何を言ってるんだ俺は?
折角そう言われなかったのに自分から……。
「影助。忘れたのか?このゲームのスキルは成長する」
俺はその言葉を聞いた途端、凄く心が軽くなったのを感じた。
俺は言葉が出なかった。
直也は続けた。
「だから、お前のスキルがどれだけ弱かったとしても、強くなる事が出来る。だからあんまり気にすんな。お前、結構気にしてただろ?」
「あぁ。ありがとう直也」
そうお礼を言った俺の頬を液体がつたって落ちた。
あぁ。俺、泣いてるのか。
「おいおい。大丈夫か?そんなに気にしてたか?」
そう言って直也は俺の肩に腕を回した。
嫌、じゃないな。
あいつにやられた時とは違う。
凄く――落ち着く……。
俺が直也に支えられながら歩いていると、急に前にいた灯ちゃんが振り返って言った。
「さあ、着きましたよ!兄さん。お兄ちゃん!私たちのホームです!」
それから俺を見て、
「あれ?影助お兄ちゃん。何で泣いてるんですか?」
そう言った。
あれ?と思った方いたらごめんなさい。
属性付与→属性付与
に変更しました。
すいません。最初から間違えていたようでした。
修正済みです。
そして、今回も見て下さりありがとうございます。
上手く書けてるか自分ではわからないのですが、楽しんで頂けてれば嬉しいです。
良ければ感想・評価等お願いします。