表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スキルの使い方  作者: 春山 隼也
3/21

再会

 俺は一人、芝生の上で寝転んでいた。

 緊張が解けた。そういうことなのだろう。

 しかし学校の方は相変わらずだ。

 教室にいるときただ一人、椅子に座ってジッとしている。

 たまに霧山さんが話しかけてくれる時がある。

 それが学校での唯一の会話だ。

 俺はこれまで何度も引っ越しを経験してきた。

 親が転勤族なのだ。

 途中で転校したことも多々ある。

 だから、俺には親友と呼べるような友達がいなかった。

 いつだって一緒にいる。そんな深い友達はいなかった。


---


「影助~?」


---


 だけど思い出す。

 今までになった友達とは少し違う。

 親友になれたかもしれない友達を。

 直也……。

「あの~、すいません。そんなところで何してるんですか?」

 そう言い俺の顔を除いたのは水色の髪をした少女。

 左右の髪は束ねられツインテールになっていた。

 年は俺より下だろうか。身長も俺よりそこそこ低そうだ

「少し、思い出に浸ってたんです」

 俺がそう答えると彼女は少し寂しげな眼をして

「そうですか」

 と返した。

「あの、私もいいですか?」

「どうぞ」

 俺が頷くと彼女は俺の隣に腰を下ろした。

「「……」」

 しかし、この子どこかで見たことあるような……。

 沈黙の中、俺は一人そんなことを考えていた。

「「あのっ」」

 俺と彼女は同時に声を発した。

「どうぞ」

 俺は彼女にそう言った。

「ありがとうございます」

 彼女はそう言ってから続けた。

「もしかして……奥野影助さん、ではないですか?」

 彼女は不安そうにそう言った。

「あ、はい。そうですけど……」

 誰だろう。なんか見覚えある気がするんだが……。

「やっぱり!やっぱりそうでしたか!」

 彼女は嬉しそうに言った。

 本当に誰だったか。なんか、申し訳ないな。

「あ、一人でごめんなさい。私の名前は川上かわかみ あかりです。川上 直也なおやの妹って言った方が分かりやすいですかね?」

 え、本当に?あの直也の?って事は、あの小さかった灯ちゃん?

「本当にあの灯ちゃん?」

 俺がそう言うと灯ちゃんは嬉しそうに

「はいっ!お久しぶりです!影助お兄ちゃん!」

 と言った。

 うん。久しぶりに言われるとなんか照れくさいな……。

「あぁ、久しぶり。灯ちゃん」

 灯ちゃんがいるって事はもしかして直也もいるんじゃ……。

「あのさ灯ちゃん」

「なんでしょうか?」

「直也はいるの?」

「はい。いますよ」

 あ、やっぱりいるんだ。

 まぁ、直也と灯ちゃんは二人してゲーム大好きだったもんな。

 よく一緒ゲームやったなぁ~。

 あの時は灯ちゃんがまだ小さくて、負けて悔しがってたな。

「ふふっ」

「どうかしましたか?」

「いや、何でもない」

 俺がそう言うと、灯ちゃんは遠くを見ながら言った。

「もしかして……昔の私とか、思い出してました?」

「あはは……。正解」

「そうですか~。あの頃は楽しかったですよね~」

「そうだね……ってあれ!」

 俺は咄嗟に指を指した。

 その方向にあったのはこちらに飛んでくる火の玉だった。

「私がやります!」

 灯ちゃんはそう言うと、火の玉に向かって走り出した。

 走りながら灯ちゃんは「魔法破壊拳ブレイクスペルフィスト!」と叫んだ。

 そしてそのまま火の玉を殴りつけた。

 すると火の玉は僅かに火の粉を散らしながら消失した。

 凄いな。火の玉を拳で。

 あれはスキルか。

「大丈夫?」

 俺がそう言いかけよると

「大丈夫ですよ」

 と微笑んで答えた。

「それより……」

 灯ちゃんは先程火の玉が飛んできた方向を睨んだ。

 その方向にいたのは……。

「兄さん!何でこんなことするんですか?!あんなのかすり傷にもなりませんけど、それでもです!」

「直也!」

「ごめんって灯。それと久しぶり、影助」

 直也は俺と灯ちゃんの方に歩きながらそう言った。

魔法破壊拳スペルブレイクフィスト


通常魔法攻撃に対して、あまり意味をなさない物理攻撃だが、このスキルを使うことによって干渉力を得る事が出来る。


その効果は攻撃の威力に依存する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ