始まり
お手に取って頂きありがとうございます。
楽しく書きたいと思います。
なお、ゲーム内のステータスはしっかりと決めておりません。
また、マイペース投稿です。
それでも構わない、と言う方はどうぞ。
――登録完了
――それではどうぞ。「Skill growth adventure」の世界は貴方を歓迎します。
---
「なぁ影助。これ、やんないか?」
そう聞かれたのは学校の昼休み。
「これは?」
「スキル・グロウス・アドベンチャーだ」
「お前も聞いたことぐらいはあるんじゃないか?」
ある。最近よく広告とかで見るゲームだ。
確か広告で『君だけの成長を遂げるスキルに刮目せよ』とか言ってたような……。
「確かにある」
「だよな。やろうぜ?スキグロ」
そいつはもう一度言った。
そいつと言っても友達だ。本名は高峰 塔弥
俺は高校に入学する今年、この町に引っ越してきたばかり。
友達のいない俺に話しかけてくれたやつだ。塔弥の他にも後二人友達がいる。
「う~ん」
俺が唸ると、塔弥は少し顔をしかめた。
「分かったよ。高峰」
俺は仕方なくそう言った。
「そうか。じゃあ、早速今日やろうぜ!」
「りょーかい」
---
こうして半ば強引にゲームをプレイさせられたのだが、折角だ。存分に楽しむとしよう。
そして今、俺はこの世界に降り立った。
「よぉ影助」
どうやら塔弥も来たようだ。
見た目の変更とかあったら誰が誰だかわかんなくなってたな。
「あぁ。高峰。おっ、二人も来たか」
「よろしくお願いするよ。影助」
「俺も一応、よろしくな」
「二人ともよろしく。平田。白神」
そう。この二人が後の二人だ。
一人目は平田 颯馬。
そして二人目は白神 龍也。
俺を含め、みんな身長は同じくらいだ。
俺たちが挨拶してると塔弥がせかすように言った。
「おいおい。そんなの良いから、早くギフトスキル見せてくれよ。それがこのゲームの……う~ん何て言うんだ?」
塔弥は首を傾げた。
醍醐味だな。
「醍醐味、だね」
すかさず颯馬がフォローする。
「そうそう、それそれ」
それに塔弥は嬉しそうに同意した。
そう。このゲームの醍醐味ともいえる特徴。それはギフトスキル。と言うプレイヤーごとランダムに送られるスキルの事。
そしてそれはプレイヤーごと独自の成長をする。ちなみにギフトスキルの事をGSと訳すらしい。
「お前ら、スキル見せ合うんじゃなかったのか?」
龍也が気だるそうに言った。
それを聞いて塔弥は言った。
「そうそう。じゃあ、職業とスキルを頼む。じゃあ、俺から」
そう言って塔弥は少し前に出た。
「俺の職業は弓士。ギフトスキルは攻撃力強化。よろしくな!」
赤髪、赤眼の弓士。なんかあってないような気がするな。
スキルは――まぁ無難ってところなんだろうか。パワー系の弓ってなんか怖い……。
「じゃあ次は僕でいいかな?」
次は颯馬。
「僕の職業は槍術師。ギフトスキルは武器強化。こんな感じかな」
うん。青髪、青眼に槍。格好いいな。青龍みたいだ。
そしてスキルはこちらも無難ってところだな。
「んじゃ、次俺で」
そして龍也。
「俺は幻獣使い。スキルは成長。終わり」
銀髪、白眼の幻獣使いか。
スキルがレベルブーストってちょっとしたぶっ壊れなんじゃないだろうか。
「じゃあ最後は影助だな」
塔弥に言われ、俺は前に出た。
「俺の職業は盗賊」
俺もまだGSの事は知らない。楽しみにとっておいたのだ。
「ギフトスキルは――」
俺はゆっくりと自分のステータスを開いた。
そこに映っていたのは、
「属性付与?」
なんだこれ?
え~と効果は……あらゆるものに属性を付与することが可能。しかし自分の持ち物以外は1ランク下の者でなければ失敗する!?
え、まさか、外れ引いたのか……?
俺が呆然としていると塔弥が肩に手を置き、言った。
「どうしたよ、影助。効果はどうだったんだよ?」
「こ、これ」
俺は恐る恐る塔弥に効果を見せた。
「べ、便利そうなスキルじゃねぇか」
「お前らも見てみろよ。こいつのスキル」
こいつ。か。分かった。分かったよ。
「あ、あぁ。確かにこれは便利そうなスキルだね。ねぇ、龍也?」
「あー、そうだな。んー便利そうだなー」
あぁもういいよ。これは使えないスキルだ。お前は最弱だ。そう言えよ。
もう、お前らは友達じゃないんだからさ。
「悪いな。俺、ちょっとやることがあるから。じゃあな」
俺は塔弥達を置いて一人歩き出した。
その、髪と眼に宿した漆黒で心を染めながら……。
そして、それを止める者は誰もいなかった。
ここではスキルの詳細を書かせていただきます。
『属性付与』
あらゆるものに属性を付与することが可能。
しかし自分の持ち物以外は1ランク下の者でなければ失敗する
『攻撃力強化』
一定時間自身の攻撃力を強化する。
なお、上昇率、発動時間はプレイヤーのスキルレベルによる。
『武器強化』
一定時間自身の装備中の武器の攻撃力と攻撃スピードの上昇。
なお、上昇率、発動時間はプレイヤーのスキルレベルによる。
『成長』
一定時間自身または仲間のレベルを上昇させる。
なお、上昇するレベル、発動時間はプレイヤーのスキルレベルによる。
お読み頂きありがとうございました。