俺の妹がこんなに○○なわけがない
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
暁ダンジョンを踏破し終え、見晴らしのいい平原へと戻ってきた俺たちは、マルコシアスが封じられたテイムシールを使う。
するとテイムシールは形を変えて、先ほどまで戦っていたマルコシアスがお座りの体勢で静かにこちらを見下ろしたかと思うと、その大きな顔を優しくカズサに擦り付けてきた。
「グルルル……」
「おぉ……! 本当に襲ってくる気配がないっすね! こんなにじゃれてきて! よーしよし、良い子すよー。さっきまでは割と本気で殺し合いになってましたけど、これからは仲良くしましょうねー」
そのまま頭の上によじ登って全身で毛深いモフモフを堪能しながら騎乗を楽しむカズサ。
何あれ凄い羨ましい。俺も今すぐやってもらおう……と、その前に色々確認しないとな。
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名前:
天職:マルコシアス
戦闘力:150000
【スキル一覧】
・加速再生
・獣魔の毛皮
・魔性の肉体
・虚ろの悪魔
・炎帝の嵐
・飛行制御
・スキルリンク
・悪魔憑き
・獄炎
・嵐旋陣
・爆砕破
・熱風
・地獄門
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俺の意思に応じて、マルコシアスの体から一枚のカードが出てくる。
テイムシールによって使役関係を結んだことにより、マルコシアスのスキルカードを自由に閲覧できるようになった。これによると、やっぱりマルコシアスは強力なスキルを多数所持しているのが分かる。
敵を倒すのも味方をサポートするのも自在な【悪魔憑き】は言わずもがな。
時間経過によって如何なる傷も完治させることができる【加速再生】。
全状態異常耐性と全属性攻撃耐性の複合スキルである【獣魔の毛皮】。
パワー、スピード、耐久力、戦闘力を支える三つのステータスにバフを施す【魔性の肉体】といった常時発動型スキル。
巨大な城塞全てを呑み込んだ【獄炎】。大竜巻を発生させる【嵐旋陣】。魔力の充填が必要になるものの、強烈な大爆発を引き起こす【爆砕破】。威力は控えめながらも広範囲にわたって灼熱の風を吹かせる【熱風】と言った攻撃スキルに、これら炎、風属性の威力を底上げする常時発動型スキル、【炎帝の嵐】。
「ついでに飛行能力を強化する【飛行制御】か……空中で直角カーブしてたけど、このスキルによるものだな」
【スキルリンク】と【地獄門】、そして【虚ろの悪魔】……これが【アイテム強化】による恩恵だというのは間違いない。
なんで分かるのかって? スキルの説明文の冒頭に、「アイテム強化によって新たに得たスキル」って思いっきり書いてるからだよ。
「アイテムマスターがテイムシールを使ったら、テイムしたモンスターが新スキルを覚えるのな」
詳しいことを検証するには数が足りなさすぎるけど、俺の推察に間違いはないだろう。
もしかしたら、普通よりも使役しやすくなると言った恩恵もあったかもしれないけど、正直試す気はしなかったな。テイムシールは失敗すれば消滅してしまうらしいし、ただでさえ一枚しかない貴重品を不確かな強化内容を信じて無駄に出来ないし。
「で、肝心のスキルの効果はっと」
まずは【スキルリンク】。これは自分以外のモンスターや冒険者が持つ常時発動型スキル一つを選び、一定時間そのスキルと同じ効果を得るというもの。
相手に依存するタイプの任意発動型スキルでやや癖があるけど、これは俺たちにとって非常に価値のあるスキルだ。
「理論上、俺の【アイテム強化】やカズサの【英雄】もコピーできるからな。一手間かけるだけで、マルコシアスの成長速度はカズサ並みになるぞ……!」
使役したモンスターは、冒険者と同じくオーブや強化槌、カードを使うことで成長させることができるというのも、テイムシールの大きな売りだ。【スキルリンク】の仕様上、カズサよりかは制限はあるけど、それでも十分すぎる。
……まぁ現状、戦闘力に関しては、とある事情から今以上には上げられないんだけどな。
「で、次は【地獄門】か」
こちらは悪魔系モンスターを召喚、使役することができるスキルらしい。戦闘力に応じて召喚できるモンスターの種族や数が変わってくるらしいが、こちらは検証が必要だな。
「ユースケ。この子の名前、どうします―?」
早速試し撃ちをしようと、マルコシアスに指示を出そうとしたその時、巨体の上からカズサがそんなことを言った。
そう言えば、名前も決める必要があったな。先にこちらから決めた方が、コミュニケーションとかにも不憫しなくて済みそうだ。
「マルコシアスだからな……おマルでどうよ?」
「んん……? どっかで聞いたことがあるような無いような……まぁ、それで良いならそれでも良いっすけど」
そう決めた瞬間、スキルカードが淡く輝き、名前の項目には堂々とおマルという文字が浮かび上がっていた。これは……正式に名付けがされたという認識で良いんだよな?
こうして見てみると、少し感慨深い。モンスターに付ける名前としては、我ながらありなんじゃないか?
「おーい、おマルー!」
「……?」
おお……明らかに呼びかけに応じてこっちを向いたぞ。ちゃんと俺が付けた名前を自分の名前だと認識してるんだ。
「ちょっと【地獄門】の効果を検証したからさー、出来る限りモンスターを召喚してみてくれないか?」
俺がそう言うと、マルコシアスはフスーっという鼻息と共に正面の地面に黒い魔法陣を浮かび上がらせた。
そこから這い出てきたのは、暁ダンジョンにいたのと同じくらいの強さを持つデーモンが三体だ。
「数の利を増やせるのは素直に嬉しいな」
質と数をどうやって増やすかは今後次第だが、いずれにせよ強力なスキルであることに変わりはない。インターバルが一日一回なのは気になるし、上位ランカーくらいになると一撃で仕留められそうな戦闘力だけど、ここからどう強化していくかは俺たちの腕次第だろう。
そう判断し、俺は三つ目のスキルの確認も行うのだった。
=====
地球に戻り、新幹線に揺らされて、俺たちは数日振りに我が家へと帰宅する。
1年の三学期までは毎日のように帰ってきていた場所だけど、冒険者として成り上がっていく内に少し実家離れした気分になった。夏休みに入ってからは泊りがけも多くなってきたしなぁ。
「ここ最近は美波ちゃんに家のことを任せちゃいましたからね。今日の晩御飯は、アタシが作りましょうかね」
「マジか? 俺、個人的に和食な気分なんだけど……」
「ダメっすよ。今日は家事を代わりにやってくれてた美波ちゃんのリクエストに応えますから。和食はまた今度っす」
そんな談笑を繰り広げながら、俺たちは家の玄関扉を開けて中に入ると、美波の奴が俺たちを出迎えに来た。
「おかえりー、カズ姉! 今回の冒険はどうだったー?」
いや、正確にはカズサだけだな。反抗期真っただ中の愚妹が、帰ってきた俺をスルーするなんて、今に始まった事じゃないが……ん?
「…………」
どうしたんだろう……? 今日ばかりは美波の視界に俺が捉えられているらしく、じっと俺の方を見ている。
……何か落ち着かんな。美波らしくないというか……そんなどこか不気味な気分を味わっていると――――
「おかえりなさい、お兄ちゃん♡」
「何を企んでいる貴様ぁっ‼」
ご質問があったのでお答えします。
Q『テイムシールでサキュバス等の美女美少女モンスターを48体あつめてA◯B48みたいにアイドルモンスターグループをプロデュースする秋◯康みたいな配信冒険者とかいたりしますか?』
A『現状ではいませんが、未来的には存在しますかね。やっぱり異世界の美少女モンスターの身のアイドルグループには夢がありますし』
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