モンスターの捕獲は、弱らせて状態異常にしてからすれば成功しやすい
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
(良いダメージ入ったろ、今!)
エネルギーポーションでゲージを回復しながら、確かな手応えを感じる。
続けざまに【天魔轟砲】を叩き込んでやる……そう思った俺たちは四本の火縄銃を一斉にマルコシアスに向けた。
「ゥウォォォォォォンッ‼」
「うわあああああっ!?」
だがその瞬間、マルコシアスを中心に凄まじい竜巻が発生し、カズサの体が巻き上げられるとともに火縄銃の銃口があらぬ方角を向いて、光線が雲や地面を穿つ。
支えがない宙に浮かんでいた状態だったからか……まさかこんな弱点があったとは思っていなかった。とりあえず、この状態をどうにかしないと……!
「グォオオオオオオオオオオオンッ‼」
「食われて……堪るかぁ!」
大口を開けて飛び掛かるマルコシアスに向かって、カズサが腕を振るうと同時に、彼女の五本の指先から十本もの風刃が放たれる。
【魔王覚醒】によって強化された【烈風爪】だ。解き放たれた真空の刃は竜巻を切り裂き、カズサを暴風の拘束から解放し、マルコシアスに浅い傷をつけた。
(来い、三日月!)
竜巻によって散った紫電の双月が高速回転しながらカズサの元に引き寄せられ、その先端に近い部分を両手で掴み取り、二つの三日月を双剣に見立て、剥き出しになったマルコシアスの牙に目掛けて【ノックバックカウンター】を叩き込む。
空中で大きく仰け反ったものの、出来たのは僅かな隙。コンマ一秒で体勢を整えようとしているマルコシアスだったが、その針の穴は見逃さねぇ。
(△連打ぁああああああああっ‼)
【三段ジャンプ】と【ブースト】の併用で一気に間合いを詰め、マルコシアスの腹部目掛けて両手に掴んだ紫電の三日月で滅多切りにする。【コンボアタック】の効果も上乗せされたことで威力は増していき、二つの三日月は徐々に巨大化していくが、重さは一切感じられず、連撃の速度も損なわれない。
このままテイムシールの効果適用内まで弱らせてやる……そう思った時、青い火の粉が大量にカズサに集まり始めた。
「ちょ、何これ!? 何すかこれ!?」
間違いなく、マルコシアスが何かしようとしている。
そう気づいた時にはマルコシアスの腹を蹴って距離を取りつつ、二つの三日月を盾にして防御態勢を取ったが、少し遅かった。
「ぐあああああああああああああっ!?」
ホログラム画面が一瞬青白い光で染め上げられるほどの閃熱と、内部空間全体が震えそうなほどの轟音……!
凄まじい大爆発が城塞全体を揺るがし、カズサは背中から床へと叩きつけられた。攻撃動作の長さから察するに恐らく、今のがマルコシアスの最高火力スキルなんだろうけど、体力ゲージは……あぶねぇ! 残り一割切ってるぞ!?
(即回復! 即回ふ――――)
「グォオオオオオオオオオオオッッ‼」
(って、ふざけんな!)
倒れ込んだ状態じゃあ、足を使った回避行動で発動する【ミラージュステップ】は使えない……俺はアイテムを使用して体力ゲージを回復させながら、【爆雷】を発動させる。
カズサを中心に雷が拡散し、続いて無数の落雷が降り注ぐが、強化された魔法攻撃を受けてもマルコシアスの勢いを削ぐ程度。ならばと、追加で【鉄槍】を発動。計五本の巨大な鉄の槍がマルコシアスの巨体を押し返した。
(ユースケ、エネルギーが……!)
(分かってる……!)
【魔王覚醒】発動中、攻撃スキルを使う度にエネルギーゲージは減少するから、既にこの戦闘だけで結構な数のポーションを消耗してしまっている。
(それにしても本当に厄介な奴だ!)
少し戦ってみて分かったが、マルコシアスが使ってくる【ミラージュステップ】で避けられない攻撃の大半が、広範囲に及ぶ持続的な高火力魔法攻撃ばっかりじゃん。
近接戦でも【ノックバックカウンター】を最小限の行動でいなせるような奴だし、さっきみたいに足場のない空中とかじゃないとうまく決められない。
(エネルギーポーションはまだ余裕があるけど)
悠長にはしてられない……一気に勝負を決めたいところだが、どうする?
ここまで結構良いダメージも入ってきているし、あと一発高威力の攻撃を叩き込めばテイムシールを使えるようになると思う……が、マルコシアスは完全に俺たちを強敵認定しているのか、慎重に距離を保ちながらこちらの隙を伺っている。
(加えて、空まで飛ばれたら余計に時間を食われるときたもんだ)
マルコシアスの魔法攻撃は高威力に加えて規模も大きい。出来れば、インターバルが終わる前に決めたいところだけど、どうするか……。
(……よし、コイツを使おう)
この暁ダンジョンで手に入れたアンドロメダの鎖……試運転は初めてだけど……!
(よっしゃ伸びたっすよ‼)
俺の意思に応じてマルコシアスに向かって伸びる刃付きの鎖。それに対して、マルコシアスは当然のように回避行動をとろうとしたが、空中ならいざ知らず、地上に居る分には【天魔轟砲】連射や紫電の三日月で、飛ばないように動きをある程度制限することは出来る。
俺たちが繰り出す圧倒的な手数を前に、しばらくの間回避に集中していたマルコシアスだったが、遂にアンドロメダの鎖がマルコシアスの前足へと巻き付いた。
(高火力攻撃でマルコシアスの意識と視界を妨げてる内に……!)
鎖をさらに伸ばし、急いで周囲の柵へと巻き付けてマルコシアスの体を縛り付ける!
それに気が付いたマルコシアスは振り解こうとするが、もう遅い。引力と斥力を操る【魔天之災渦】で体勢を崩し、今度は胴体に巻き付いた鎖はそのまま柵にまた括りついて……こういった事を何度も何度も繰り返す。
普通の柵なら、マルコシアスの馬鹿力で出引っこ抜かれて拘束にもならないだろうが、それは地球での話。
強引に飛び立とうとしても無駄だ……ギミックの使用上などの例外を除けば、基本的に破壊不可能な迷宮型ダンジョンの壁や床は破壊できない。それは柵でも同じことだ。柵に何重にも括り付けられた鎖で縛られたマルコシアスは、最早身動きは取れないだろう。
「グルルルル……!」
(ふっふっふっ……ここまでくれば、後はもう調理するだけっすね)
(くっくっくっ……そういうことだ)
散々手こずらされたが、これでようやく――――
「ウォオオオオオオオオオオオンッッ‼‼」
「あっつぅうう!?」
マルコシアスが羽ばたいた瞬間、青白い炎が強風に乗って拡散し、痛烈なダメージを与えながらカズサを吹き飛ばした。
こ、この状態でも全く安心できねぇ……! 他に何かされる前に、とっとと勝負を決めた方がいい……俺は青い熱風が止んだ僅かな瞬間を見計らい、コントローラーを操作してカズサを一気にマルコシアスの懐へと飛び込ませる。
「これで、終わりです!」
強化された【絶氷】は遺憾なくその効果を発揮した。
白い冷気が噴き出る右手で額に触れた瞬間、マルコシアスの全身や床が一気に凍りつき、巨大な氷の結晶によって完全に動きを封じ込める。今まで奴の攻撃で散々熱せられた空気が、一気に冷えたことからその威力が想像できるだろう。
(今だぁあ!)
回復の隙も、反撃の隙も与えない。【アイテムボックス】から取り出したテイムシールを拳に張り付け、氷を殴り割りながらマルコシアスに叩き込んだ。
その瞬間、テイムシールから強い光が放たれ、マルコシアスの巨体が手のひらほどの大きさの護符に吸い込まれる。一回、二回、三回とテイムシールが点滅し……キィンッという音と共に、テイムシールの表面に見たことのない言語が浮かび上がった。
それは異世界で使われていたと推察されている異界文字……モンスターの使役が完全に成功した証である。
ご質問があったのでお答えします。
Q『スキルの中に変身することで特殊な能力を得て人間をやめるスキルがありますか?
たとえば異形化でモンスターになったり、または身体の一部がモンスターの部位になったり(防御が上がるかわりに鱗が生えたり、夜目で猫の目になったり)
獣化で動物になったり、耳と尻尾だけか、獣の二足歩行かはたまた四足歩行かなどケモノの度合いによって派閥ができてそう
不死で骨、ゾンビ、吸血鬼になったり(もしあったら解除することで人間に戻るかどうかも教えてほしい)
スキルのミスで致命的なことになるようなことがありますか?
たとえば転移でハエ男状態や壁の中にいる状態になったり、回復の誤用で癌になったり』
A『スキルで人間を止めるというのは、既に出ていますね。【魔王覚醒】がそれです。竜になったり、角生えたりしました。まぁ、他にもモンスターに変身するというスキルもあるという設定で考えてますけどね。
ちなみにスキルで致命的な事と言えば……ハエ男状態は流石に無いですが、空間系スキルの使用を誤って地面や壁に埋まってしまうというのはありますよ。過剰回復で壊死するとかもある方向で考えてますし』
Q『アイテム強化で弱らせなくてもテイムできる性能にできないんですか?』
A『テイムするまでの過程については強化されていないという設定です。その後の事は……続きをお楽しみに』
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