ブーメランを武器にしようとした奴のセンスは半端ない(誉め言葉)
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
回復ポーションで体力ゲージを補充しながら、ホログラム画面に映るマルコシアスを油断なく見据える。
殺戮本能を持ちながらも、そればかりに囚われることのない頭が良いモンスター。戦闘力の差を把握できているかは分からないけど、現状ではマルコシアスの方が優勢に見えるだろう。
にも拘らず、このモンスターは常に一定の距離……何があっても対処しやすい位置を常に確保しながら、真っすぐカズサの様子を見定めている。モンスター総体の上位種、悪魔系モンスターの中でも強力な種族だからか……少なくとも、こんな奴と出会うのは初めてだ。
その上、【ノックバックカウンター】をまともに受けても即座に切り返せるなんて、比較的小型なモンスターならともかく、これまで出会ってきた大型のボスモンスターには出来なかったことだ。
(ますます気に入った……! 絶対にコイツをテイムしてやる!)
倒してしまってもダンジョンを出れば再びマルコシアスは出現するけど、ダンジョンのメカニズムは分かっていないところが多い。
ダンジョン周回中、ボスモンスターの戦闘力に誤差があったという報告があったと聞くし、この目の前にいるマルコシアスと同じのが出てくるとは限らない。なんとしても、この一戦で決めたいところだ。
(テイムしたいモンスターを弱らせたところで使えば、使役できるんですよね?)
(そういう事だ)
、
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品名:テイムシール
モンスターを使役することができる魔法の護符。使役したいモンスターと戦い、屈服させることで効果を発揮する。
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テイムシールは、モンスターを弱らせる……つまり屈服させることで初めてその効果を発揮する。
これ完全にパチモンや……初めてテイムシールに【天眼】を使った時、思わずそう溢したもんだ。パチットモンスターでも、パチモンは弱らせてから捕まえるのが一般的だし。
まぁ、中には弱らせなくても絶対に捕まえられる捕獲アイテムとかあるんだけどな。バトルの時に繰り出す演出にも影響があるから、俺の一番のお気に入りパチモンであるパチギラスの進化前を捕まえる捕獲アイテムにも拘りを……って、今はどうでも良いか。
問題なのは、実際にモンスターを使役するのに当たって、ゲームのように都合の良い物はないという事だ。
(この油断のなさ、純粋な戦闘力、ここまで来る途中で会ったデーモンの耐久値を見る限り……本気で行くのが丁度いい。格上相手にどのくらい優位に立ち回れるか、試運転に付き合ってもらおうか……!)
ディザスターモンスターのように、様子見をしている暇がない敵と出会う時も来るだろう……その為にも、【魔王覚醒】は出来る限り使い馴らしておきたい。
「グルルルル……!」
ボタンを押すと同時に炎がカズサを中心に渦を巻き、彼女の姿が紅蓮の魔王に変化し、周囲には四本の火縄銃が浮かぶ。
それを見たマルコシアスは、先ほどよりも更に警戒心を強めたかのように歯茎を剥き出しにして唸り、身を低く屈める。地球に居るイヌ科の動物にも見られる、獲物に襲い掛かろうとする直前の動きだ。
「ガッ‼」
まるで【ブースト】を使ったんじゃないかと疑いたくなる爆発的なスタートダッシュ。翼も推進力に使って叩き出す速度から繰り出される飛び掛かり攻撃は、【ノックバックカウンター】を併用して弾き飛ばすので精いっぱいだ。
「くぅう……! っ……お返しっすよ!」
体勢を整えながら、カズサが操作する四本中二本の火縄銃がマルコシアスに照準を向けて極大の光線を放つも、翼を翻して上空へと飛翔。あっさりと回避して退ける。
戦場を三次元的に捉えることができる飛行能力持ちのモンスターは、それだけでもう強い……だが、こっちは強烈な遠距離攻撃持ちだ。
【天魔轟砲】を放った火縄銃を消しては、控えさせていた大量の火縄銃を新たに召喚し、常に四本の火縄銃が出現している状態を維持しながら絶え間なく極大光線を放つ。
(そこだっ!)
上空を旋回しながら【天魔轟砲】の連射を回避するマルコシアスだが、四つの火縄銃の照準から逃げ続けるには限度がある。しばらく撃ち続けていくと、赤黒い光線がマルコシアスの体に掠るようになってきた。
(このまま貫いて――――っ!?)
撃ち落としてやる……そう思ってジャストタイミングで放った極大光線だったけど、直撃する瞬間、まるで地面を蹴って跳躍するような急激な軌道変更によって回避しやがった。
まるで【三段ジャンプ】にも似た空中移動スキル……! 旋回ばかりがマルコシアスの空中回避じゃないってことか。そんな事を考えていると、マルコシアスの口から青い炎が大量に漏れ始める。
(あれはヤバいんじゃないっすか――――!?)
轟っ‼‼ と、マルコシアスは旋回しながら、屋上どころか城塞そのものを呑み込む蒼炎を吐き出してきやがった!
「あ……っつぅうっ!?」
凄まじい火勢がカズサを呑み込み、六天のマフラーによる火炎耐性すら無効化しているんじゃないかというくらいに体力ゲージがガリガリ削られていく。
なんて攻撃スキルだ……! どのくらいこの炎が続くかも分からないなら、俺が使うべきは回復アイテムではなく、【空蝉】のスキルだ。
攻撃を受けると同時にダメージを無効化。マルコシアスの頭上に転移し――――
「でりゃああああああああっ‼」
「ギャンッ!?」
全力の踵落としを脳天に叩き込む!
直撃した脳天と踵を中心に衝撃波が拡散し、マルコシアスは盛大に地面に叩きつけられる。このくらいじゃあまだまだ弱らせるには程遠いけど、火を吐かせるのを止めて屋上に叩き落すことには成功した……!
(どうします? 多分、このままだとさっきと同じことの繰り返しっすよ?)
砲門を四つに増やしたとはいえ、火縄銃から放たれる攻撃というのは全て直線軌道。マルコシアスなら、慣れてしまえば簡単に対処できてしまうのは目に見えている。数を増やしてしまえば当たるだろうけど、その分エネルギーゲージの消耗が激しくなってしまう。
(なら、こうすればいい)
【魔王覚醒】は発動中に攻撃スキルを使う事で、そのスキルを大幅強化することができるスキル……俺は新たに、【星切之太刀】を発動させると、カズサが両手に持っていた直刀が、紫電が迸る二つの三日月へと姿を変えた。
(もう完全に元の形が無くなったけど――――っ!)
(コイツは強烈っすよ‼)
片方の三日月が高速回転し、猛烈な紫電を撒き散らしながらマルコシアスに迫る。
さながら鋭い刃に研ぎ澄まされたブーメラン。大気を鋭く切り裂きながら向かってくる三日月は難なく回避されたが、そこを四本の火縄銃による一斉掃射で狙い撃つ。
再び旋回しながら回避を開始し始めるマルコシアスだが、紫電の三日月は俺の意思に応じて自在に動かすことができる。狙い撃ちしてくる火縄銃四本に加えて、マニュアルで追尾する三日月から逃げきるのは困難だ。
「ガァアアアアアッ‼」
そうなれば当然、本体であるカズサを狙いたくなるだろう。
放たれる極大の光線も多少のダメージを覚悟することで最小限の動きによって回避しつつ、真っすぐカズサの元へとダイブしてくる。攻撃の本命はあの鋭い爪か牙か……いずれにせよ、こっちにはまだ保険が残ってるんだよ!
(元は近接攻撃スキルなんだよなぁ!)
控えさせていた二つ目の三日月を操作し、鍔迫り合いをするかのようにマルコシアスにぶつけて爪牙を食い止める。
威力や刃渡りの増強。それに加えて若干遠距離スキルのように様変わりしたものの、それ故に体格差や重量差などの鬩ぎ合いに強く出れる……!
「こっちにばかり注意を払ってていいのか!?)
一番最初に投擲した三日月がマルコシアスの背中から迫り、その黒い毛と肉を裂いて血の花を咲かせるのだった。
ご質問があったのでお答えします。
Q『アンドロメダの鎖・・・「聖闘士星矢」のネビュラチェーンみたいなものですか。ローリングディフェンスはできるのでしょうか?防御は回避主体のカズサとは相性悪そうですけど。』
A『自分、そのマンガは観たことがないのでそういうアイテムがあるのは知らなかったんですけど、少なくともアンドロメダの鎖は防御に役立つ武器ではないと思います。まぁ、どのような使い型をするかはこれから研究しますが』
Q『アンドロメダの鎖を使って2人用ギミックを1人で解いたり出来るんでしょうか?ギミックは生体じゃないと感知や動作しなかったりします?』
A『ギミックと言ってもかなり色々ありますからね。アンドロメダの鎖を上手いこと併用すれば解除可能なのもありますし、二人の人間の生命感知によって開く扉とか、そういうのもありますね。中には謎々を解かないと開かない扉とかあったり、ダンジョンによって多種多様なんです』
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