エロ用語を連想する奴の頭はピンク色
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
翌朝、十分な休息をとって完全なコンディションを手にした俺たちは、ビジネスホテルを出て冒険者ギルド本部へ向かう。
流石は日本中のギルドの総本山なだけあって、大きなモニュメントとか噴水とか、長い正面階段とかあるかなり立派な建物だ。第十七支部みたいにショッピングモールをリフォームした様な造りじゃなく、初めから象徴的なギルドとして設計されているのが、何となく感じられる。
「パパさんのところには顔出しに行かないんすか? 確か今、ここで働いてるんですよね?」
「……止めとくわ。親父も忙しそうだし、話があるなら向こうから連絡するだろ」
挨拶でもと思いもしたし、魔王装備やディザスターモンスターの事を聞きたくはあるけど、それは今じゃない。
そう判断し、俺たちは【木偶同調】を発動させてからゲートを潜って異世界に渡り、地図を頼りに暁ダンジョンの前まで辿り着いた。
(やけに物々しい建物っすね)
まるで巨大な城塞を連想させる外観をしたこのダンジョンは、屋上が最奥であるボス部屋となっているらしい。
(それじゃあ、開けるぞ)
一声かけてから、俺はカズサを操作して扉を開ける。
巨大な建造物に見合った広い内観、その天井には昭和時代にでも出てきそうな古いタイプのランプが列をなすように吊るされていたから思ってたよりも明るく……複数体のモンスターを照らしていた。
―――――――――――――――――――――――――
種族:デーモン
戦闘力:134565
三十の軍団を構成する、侯爵級悪魔の下僕の一体。強力な魔法の使い手であり、主の敵を忠実に排除する
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(いきなり出やがった!)
翼があったりなかったり、角の形が違ったりと、姿はそれぞれ微妙に異なるけど、いずれも似たような戦闘力をした同種類のモンスター……それが四体。どいつもこいつもカズサよりも戦闘力が上だ。
「■■■■■■■■」
魔王銃剣を構えると同時に、一番奥に居るデーモンが言語にならない声をボソボソと呟くと、その全身が黒い霧となってカズサに纏わりつく。
(早速来た! 【悪魔憑き】だ!)
このスキルの一番強力な点は、状態異常系のスキルではないという事だ。
毒とか麻痺とか封技とか、大抵厄介なスキルっていうのはそれ用の耐性スキルで防ぐことができる。コートに宿った【覇王之威光】に守られたカズサは、そういう厄介なスキルの影響を無視して戦うことができるのが強みだ。
だが【悪魔憑き】はどちらかというと、敵の動きを制限、束縛する拘束系スキルに近い。霧状に変化した体で敵を包み込み、最後には完全に取り込んで消化してしまう厄介なスキルだ。霧は広範囲にわたって高速で拡散するから、格下相手なら、使われただけでほぼ死亡が確定するしな。
そんなスキルからの逃げ方は大まかに二つ。一つは霧よりも早く回避行動をとり続けること。もう一つは、あるアイテムを使う事だ。
(そぉいっ!)
「■■■■■■■――――っ!?」
異世界産の天然水に、これまた異世界産の邪気払いの樹の葉を調合して作り出したマジックアイテム、聖水。暁ダンジョンには高い戦闘力を誇る悪魔系モンスターが多いと聞いていたから、今回の冒険に備えて大量に作り出してきた。
使用すると同時に光のベールがカズサを包み込み、霧状となった悪魔を吹き飛ばす。本来ならダメージを与えるほどの効果はないんだけど、【アイテム強化】によって光のベールに触れた悪魔はジュウジュウと音を立てて焼け焦げている。
(さぁて、これで直接戦闘で戦えるぞ!)
もちろん、相手は強力な悪魔系モンスター。【悪魔憑き】を防いでからが戦いの本番だ。
魔王銃剣をバスターモードに変形させ、【天魔轟砲】をブッパ。逃げ場の少ない迷宮型ダンジョンに出現するモンスターに対する常套手段によって、四体のデーモンの内三体が呑み込まれて、【星切之太刀】を発動。残り一体に切りかかる。
「■■■■■■■■っ‼」
「甘いっすよっ!」
デーモンは魔法攻撃が得意ではあるものの、近接戦闘能力も十分に高い。
攻撃動作も素早く、強靭に発達した四肢や、長く鋭い爪を駆使した攻撃スキルも使ってカズサの体を引き裂こうとするが……俺たちからすれば十分対処出来る範囲。
デーモンの横薙ぎの一撃に対して、カズサに身を低く屈ませることで回避。そのまま痛烈な足払いを食らわせてデーモンの体を浮かせると、【ブースト】を併用した突進攻撃でデーモンの心臓を串刺しにし、そのまま突き当りの壁に叩きつけてやった。
(今止めを――――っ!?)
くれてやろうとした瞬間、カズサの背中目掛けて巨大な火球や電撃、氷柱が殺到するのが見えて、反射的にバックステップに切り替える。
【ミラージュステップ】が発動したことで魔法攻撃はカズサの体を素通りし、壁に叩きつけられたデーモンに止めを刺したけど……。
(【天魔轟砲】でもまだ倒れないか)
カズサの背後から奇襲を仕掛けてきたのは、【天魔轟砲】で撃ち抜かれた三体のデーモンだった。いずれも大きなダメージを受けてはいるものの、まだまだ戦闘そのものに支障があるようには見えない。
「■■■……」
(げっ……回復してるっすよ)
何だったら回復スキルまで使ってきている。こういう相手には慎重な立ち回りはNG……回復する間も与えないほどの連続攻撃で仕留めるしかない。魔王銃剣をデュアルモードに変形させ、一気にデーモンたちと間合いを詰めにかかる。
(こいつら相手に、【魔王覚醒】は使えないからな)
インターバルが長い上に消耗も激しいスキルだ。マルコシアスとの戦いに取っておきたい。
俺はコマンド入力をして中範囲スキルである【炎柱】でデーモンたちを呑み込んで攻撃と同時に隙を作り、天井に向かってカズサを跳躍させる。
「■■■■■■■っ!」
【天魔轟砲】よりも威力の低いスキルだ。ダメージは受けているようだが、それでも強引に突破することくらい分けないのだろう……腕で炎をかき分けて三体のデーモンが飛び出すが、そこにはカズサの姿は既にない。
デーモンたちの真上、天井に足を付けたカズサは、そのまま天井を足場にし、加速しながら床に向かって落ちる。
(二体目頂きっす!)
無防備な頭上に二振りの魔王銃剣を突き刺し、光の粒子に変えてやる。それに気が付いた残りのデーモンが明らかにカズサ以上の速度で襲い掛かってくるが、意外と心は冷静だ。
確かにデーモンたちの数字的な実力はカズサよりも上だけど……この程度の逆風、ディザスターモンスターを相手にしている時ほどじゃない。
(かかってこいやぁああああっ!)
数でも戦闘力でも上回る敵を相手に戦えている……その手応えを指に刻みながら、目晦ましと攻撃を兼ねた【爆雷】を発動させ、怯んだところを即座に連射攻撃。狙いは目だ。目ん玉を狙ってやる。
ドガガガガガガッ! と、顔面に魔力の弾丸を高速で叩き込まれ続けてさらに隙を大きくし、【鉄槍】でデーモンを貫いて壁に縫い留めたところで、残り一体を接近して連続剣を食らわせて早々に始末。
そうなると、残りは腹に空いた穴から血を流す、虫の息のデーモン一体。遠慮なく遠距離攻撃で嬲り殺しにしておいた。
(ふぅ……結構いけるもんすね)
(とにかく視界を潰しやすい攻撃で隙を作りながらの速攻戦……こっちの消耗を押さえるためのプランは上手くいったけど、慢心せずに進むとしよう)
結果だけ見れば格上相手にノーダメージで切り抜けたけど、実際のところは結構危なかったし、インターバルやアイテムの残量の問題もある。油断なんて、出来るわけがねぇか。
俺はカズサは操作してデーモンたちが落とした魔石を回収し、暁ダンジョンの奥へと進んでいくのだった。
ご質問があったのでお答えします。
Q『異世界と地球はどう電波が繋がってるんですか?ゲートから数キロか特殊効果で遮断されてるところ以外か逆に異世界から地球では電波が届かないような山奥に届いたりしますか』
A『異世界の大気中に充満する高濃度な魔力が、電波の仲介役となっているという設定ですね。なので地球から異世界に居る冒険者に電話で連絡する時、地球側が電波圏外でなければ異世界中どこでも連絡することが出来ますよ』
Q『ダンジョンで人口が減少したって言う設定が有ったと記憶しているんですが、今回の話で東京は人は多いと有りました。現在はどれだけ人口が回復してるのでしょう?
全体的に回復しているのか、回復した数は少なくて東京に集まっていて地方が過疎っているのか。
私、気になります!』
A『作者の現代社会の知識不足故に具体的な人数までは設定していないんですが、20~30億人をくらいになったところを50億人以上まで回復したってところですかね。現実世界では60~70億人以上らしいですし、まぁそのくらいかな……と。食糧問題もあって、作中世界でも田舎町には需要があるものの、異世界から持ち帰られる、農業に有用な魔法の資源によって現実よりも大量収穫しつつ、手間暇負担が大幅に減ったので、規模は小さめなのかなって考えてます。まぁ詳しい設定までは考えてないのでそこら辺は大雑把ですけど』
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