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其は強力なモフモフの王たらん

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。


 良くも悪くも子供らしくない……皆が口々にボクの事をそう言う。

 あまり声を大にして言いたいことじゃないけど、ボクの父と母はお世辞にも良い両親ではなかった。母はずっと家に居らず、それでいて仕事をしている訳でもなく、深夜まで遊び歩いていて、父は仕事と言ってボクと向き合ってくれた覚えがない。母は家には寝に帰るだけ、父に至っては殆ど帰ってこない……そんな人たちだったと記憶している。


 思うに、二人はボクに関心が無かったんだと思う。幸いにも虐待をされているほどではなかったけど、幼稚園に通う物心がついてきた時からそんなだったし、あんまり好かれていないと分かっていたから、ボクも何も言えなかった。

 幼心に両親を困らせたくないと思っていたのか、それとも早々に家族の絆というものを諦めてしまっていたからなのか……それはもう思い出せないけれど。


「良い? お風呂に入りたい時は、こうやってこうするの。それから、買い物のやり方はお店の人に聞きなさい。幼稚園やコンビニの場所は分かるでしょ?」


 母から唯一教えられたのは、自分の手を煩わせないようにする為の生活の知恵だけ。幼稚園の行事に来てくれたことも、ご飯を作ってくれたことも終ぞなかった。あの様子だと、ボクが物心つく前はベビーシッターでも雇って遊んでたんじゃないかって思う。

 父は言わずもがなだし……我が両親ながら、そこそこ酷いもんだ。それでも悲しく思わなかったのは、僕より悲惨な目に遭ってる子供が世の中には居る……特別知識があった訳じゃなかったけど、そういう事を何となく察していたから。


 幸い、物覚えは良い方だったらしく、お金だけもらって一人で生活する園児が誕生したんだけど……それは結構あっさり終わった。

 父が渡した生活費を、母が全て遊びに使い果たしたのだ。どんな遊びをしていたのかは分からないし、聞きたいとも思わない。確かなことは、母が家の有り金を全部使い、ボクを置いて旅行に行ってしまったという事だ。

 一週間にもわたる長期旅行。感心がなさ過ぎて、遂に実子である僕の事も忘れてたんだろう。お金もないボクはほとほと困り果てて、つい近所の人に聞いてしまった。


「お手伝いするから、ご飯貰えませんか?」


 それを聞いた近所の人はただ事ではないと思ったんだろう。児童相談所とか言う所の人がボクを迎えに来て、連絡を受けた父と母が顔を見合わせて大喧嘩。ボクの目の前で、ボクの事なんて要らないと叫び合って、良く分からないまま孤児院で暮らすことになった。

 ショックを受けたかと言われれば、あまりそうでもない。両親たちには両親たちの人生があるし、むしろボクに良くしてくれる大人の人の元で暮らせて、前より幸せになれたくらいだ。だから周りにいる、何らかの理由で両親と離れ離れになった子供たちの面倒も率先してみることが出来た。


 ただ、そう言うところが子供らしくないと、感心されたような、そうでもないような……感情の読みにくい顔で言われるようになったんだけど。


 孤児院の先生たち曰く、道徳的な事を殆ど何も教えられず、親を反面教師にして倫理的に行動できる子は滅多に居ないと、職員室で話していたのを盗み聞きしたことがある。

 ボクとしてはただ、良くしてくれたから少しでもお手伝いで恩を返そうとしていただけだし、悲しそうな子がいたから慰めようとしていただけだったんだけどなぁ。

 そんなボクを心配した一人の先生が、ボクが小学校に上がったのを機に、「院の手伝いをしてくれるのは嬉しいけど、遊ぶことも覚えなさい」と言ってくれた。人間、少しはリフレッシュしないと心を病んでしまうからって。

 

 そうなると、まぁ暇になった。院の手伝いは無くなりこそしなかったけど周りと同じくらいの量になったし。だから他の院生と遊んではいたんだけど、何かやってることがこれまでの延長というか……一緒に遊んでいるというか、遊ぶのに付き合ってる感じがして、何か違うと感じた。

 ボク自身が楽しいか楽しくないか以前に、他の子が楽しめているのか……そういうのを意識しながら遊んでたから。

 これでは先生の言ったとおり、リフレッシュが出来ているのかが分からない。そんな風に思ったボクは、気分転換にと街をブラブラすることにした。

 土地勘がまだないから出来る限り孤児院から近い範囲……特に何もないどこか見慣れた街中を目的もなく歩く、退屈な時間。


「ん?」

「……あ」


 人気のない小さな公園に辿り着いたけど、面白味もないし、そろそろ帰ろうか……そう思った瞬間、ボクの目の前に楕円状のボールが不規則に跳ね回りながら転がってきた。

 アメフトかラグビーか……確かそういうスポーツのボールだ。一体誰のボールだろうと、転がってきた方向に顔を向けてみると、そこには同い年くらいの男の子が立ち竦んでいる。

 この出会いが、全ての始まりだった。


   =====


 夏休みも後半に突入し、俺たち《カラクリ冒険営業所》はホームページを立ち上げることとなった。

 デザインの立ち上げから管理に至るまで、二村と八谷が担当してくれることとなって、今後は動画投稿サイトと併用する形で、詳しい活動報告はこちらで行うようになったし、高校卒業後には折を見て資源調達の指名依頼も請け負っていくことを告知するように。

  

 前もって動画投稿サイトでクランの立ち上げと特設サイトのことを動画投稿サイトやSNSで知らせた時の反応も上々っぽいし、本格的な活動自体はまだまだ先でも、応援してくれる人も多いようだ。

 何はともあれ、現在俺たちのクランは売名活動に注力中。千堂と百瀬も竜山ダンジョンで《鑑定眼》のオーブを手に入れて異世界の食材を調達、調理から実食の光景を捉えた映像を俺たちのサイトにアップすることを目標に活動してくれている。


「となると、アタシたちも色んな動画をアップしていかないとっすね」


 カズサと共にそんなことを駄弁りながら、ギルドで次の冒険の準備を整える。

 どんな情報でも、更新は絶えず行い続けなければ、大抵の冒険者はそのまま忘れ去られてしまう。幸いにもネタに困るほど異世界は退屈な場所ではなく、戦闘の動画から自然風景、アイテムやスキルの検証など、動画にできることは山ほどある。


「てな訳で、今回の冒険も大変になるだろうし、準備は万全にしないとな」


 準備……もちろん、マジックアイテムの充実は当然なんだけど、何よりも【魔王覚醒】の検証をしないといけない。

 攻撃スキルを強化するスキルだけど、スキル毎にどのような形で強化されるのか……発動中の凄まじいエネルギーゲージの消費を抑える方法はないのか、そういった事をきっちりと分析し、ちゃんと自分たちの力にしないといけない。


「かなり強力なスキルだったからな。【魔王覚醒】の検証は、俺たちにとっても急務だ」


 数多くの実力のある冒険者たちの力があったとはいえ、ゼル・シルヴァリオにさえ大ダメージを与え、仰け反らせた極大光線の雨。あれと同じようにとまではいかなくても、実戦運用ができるレベルに落とし込めないといけない。


「それが終わったら、いよいよテイムシールの出番って訳っすね!」


 否応がなく、俺たちのテンションは上がる。

 冒険者にとってモンスターを使役するのは一種のロマンだ。それが叶えられるんだから、無理もないと思う。俺自身、テイムシールを使う時をずっと待ち続けてきたんだから。

【アイテム強化】の影響で、どんな風に効果が変化するのかも気になる。下手をすれば、チートモンスター爆誕になるかもしれないしな。実際、俺たちが狙うモンスターはそれが出来そうなスペックがある気がするし


「狙いはA大陸最難関ダンジョンの一つ、推奨戦闘力15万の暁ダンジョン。そこのボスモンスターである、マルコシアスだ」



ご質問があったのでお答えします。


Q『なんか乙姫やハートの王女などなどがごちゃまぜになっていますね。地球の御伽話の情報が異世界で合体事故して生まれたナニカですか?』

A『さぁて、何者なんですかね? 詳しくは話しませんが……正体の推察も読みの楽しみの一つとして、色々妄想してくださると嬉しいですね』


Q『主人公がマイティーブラザーみたいに分身するスキル覚えたりしますか?』

A『仮面ライダーシリーズの話だという事までは検索で分かったのですが、それ以上は分からなかったで、とりあえず分身系スキルを覚えるかどうかをお答えしますが、可能性としてはありますね。ただ出すとしても、分身体を動かすのはオートかマニュアルか……そこら辺はどうするか悩みどころですけど』


Q『パパさんの年収ってどのくらいなんですか?』

A『冒険者のように歩合で稼ごうと思えば幾らでも稼げる仕事ではないので、読者の方々が思うほどの給料ではないかもしれませんが……とりあえず、適当に大手大企業の専務並みの給料はあるのかなって考えてますね。そこら辺の細かい設定を決めるには、現実世界基準の情報が足りないので何とも言えないんですけど』


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここまで見ても未だに疑問なのですが、やはり一般人がカードを取得しない人が少なからずいる理由がいまいち理解できません。 デフォで覚えられるというアイテムボックスのためだけでも十分に30万…
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