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次話からようやく雑なサブタイを付けられる喜び

二日続けて投稿遅れて申し訳ありません。戦いもクライマックスになって難産になってましたが、どうにか日を跨がずに投稿できました。

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。


 短い夢から覚める。そこには合戦の光景ではなく、巨大な怪物同士がぶつかり合い、空と地面を揺らす激戦が相変わらず繰り広げられていたが……それももうじき終わるというのは、感覚的に理解できた。


(カズサ)


 先ほどまでいた精神世界は一体何だったのか、果たして彼女は記憶を取り戻し、【魔王覚醒】を会得できたのか……なんて問いかければいいのかも分からないまま、ホログラム画面に映る相棒の後姿を眺めながら呼びかける。


(……正直、コレと言って明確に思い出したわけじゃないです。ダンジョンで見つけ出される以前の記憶は、やっぱり途切れちゃってます……でも)


 いつになく静かな声で、カズサは絞り出すように呟く。


二つ(・・)、すごく大切な事を誓ったんですよ。どんな事だったのかは覚えてないですけど……それでも、絶対に守ると決めた約束事があったのだけは、思い出せました)

(……そっか)

 

 言葉よりも雄弁に伝わる念話を通じて、カズサの感情が流れ込んでくるのを感じる。

 これまでアイテムとして、戦うための木偶人形としての在り方を忘れずに俺の方針に従ってきてくれた彼女は、今初めて明確な自我を俺に伝えようとしているんだ。

 それこそ、所有者(マスター)に歯向かってでも叶えたいと願う……そんな強い感情を。

 これが何も言わなくても伝わるって奴か……だったら、カズサの口から何か言わせるのはアウトだろ。今まで俺の背中を押して、支えてくれた彼女に応えるために。


(なら行こう。俺たちは一心同体……カズサが俺が望んだ道を一緒に進んでくれたように、俺もカズサが望んた道を進んでみせるからさ)

(…………はいっっ‼)


 すかさずカズサのスキルカードを確認する。そこには信じていた通りの変化があった。


 ―――――――――――――――――――――――――

 名前:カズサ

 天職:木偶人形

 戦闘力:100998

【スキル一覧】

 ・英雄

 ・ゲージシステム

 ・不壊の担い手

 ・空中殺法

 ・ポイズンヒール

 ・ノックバックカウンター

 ・ミラージュステップ

 ・コンボアタック

 ・木偶同調

 ・三段ジャンプ

 ・コスチュームチェンジ

 ・会心の瞳

 ・リジェネ

 ・ブースト

 ・空蝉

 ・魔王覚醒

 ――――――――――――――――――――――――― 


 元々あったスキルが【英雄】に変化し、新たに【魔王覚醒】を習得した。ひょっとすると、魔王装備というのは一種のスキルオーブに似た機能を持っていたのか?

 

(とにかく【魔王覚醒】を確認しないと……!)


 急いで効果を確認する。

 どうやら織田信長の魔王装備三点を全て装備した状態でのみ発動できる、少し変わった任意発動型スキルらしい。その肝心の効果は……!


 ■■■■■■■――――ッッッ‼‼


 スキルの詳細全てに目を通し終えると同時に、天空を覆っていたヴリトラが絶叫と共に消滅し、獅子村さんが深く積もった雪の上に落ちて盛大な雪煙を上げるのが見えた。

 時計を確認してみると、あの人は想定していたよりも三十分も長く足止めしてくれていた。しかしその代償で満身創痍なのか、身動きを取ろうとする気配がない。再び大雪が降り注ぎ、ゼル・シルヴァリオが進撃を始めた。

 だったらここからは俺たちの番だ……コントローラーを操作し、スキルを発動させる。

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおっっ‼‼」


 吹雪が荒ぶ銀世界で、カズサを中心に広がる紅蓮の光が俺の視界を焼く。

 神の力である吹雪に抗うように輝くそれは、まるで燃え広がる炎にも似ていた。そして光が収まった時、そこにはこれまでとは違うカズサの姿があった。


(これが俺たちの【魔王覚醒】……!)


 毛先が紅蓮の炎が灯ったように赤く揺らめく、一層長く伸びた銀髪。耳は長く尖りながら額からは鬼を連想させる角を生やし、水色の眼は闇夜の中で一層栄える赤に染まっている。

 紅蓮の魔王……安直な物言いだけど、そんな言葉が自然と頭の中に浮かぶ姿をしたカズサだが、何よりも特徴的なのは彼女の周辺。

 両手に持つ魔王銃剣は単なる直刀となった代わりに、カズサを中心に空中に浮かぶのは無数の火縄銃。その総数が全部で三千丁であるという事を、俺はスキルの説明から知ることが出来た。


【魔王覚醒】……その効果は発動者が使用する全ての攻撃スキルを一定時間超強化することだ。

 威力上昇はもちろんの事、インターバルは十分の一に短縮する。常にインターバルに悩まされる冒険者からすれば、【暴君特権】も相まってぶっ壊れスキルも良いところだけど、その更なる神髄は、この手数の多さ。

 

 まるで三千もの見えない兵士が、それぞれ魔王銃剣を構えてゼル・シルヴァリオに狙いを定めているかのような光景だが、それはあながち間違いではないという知識が、不思議と頭に流れ込んでくる。

 浮かぶ火縄銃の一丁一丁が孤立した魔法の武器であり、その全てが【天魔轟砲】のスキルを宿しながら、俺の意思一つで自在に操ることができると、スキルが教えてくれた。

 

(だったら、こう使えばいいだろ!)


 三千丁の内、千丁の火縄銃が一斉に【天魔轟砲】を放つ。一つ一つがバスターモードで使用するのにも遜色がない威力と規模を誇る赤黒い光線を放ち、一斉にゼル・シルヴァリオに突き刺さるが、大したダメージは無し。

 それに構わず控えさせていた二千丁の内、半分の火縄銃から【天魔轟砲】を同時発射すると、先ほどよりも大きな光線となってゼル・シルヴァリオに直撃。更に最後の千丁からより強力になった【天魔轟砲】を同時発射し、続いて最初に使った千丁からまたまた【天魔轟砲】を発射……これをループさせ続ける。


 本来、【天魔轟砲】のインターバルは六十秒。これを【暴君特権】によって半分にし、【魔王覚醒】によって十分の一にする。

 これによって【天魔轟砲】千発同時発射をインターバル実質ゼロ秒で連射し続けることが出来るわけだが、【コンボアタック】との相性が半端ない。

 いくら遠距離攻撃では威力上昇率が低いと言っても、秒間に千ヒットは伊達じゃねぇ。見る見る内に威力が上がっていき、あっという間にゼル・シルヴァリオが怯むほどの出力に。

 織田信長が武田軍を破った戦術として極めて有名な三段撃ち……それをモデルにした対ディザスターモンスター迎撃方法だ。


(でも……! これ消耗がヤバいんすけど……!)


 本来、時間経過でしか減らないはずのエネルギーゲージが見る見る内に減っていく。事前に冒険者の体力を著しく消耗するスキルとは聞いていたけど、俺たちの場合はこんな形で削られるのか……! しかも減り方も早いし!

 こうしている間にも見る見る内に威力が上がっていて、遂にはゼル・シルヴァリオの侵攻速度が急激に落ちるまでに至った以上、ここで攻撃の手を止めるわけにはいかないが……こんなんエネルギーポーションを全部使っても間に合わないんじゃ……!?


『総員……! カラクリを援護せよ! 恐らく体力の消耗が著しい……それをフォロー出来得るスキルを持つ者は、すこしでも彼らの攻撃を長く続けさせられるようサポートするんだ!』


 通信機から聞こえてくる獅子村さんの声によって、生き残った冒険者たちのバフが一斉にカズサへ一極集中させられる。

 大抵は攻撃の威力上昇に関するバフだけど、何人かがカズサのエネルギーゲージを補充してくれるスキルやらアイテムやらを使ってくれているおかげで、少しは時間を稼げる……!


(それでも焼け石に水感が凄いんだけどなぁああああっ‼)


 もう何もかもを絞り出して使い切るつもりで【天魔轟砲】を放ち続ける。威力は上限なんて無いみたいに上がり続け、ゼル・シルヴァリオの体力ゲージが見る見る削れていくのが分かった。

 しまいには一発一発がカズサの体よりもずっと大きくなった光線の雨が、猛吹雪をあっさり貫き、降り注ぐ氷柱以上の数で粉砕し、ゼル・シルヴァリオの巨体を押し留めるように。


(後、もうちょい……!)


 アイテムの残数とか味方の負担とか、そういうのは頭から完全に抜け落ちる。どうせ節約する意味もない……獅子村さんの奮闘によって残り六割未満のところまで削れていた奴の体力を全て削り切る……それが出来そうなほどの威力と勢いが、今の俺たちにはあった。

 ……だが、それも叶うことはなかった。


「……ぁ……っ!?」


 残り一割……そこまで奴の体力を削った瞬間、遂にエネルギーポーションは底をつき、サポートに入っていた冒険者たちによる回復も間に合わなくなった瞬間、エネルギーゲージがゼロになったことで【木偶同調】が強制解除され、カズサは雪に体を沈める。

 それと同時に外へと放り出された俺に襲い掛かる、全身の血が凍り付きそうな冷気。戦闘力が一万にも満たない俺にとって、この戦場は存在することすら許されない領域なんだって雄弁に伝わってきた。

 

「ぐ、うぅぅ……!」


 全身に感じる身を切るような冷たさ。全身の感覚が鈍くなって、まともに身動きも取れないけど……それでも何とかカズサに覆いかぶされた。

 あれだけボコボコにしてやって、ゼル・シルヴァリオが怒らないはずがない。明らかにカズサに向かって放たれた絶大な冷気から少しでも彼女を守れるように、自分の身を盾にして両眼を強く瞑った……その時。


「よく……ここまで奴を追い詰めた」


 力強い声が聞こえていて、そっと瞼を開くと、俺たちとゼル・シルヴァリオの間に立ち塞がるように、一人の男が身の丈ほどの長刀を大上段に構えていた。

 長身痩躯に、男にしては長い灰色の髪…………俺はこの男を知っている。


「後は任せろ」


 文字のような紋様が彫られたあの刀は間違いなく、かつて一般からの動画投稿で世間に公表された、とある冒険者が振るう得物。

 アメリカの大英雄。サムライ。前代未聞のトップランカー……様々な異名で呼ばれる男は力強く右足を踏み込み、コートの上からでも分かるほど腕の筋肉を盛り上がらせ、静かに……俺では視認できない程の速さで刀を振り下ろすと……地面が、空が、ゼル・シルヴァリオが、縦にズレたのを、俺は確かに見た。


「マジ……かよ……」


 一閃。どんなスキルを使ったのか分からないが、ただの一閃でゼル・シルヴァリオの残り体力を消し飛ばし、エベレスト並みの巨体は左右に両断され、倒れるように崩れ落ちながら光の粒子となって消えていっている。

 よく見てみれば、空を覆い尽くす雪雲まで真っ二つに切り裂かれて、裂け目から漏れ出した光が俺とカズサ……そして世界最強の冒険者、アイゼンを照らしていた。



ご質問があったのでお答えします。


Q『そういえば、ティムモンスターは決まってますか?』

A『決まってますね。一応、本編でもその事に関することを雄介が地の文で言ってますよ。本当、丁度理想的なモンスターを思い付いたんですよ』


Q『ファンタジー作品でこれは鬼門なのかもしれませんがあえて質問します

カズサは美少女だからトイレなんか行かない!

これは納得します

主人公(雄介)はこの二日間どうしてたんでしょう?

まさか、トイレなんか行かない!レベルの美男子だった?

それともカズサの中でおもらs……おっと誰か来たようです』

A『本編で既にトイレポーションという、体内の排泄物を消滅させる、長期戦闘のお供アイテムが登場してましてね。これで皆洩らさずに済みましたとも。ちなみにカズサは体の構造上、排泄物になるものさえエネルギーに変換しますから、本当にトイレなんていかないんですよね』


長かったゼル・シルヴァリオ戦もようやく終わり。正直、作者自身もだれそうになりましたけど、これでようやく物語がサクッと進められるようになりました。……まぁ、その内長い戦闘描写がまたあるかもですけど。


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― 新着の感想 ―
[一言] カズサと名付けられた木偶が「何者か」によって業と妄執に囚われた「ナニカ」を元にして造られた人形ということはやはり… 「人形」といえば、ちょっと前に死んだ大馬鹿者が何者かに「人形」に作り替え…
[気になる点] 魔王装備が一種のスキルオーブなら他の魔王装備と融合することはできますか? 関連の魔王装備を装備せずに魔王覚醒を使用することはできますか? 魔王装備を他人に譲ることはできますか? [一言…
[良い点] 熱いです。ギリギリの覚醒の攻撃、英雄の登場と楽しかったです [気になる点] もし織田さんが現代をしったら、それはもっとえらい攻撃をしてたかもとも思いました。 いや これからも進化!
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