超巨大モンスター防衛作戦 0
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
「作戦と言えるほどのものではないが……ディザスターモンスターの倒し方は常に決まっている。シンプルに足止めをしながら攻撃だ」
というか、それ以外の方法がないんだろう。他のディザスターモンスターがどれほどのものかは分からないけど、少なくともゼル・シルヴァリオは小手先の罠とかでどうにかできる……そんな次元の敵じゃないのは確かみたいだ。
【アイテム強化】があったとしても、罠系アイテムで拘束なんて出来なさそうだし。
「そしてまず、地球への侵攻を妨げる作戦の第一段階である足止め……個々によってやり方は異なるが、今回の場合では【対神属性】スキルを持つ私が、何重もの防御壁を軸にして行う」
「それは獅子村さんじゃないとダメなんですか? 戦闘力が一番高いんですから、多分アタシたちより火力出せますよね? それに魔王銃剣だって貸せますし、これなら火力も出せますよ」
確かに獅子村さんの防御、防衛スキルは世界随一という噂……でも高い戦闘力を持つ冒険者がこれだけ揃っているなら、スキルの併用やアイテム、装備による増強で何とかなりそうな気もするが、獅子村さんは静かに首を振って否定する。
「全てのディザスターモンスターに共通して言えることだが、奴らの攻撃は【対神属性】が無ければ防げないのだ。どれほどの耐性及び無効化スキル、どれほどの結界スキルであっても、まるで空気を裂くかのように貫通してくる」
「そう言えば、アタシのマフラーには氷耐性があるのに、それでも呆気なく氷漬けにされそうになりましたね」
詳しい理屈を聞く暇がないけど、獅子村さんの言う通り、奴の初撃でカズサが回復ポーション込みでも耐えられたのは、神仏ニ背ク外套の【対神属性】あっての事だったんだろう。体力ゲージの減少も早かったし、もしあれが無かったと思うとゾッとする。
「一応私は味方に自身の耐性スキルを付与できるスキルがあるので、【対神属性】を持たない者でも奴が放つ冷気を何とか耐えられるようにすることは出来るが、それはあくまで肉体に対してのみの事。彼らが使うスキルにまで【対神属性】を付与するものではない。よって、足止め役は私にしか出来ないのだ」
……察するに、【対神属性】は保持者が使う結界系スキルにも影響を及ぼすのか。
同じく【対神属性】を持っている俺たちだけど、結界を張る類のスキルは無い。たとえ有ったとしても、今のカズサの戦闘力であの巨体の侵攻を防ぐことができるかどうか。
「それに……君たちが持つその装備類は、それを得るための試練を乗り越えた君たちにしか使えないからな」
そう言えば、俺たちはこれを他の冒険者……千堂や百瀬に貸したこともない。単純に反動が強すぎて扱えないし、二人の天職に合わない武器種だからと初めから選択肢にすら入れてなかったから気付かなかったけど……俺たちにしか使えないとか、そういう隠し性能でもあったのか?
気になることが増えたけど、その辺りを追求するのは後日にしよう。俺たちは疑問をグッと呑み込んで、話の続きを促す。
「ディザスターモンスターが防壁を迂回して来たらどうします?」
「問題ない。コレには、ディザスターモンスターを含む全てのモンスターを引き寄せる【デコイ】の上位互換スキルがあるからな。流石にゲートに向かうのを止めることは出来ないが、それでも侵攻を妨げる私を無視して通ろうとすることは出来なくなる」
そう言って獅子村さんは、【アイテムボックス】から身の丈ほどの巨大な大盾を取り出して構える。
まるで赤い眼を持つ竜の顔をそのまま防具に仕立て上げたかのような大盾は、魔王銃剣にも似たどこか禍々しいオーラを放っていた。これまでの会話から持っているだろうとは思っていたけど……これが獅子村さんが持つ魔王装備か。
「そして私が奴の敵意を引き寄せ足止めしている間、唯一ディザスターモンスターを傷付けることができる【滅神属性】を持つ君たちに、休むことなく攻撃し続けてもらいたい。他の冒険者では、どれほど高威力スキルでも奴を傷付けられないのでな」
……【対神属性】のくだりで、その事も何となく察しがついていた。やっぱり魔王装備は、ディザスターモンスターを倒すための……。
「可能であれば、そのまま倒せるようにしてもらうのが最善だが……君は【天眼】のスキルを持っていたな。奴の戦闘力は見たか?」
「使いましたね。?マークしかなかったですけど」
「あれほどの巨体だ……どんな攻撃でも凌げるし、どんな冒険者でもまともに攻撃を喰らえば一撃で葬れるだろう。そういう意味で、測定不能を意味する?表示は正しいと言える。現に奴らの戦闘力を正確に測ることができるスキルは確認されていないしな」
アレか。昔の漫画とかで戦闘力を測る機械を使ったら、測定上限値を超えすぎて爆発する的なアレなのか。
「というか、あれはモンスターというよりも現象だ。眼から周辺情報を得てはいるものの、急所と呼べるか部位もない。その上、どんな攻撃でも外傷を与えることは出来ず、足や目を破壊して機動力を潰すことも出来ない」
どんな攻撃でも外傷が与えられない……それを聞いて真っ先に連想したのは、今なおホログラム画面の上に表示している緑色の線だった。
「もしかして、【ゲージシステム】っすか?」
「これまでディザスターモンスターとの戦いで、緑色のゲージの存在を確認した冒険者が幾人もいたから、そう見て間違いないだろう。【滅神属性】でならどこを攻撃しても奴のゲージを減らせるが、巨大でどの部位も頑強な上に体力量は圧倒的だ。今の君たちでは、奴がゲートに辿り着く前に削り切るのは難しいだろう。致命的に、戦闘力もスキルも足りない。可能な限り補助スキルでサポートはするが……」
「ですよね」
そんな事は分り切っていることだ。だが自分を傷付けることができる奴から延々とちょっかいをかけ続ければ、注意くらいは引き続けられるかもしれない。そうすることで時間を稼ぎ、増援が来るまで耐え凌ぐ……となると狙うべきは……。
「目を攻撃すればいいんすね?」
「そうだ。性質上弱点など無いが、如何に馬鹿げた図体をしたモンスターでも、情報源である眼を攻撃されれば嫌がるもの。これは【滅神属性】の無い冒険者でもできる足止め策で、突撃班は奴の顔に狙いを定めるのだ。君たちにはここにいる冒険者の約半数と共に奴の体の上に乗り込んでもらう事になるだろう。そうすることで、奴の攻撃の殆どを回避することができる」
あれだけの巨体なら、体の上に乗っかったほうがかえって安全だ。遠くに居れば体から噴射される猛吹雪で氷漬けにされるだろうし、奴の脚部を足場にすれば【三段ジャンプ】で延々と登り詰められるから、乗ること自体は問題無いはず。
周囲の冒険者たちの平均戦闘力は20万を超える……獅子村さんが俺たちを突撃班に回したのは、多分俺たちじゃ防衛班に回っても大して役に立てないからと、出来る限り存命させる為なんだろうな。魔王装備はかなり重要な物らしいし。
「それでも決して安全とは言えないのが奴らの厄介なところだ。恐らく何らかの方法で乗り込む冒険者たちを迎撃してくるだろうが……それでも何とかしてもらいたい。不甲斐ないように聞こえるが、現状それしか出来ないのだ」
作戦を総まとめすると、確かにシンプルだ。ゼル・シルヴァリオの敵意を引き寄せる獅子村さんたちが奴の侵攻方向上に立ち塞がり、防衛を突破しようとする奴を俺たちが邪魔をして増援が来るまでの時間稼ぎをする。
本来ならもっと色んな準備をしたり、作戦を立てることも出来たんだろうけど、獅子村さんもトラブルと想定外の出来事が立て続けに起こったといっていた。だから今回のような消極的な戦いしか出来なくなったんだろう。
「だが……我々で奴を打倒する可能性も確かに存在すると、私は思っている」
俺とカズサは思わず首を傾げた。獅子村さんは防衛に手一杯。俺たちは戦闘力不足……それが大前提で時間稼ぎという作戦に出るはずだ。それを覆す可能性がある要素なんてあるのか?
「君たちの装備は、まだ【魔王覚醒】を得るに至っていない。もしこの戦いの最中でもそこに至れたなら、戦闘力差を覆して奴を倒すことができるかもしれない」
そして数時間後……全ての作戦と、期待できない一縷の希望を聞かされた俺たちは、全人類を滅ぼす脅威との戦い、その最前線へと集まるのだった。
ご質問があったのでお答えします。
Q『異世界人って存在するのか?全然出てこないのはディザスターモンスターに全滅させられたからでしょうか?ゲートがひらいたのはディザスターモンスターが地球人類を滅ぼすため?或いは異世界人が、地球に逃げ込んだため?』
A『さてさて……詳しいことは伝えませんが、実を言うと異世界人の存在は本編中で既に示唆されています。これを伏線と捉えるのか、単なる文字数稼ぎと捉えるのか……それは読者の皆様のご想像にお任せし、今後の展開を楽しみにしていただければと思います」
Q『もうジャンルはローファンタジーじゃなくハイファジーじゃない?』
A『いいえ、ローファンタジーです。活動場所が異世界なだけで、主人公たちの生活基盤は地球ですし、個人的には近代的、もしくは近未来の地球で生活しているなら異世界が登場してもローファンタジーで通せると思ってます。……まぁ、勿論人によって見解は違ってくるでしょうけど』
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