サラッと明かされる意外な事実
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
クラン結成が決まり、やることは定まった。とりあえず夏休み前半を使って資格取得の準備やメンバー集め、プロになる条件を満たすことに専念し、立て込んでいた取材メールや勧誘メールを一気に消化することにしたんだけど、その前に俺はある人物に電話を掛けることにした。
「つまり、クラン結成を記者とか、勧誘してきたクランに知らせるのは、資格揃えて条件を満たしたり、ちゃんと結成の目途が立ってからにした方がいいってことですか?」
『そうだ。情報はそれまで伏せておいた方がいいし、勧誘に関しては待たせておいて、クランが結成した時にでも断りのメールを送っておいても大丈夫だ。向こうだって勧誘を受けるかも分からない冒険者の為に準備を進めるような先走った行動をとらないだろう。そもそも冒険者の将来に大きく影響するクラン加入の誘いなど、半年前後待つのが普通だ』
「そうですか……分かりました。相談に乗ってくれて、ありがとうございます、獅子村さん」
相手は《神奈川守衛隊》の獅子村さんだ。直接交渉に来た獅子村さんの電話番号も貰ったし、失礼ながら電話越しに勧誘を直接断ったんだけど、その時に自分でクランを結成するつもりだって事を話したら、色々とアドバイスをくれたわけだ。
やっぱり、実際にクランを引っ張っている人の意見には説得力があって、凄く参考になった。これでクランメンバーとして深い関わりを持つ未来も無くなったのに、親身にしてくれた獅子村さんには感謝だな。
「あの……すみません。ついでに聞きたいことがあるんですけど……」
『言ってみろ。私に答えられることなら答えよう』
物のついでに、俺は問いかける。
「俺がクランリーダーになる方向で話は進んでるんですけど……クランリーダーに必要な素質っていうか、資格とかあるんですかね?」
これだけは取得しておいた方が良いという資格とかあるんなら、それを取得する方向で動かないといけない。リーダーというメンバーを今後を預かる立場になる以上、出来る限りの事をしたいのだ。実際、色々と覚えるべきことが多くあるはず。
『……あくまで私個人の意見だが、如何にも就職や経営に求められてそうな資格など、クランリーダーには求められていない』
だがそんな俺の予想に反して、獅子村さんはそんな事を言った。
『そもそも冒険者クランというのは会社とは違う。リーダーだからと言って必ずしも経営学が求められるわけではないし、完璧な存在である必要もない。プロ冒険者と言っても所詮は一人の人間……長期的な異世界探索も多い我々には出来ることと出来ないことがあるからこそ、ギルド職員やクランマネージャーが存在するのだ。そう言った頭の使うことは彼らの領分……私たち冒険者は、後方で支えてくれる者たちに報いれるだけの財を異世界から持ち帰ればいい』
「それって、やることはこれまでと大して変わらないってことですか?」
『ふっ……そうだな。ランキングを登り詰めたいという君からすれば、そうだろう。故に私から教えられる、クランリーダーに必要なものは、一つの素質だけだ』
少し拍子抜けした気分になった俺は、電話口の向こうにいる獅子村さんの答えを待つ。
『最強であれ』
だが楽になった気分なんて、そんな重い一言で吹き飛んだ。
『異世界で先陣を切るクランのリーダーとは精神的にも戦力的にも仲間たちの支柱だ。いかなる困難の壁を貫く槍であり、いかなる災厄から仲間たちを守る盾でなければならない。そうあるからこそ仲間たちはリーダーに魅せられるのだ』
「……仲間の支柱……」
『故にクランリーダーとなる者に敗北は許されない。己こそが最強であると誇示し、皆を守る無双の守護者となれ。それが出来なければ、災いは後ろに居る仲間たちに及ぶものと知るがいい』
正直……言ってくれるなって思った。
獅子村さんの言ったことは決して簡単な事じゃないって、曲がりなりにも異世界で戦ってきた俺には分かる。自分の手にも余る強大なモンスターと敵対した時、果たして仲間たちを守れる余裕があるのかどうか。
「……はい」
それでも、俺は独りじゃない。仲間を守るのがリーダーだというなら、俺とカズサの力でやってみようじゃないか。
獅子村さんの言葉を肝に銘じ、俺はたった二文字の短い返答に覚悟を込めた。
『同じクランで戦う縁は無かったが、互いに冒険者である以上、共に戦う機会もあるだろう。その時こそ、クランリーダーに相応しき意地と気概を私に見せてくれることを期待しているぞ』
そう言い残して、獅子村さんは電話を切った。
日本最高の冒険者クランを率いる人の言葉を噛みしめつつ、人気のないトイレからカズサが待つテーブル席へと戻る。
「待たせたな、カズサ」
「おっ。電話、終わりました? 瑠衣ちゃんたちはまだ来てないっすよ」
高嶺山学園と間宮高校の中間くらいにあるバーガーショップ。そこで俺たちは千堂と百瀬の二人を待っていた。
要件は当然、これから立ち上げるクランの勧誘だ。二人を誘えれば丁度結成に必要な最低人数を満たすことができる。
……ていうか、二人以外にまともに誘えそうな冒険者がいないんだけどな。一応、ユース王決定戦で戦った黒犬屋とも連絡先を交換したんだけど、あの人はもう既に加入するクランを決めてるらしいし。
まだ細かい雇用条件とかクランの方針とかは決めておらず、加入してもらうためのアピール要素を提示できるかどうかわからない。
なので実際に加入してもらえるとは思っていない。だけど、どんな条件ならクランに加わってもらえるのか……そういうのを参考程度に聞くことはできるだろうと二人を呼び出したわけだけど――――
「是非、クランに加えてほしいくらいよ」
「よろしくお願いしますっ!」
驚くべきことに、合流して話を聞いた二人はすぐに快諾の返事をしてきたのだ。
「あの、こっちから誘っといてなんですけど……いいんすか? 言っちゃなんですけど、アタシらはまだクランをちゃんと結成してないし、どんな条件で二人を雇うかも決まってないんですけど?」
「それでも不当な条件で雇いはしないでしょう? 世間にバレたら問題だし」
まぁ、それはそうだけどな。実際、メンバーの稼ぎの半分以上をクランに納めさせ、そのまま着服したリーダーがいて、世間から凄い非難を浴びたってニュースがあるし。メンバーとなってくれた冒険者には、出来る限りの好条件を提示できるようにするつもりだった。
「お金やランキング上げの協力もあれば越したことじゃないけどね……でも究極的にはどうでも良いの。私たちの目的は、あくまで冒険者クランが持つ権限についてだから」
どういう事だろう? 続きを促すように首を動かす。
「とりあえず一から話すんだけど…………実は私と沙月ちゃんって、双子の姉妹なの」
「えぇえええええ!? そうなんすか!? 初耳なんですけど!?」
「黙ってたわけじゃないんだけどね。わざわざ話す機会が無かったというか……あんまり似てないから気付かない人も多いのよね」
衝撃の新事実にコーラを吹き出しそうになった。今の話が本当だとするなら、似てないのは二卵性の双子だからか? でも何で名字が違うんだろう?
その答えは、百瀬の口から聞かされることとなった。
「私たちのお父さんとお母さん、事故で亡くなっちゃって……親族の事情とか色々あって、私はお母さんの実家の養子になって、沙月ちゃんは叔母さん……お父さんの妹さんの養子になって苗字が変わったの」
「……そんなことがあったんすね」
それは確かにわざわざ話すことでもないな。
「偶然にも、引き取り先の家族が住んでる場所が近かったから同じ学校にも通えてるけどね」
「お父さんたちが亡くなったのも、もう三年も前の事だから。寂しいけど、何とかやっていけてるって感じ」
「そっか……それで、二人の目的っていうのが、クランに……っていうか、冒険者になることと何らかの関係があるってことなのか?」
千堂と百瀬は同時に頷いた。
「実は私たち……異世界産の食材を提供していた、父さんと母さんの店を復活させるために冒険者になったのよ」
ご質問があったのでお答えします。
Q『パチキング…ニドパチ王…だめだよぅ、私の一番好きなパチモンの言い方が分からないよぅ、w』
A『ニドパチグでどうでしょう?』
Q『寝取られては無いかな?』
A『読み進めていけば印象がガラリと変わる仕様になったと思っています』
Q『事務員は実務経験無しに出来るようなものではないです。よほどの天才ならともかく。経験者を雇わないと、税金や法律関連で痛い目を見ます。プロでも見落としがあって賠償金などのトラブルになるのは実際ありうることです。』
A『実に説得力のあるマジレスです。一応、フォローになるかどうかは分かりませんが言わせていただくと、パーティと言っても異世界資源やスキルを扱う以上、その運営には大なり小なり冒険者ギルドが常に関わっていて、税金や法律関係についてのフォローをする窓口も存在します。ていうか、小難しいことは殆どギルドの職員に処理してもらうパーティも多いです。
あと、他の表現が分からなくて事務員としましたけど、業務内容は役場のような本格的な内容ではなく、どちらかというと冒険者たちの活動のサポートがメインとなりますね。勿論、学生には大変な事ですし、二村も八谷も未熟な面は多々あります。その事を二人は当然のように理解しています。それを踏まえて先の展開をお楽しみに』
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