実は俺、こ〇亀の本〇さんっぽいところがあるんだよね
思ったよりも早く旅行から帰ってこれたので、投稿しました。
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください
異世界は地球からの情報を吸収し、変化し続ける。
だから世界的に有名な神話や伝承に登場する怪物がモンスターとして登場するし、先進国では一般的なパソコンやスマホ、カメラが宝箱からひょっこり出てきたりする。
世界大戦や2000年初期の軍隊の記録から銃火器が魔法の装備として昇華し、新たな天職である銃士が登場するようになった。
そんな性質だからか……何時しか異世界のダンジョンの最奥では、歴史や伝承に名を残した偉人や英雄、悪人がボスモンスターとして立ちはだかったという話まで、最近になって現れるようになったのだ。
例えば、アメリカのとあるダンジョンの奥には西部開拓時代の英雄、ビリー・ザ・キッドが。
ルーマニアのダンジョンでは串刺しと吸血鬼のモデルになったことで有名なヴラド三世が。
ロンドンのダンジョンでは世界的なシリアルキラー、ジャック・ザ・リッパーが。
中国のダンジョンには西遊記でもお馴染みの三蔵法師が、ボスモンスターとして現れたという。
ならば当然、この日本のダンジョンにも国に根差した伝説と偉業を後世に残す偉人英雄が、ボスモンスターとして現れても不思議じゃない。
(ユースケ……あれは、かなりヤバいんじゃないっすか?)
カズサにしては珍しく弱気な発言だが、それを咎める気にはまるでならなかった。
それもそうだろう……【窮鼠の直感】は俺に逃げろって叫んでるし……なによりホログラム画面越しでも伝わってくる威圧感に、マントに縫われた家紋。こんなボスモンスターが居るとすれば、その正体は間違いなく日本史上最大の英雄しかいないのだから。
「ほう……儂を呼び覚ます者が現れたか」
((っ!?))
コイツ、喋りやがった……!?
モンスターというのは基本的に会話をしない。それは偉人や英雄を元にしたボスモンスターでも同じことで、偉人と会話したという冒険者は見たことも聞いたこともなかった。
「よかろう。知ってから知らずか、如何様な理由で儂を解き放ったのかは分からぬが……是非も無し」
だけど……一体だけ、俺は喋ることができるモンスターの存在を知っている。
そいつは突然地球に現れ、世界中に異世界へ繋がるゲートを開いて人類を脅かした全ての元凶であり、冒険者による好景気時代の幕を開けた切っ掛けを作った、史上最強と謳われたモンスター。
始まりの魔王……そいつと同じく理性を持ったボスモンスターは、鎧の隙間から漏れ出す青い炎を揺らめかしながら、真っすぐに俺たちを視線で射抜いた。
「貴様らの全てを賭して、英雄たる資格を示すがいい‼ さもなくば……この第六天魔王信長が、世界の全てを灰燼に帰さん‼」
織田信長……第六天魔王という異名で恐れられた、日本屈指の大英雄。
長らく続いた内戦を終わりに導いた偉人であり、現代人に近い思考回路と徹底的な合理主義を持っていたという戦国時代の異端者。
人の身で魔王の領域に踏み込んだ、神仏衆生の敵……そんな奴に、俺とカズサは逃げ道を封じられた状態で相対していた。
「かあぁっ‼」
「ぐぅうっ!?」
爆発的とも表現できる、凄まじい速度で間合いを詰めてきた信長は、右手の日本刀を切り上げ、咄嗟にガンブレードで防いだカズサを上空へと吹き飛ばす。なんて踏み込みの速さだ、危うく直撃するところだったぞ……!
戦闘力差はかなり開いているな……とりあえず、【天眼】を……!
―――――――――――――――――――――――――
種族:第六天魔王・織田信長
戦闘力:60028
落日を超える試練を与えるために出現した魔王種。人の身で神を滅ぼす領域に踏み込んだ異端者、その幻影。挑戦者には有無を言わさず試練を課し、及ばなければ世界の全てを焼き尽くす不倶戴天の化身。
―――――――――――――――――――――――――
相変わらず意味深な事が記されているが、今はそんなことはどうでもいい。重要なのは奴の戦闘力だ。
ユース王決定戦から何日かが経ち、今のカズサの戦闘力は3万14……ジャスト二倍の強さを誇っている。
戦闘力に大差をつけられた敵と戦うのは、キモウサギ以来……だけどあの信長は、ある意味キモウサギよりもタチの悪い存在かもしれない。
(っ!?)
その時、【窮鼠の直感】が全力で警報を鳴らしてきた。回避行動をとらないと死ぬ……と。
「消し飛べ」
上空へとかち上げられたカズサに向けられた火縄銃の銃口から、赤黒い極大の光線が放たれる。それを何とか【三段ジャンプ】を活用して地面に向かって跳躍することで避けたけど、光線は分厚い雲を突き破って宙の彼方へと吸い込まれていった。
(なんて威力……! 当たってもいないのに、ビリビリって凄い衝撃が届きました……!)
【窮鼠の直感】によって鋭敏化された危険察知能力が告げてきてやがる……今の光線は、直撃してはいけない。当たれば一撃死レベルの攻撃だって。
「ぬぅんっ!」
そんな脅威におののく暇も与えてくれず、信長の持つ刀から黒紫色の電流のようなエネルギーが迸り、着地したばかりのカズサに向かって振り下ろす。
脳天から股を切り裂くような縦一文字斬り。慌てて二本のガンブレードを交差させて防いだけど、足元の地面は蜘蛛の巣状に罅割れ、カズサは左膝をついてしまった。
(とんでもねぇ速さと重さだ……! 【剛力】のスキルがなかったら一瞬で潰されてた……!)
それだけじゃない……パワーとスピード、耐久力を底上げする各種ポーションを使用しているのに、戦闘力差がそれほど埋まっているようにも見えない。多分、信長も自己強化系のスキルを使ってやがる……!
さっきの砲撃や、このエネルギーが迸る刀……俺たちの【チャージショット】や【オーラブレード】に似たスキルだろう。威力が桁違い過ぎて、まともにぶつかり合わせる気がしないけど……!
内心で舌打ちをしていると、信長は静かに左手に持つ火縄銃の銃口を、右手の刀で押さえつけられるカズサに向ける。一体何をしてくるのかなんて、一目瞭然だ。
「……舐めんなっすっ‼」
ふんばっている右足を駆使し、転がるようにしながら【ミラージュステップ】を発動。それと同時に火縄銃の銃口からガトリング並みの連射が火を噴いた。
弾丸はカズサの体を透過し、地面を少し吹き飛ばす。恐らくあれがスキルを用いない火縄銃の通常攻撃……それでも、デュアルモードのガンブレードの銃撃よりも遥かに威力がありそうだ。
「やるではないか」
転がりながら距離を取りつつ、両手の得物を構え直したカズサに対し、信長も武器を構えながら冷静な視線で隙を窺っている。
これがキモウサギと戦った時との決定的な違いだ。戦闘力差は今の状況とどっこいどっこいだったけど、向こうは巨体だったからこそ隙を窺えたし、理性が無かったからこそ、こっちの策略に嵌めることが出来た。
戦闘力に大差があるにも拘らず、人と同サイズだから隙も少なく、物を考えるから対処が難しい。
その証拠に、信長は上空に打ち上げたり、刀と圧力で押さえつけたりしてカズサの身動きが取れない状況になってから、確実に攻撃を当てようとしていた。【ミラージュステップ】と【三段ジャンプ】があったから事なきを得たけど、どちらか片方でもなければ既に詰んでいてもおかしくなかったぞ。
間違いなく、今まで戦ってきた中でも最強の存在。まさに魔王を名乗るに相応しい強さだ。
(だから……何だ?)
これまで、カズサと一緒に大なり小なり命を懸けて戦ってきたから知っている。この異世界じゃ、欲しい物があるのなら、生きて明日を見たいのなら、目の前に立ちはだかるのがどれだけ恐ろしい脅威でも打ち倒さなきゃいけないってことを。
((俺たちを舐めるな、第六天魔王……!))
確かに俺は独りじゃビビりのヘタレの内弁慶。戦闘力が上がったのに、訳の分からんピエロにビビってるような奴だ。
(でもな……こちとらバイクとかに乗ってる時は性格変わるタイプらしいんだよ)
この空間でコントローラーを握っている限り、俺は独りじゃない。日本最大の英雄が俺たちの明日を閉ざそうという障壁なら、望み通り全てを賭けて飛び越えてやる……!
ご質問があったのでお答えします。
Q『不勉強で申し訳ない、カズサに同意です。緑っぽい羽織着た正座姿でも絵と立体のイメージ差で気が
付かない自信あるのに鎧姿でマントの家紋で判断しろと言われても・・・
というか第六天魔王様の兜飾りって後光射した織田木瓜ですが、立派な兜の後にマントで家紋に気が付いたってことは兜飾りに織田木瓜はなかったってことですよね。モデル別人では?』
A『この時、信長は雄介の視点に対して背を向けていましたからね。兜の前部分が見えなかったんです。一応、兜にも木瓜紋はあるという設定でも大丈夫です』
Q『英霊召喚かな?』
A『違いますね』
Q『お寺、比叡山かな? 本能寺かな?』
A『本能寺がモデルですね。実際どんなところだったのかは分からないので、風景や建造物に関しては適当にしましたけど』
Q『カズサさんがノッブ、織田信奈さんになるイベントですかね???これが強化イベントだったとして倒した後カズサがカズサ(cv.若本規夫)かカズサ(cv.内田直哉)になったりしないよねw』
A『流石にそれはなりませんね。特に若本化はあり得ないとだけ言っておきましょう。倒した結果、何を得るのかはお楽しみに』
Q『金でスキルカードもオーブも買えるんだから個人、または集団が戦闘力を買いながらダンジョン攻略見→要らないアイテムや魔石を売って戦闘力を買うを長年「若返りの飴」を使用しながら繰り返している人が最強だと思う。また、そういった集団が世界を牛耳っているだろう』
A『金で戦闘力やスキルを得る冒険者たちというのは確かに存在しますが、それには莫大な資金が必要ですからね。更には時価一億とも言われる若返りの飴は超絶激レアアイテムで、まず市場に出てくること自体ないとまで言われる代物ですから、現状ではそういう人はいませんね』
Q『テイムしたモンスターを冒険者の一部として扱える設定っていうのは義眼や義手として身体に仕込んだ場合なのかな?バロールの眼やアガートラームの銀腕などが思い浮かんだがなんか違うし。
寄生タイプのモンスターや厨二病によく発症する腕に封印されるアレとか?』
A『いえ、テイムモンスターと冒険者が、【木偶同調】に似た繋がりがある設定だったらという話です。例え、この設定がボツになったとしても、冒険者に寄生することで力を与えるテイムモンスターなら、【アイテム強化】の効果適用内に入れるという設定で行こうと思います』
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