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まさかあんな日常にフラグがあったなんて

改稿した48話はご覧になっていただけたでしょうか?

明日は正月で家族旅行の真っただ中。投稿できるかどうか不明なので、一応明日の投稿はお休みさせていただく可能性があります。

楽しみにしていただいている読者様方には落胆させてしまうかもしれませんが、どうかご了承のほどをよろしくお願いします

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください


 それは、マジックアイテムとしては余りに異質だった。

 普通、【鑑定眼】などで物品を見れば、使い道や効果がホログラム画面として表示されるものだけど、このゼンマイは【鑑定眼】の上位スキル、【天眼】でも意味深で理解できない説明文……? みたいなのが表示されるだけ。

 こう言ったアイテムに関しては、どれだけ調べても出てこなかった。講話社所属の冒険者たちが、使用用途不明と匙を投げるのも無理もない話だろう。


(でもこういうアイテムって、ユニーク装備の手掛かりになるって、ランカー冒険者の動画で見たことがある)


 意味深な説明と用途不明なアイテムというのは前例のない物じゃない。このゼンマイのように使用用途が分からないアイテムを手に入れ、その謎を解き明かすことで非常に強力なスキルを秘めたオンリーワンの装備一式、ユニーク装備をゲットして大活躍した冒険者が、今じゃランカー上位に君臨しているし、この手のアイテムの存在は有名なのだ。

 

(なにより、人形っていうワードが引っ掛かりますよね)

 

 人形と言われれば、俺とカズサが連想するのは木偶人形だ。勿論、他にも人形の見た目をしたマジックアイテムはあるけど……それらは別に特別な物じゃない。

 根拠も何も無いけど、色んな意味で特殊な人形と言われればやっぱりカズサだし、狸の皮算用でもユニーク装備が手に入る可能性があるなら、報酬としては十分価値がある。


(と言う訳で、ゼンマイが手に入ったっていう、仏寺(ほとけでら)ダンジョンに来てみました)

「わー!」


 三連休を利用しての県外遠征。何かあった時の為にアイテムを出来るだけ補充し、講話社の本社ビル近くにあるギルドにあるゲートから異世界に入って走ること一時間……目当てのダンジョンの前まで来たことを、隣に置いてあるカメラに向かって言い放つ。

 謎のアイテムの秘密を追う冒険……そんなキャッチフレーズで動画を出そうと、俺とカズサは撮影中な訳だ。


(このゼンマイを報酬としてもらった時、一緒にどこで手に入ったのか聞いたから、とりあえずここを調べてみようって訳ですね)

(とはいっても、もう既に講話社所属の冒険者たちだけじゃなく、ギルド本部の冒険者たちまでもが調べ回った後らしいけどな)


 というのも、この仏寺ダンジョンは他のダンジョンと比べても、あまりに異質だったかららしい。俺も詳しいことは聞いてないんだけど……。


(どれだけ調べても、ゼンマイが入ってた宝箱以外は何も出てこなかったんだと)

(何もって……モンスターもですか?)

(あぁ。ボスはおろか、雑魚モンスターの一匹もいなければ他の宝箱の一つもなかったそうだ)


 普通、ダンジョンというのは最奥への門番として多くのモンスターが出現する。そのモンスターすらいないなんて、そんなのダンジョンでも何でもない、ただの建造物だ。

 それでもこの目の前の扉の向こう側に繋がっている場所がダンジョンとして認定されたのは、花橋ダンジョンのような箱庭型ダンジョンと類似した特徴があるからだとか。


(結局ダンジョンやゼンマイの事をどれだけ調べても何も出て来なくて、このゼンマイだけが持て余されることになって講話社が持ち続けてたんだと。それが二年くらい前の話……で、今年になって冒険者として台頭した俺たちに、エキシビジョンマッチの報酬として渡してきたんだろうな)

(品名から察して、アタシたちならもしかしたらって思ったんですかね? 使い道が分かったなら御の字みたいな)


 多分、その通りなんだろう。実際、講話社は今回のゼンマイに関して何か分かったら動画を上げる時、報酬を払うから講話社との共同捜査という風な動画にして、取材もさせて欲しいとお願いされた。

 俺たちとの繋がりを暗に示したかったのか、それとも単に話題性が欲しかったのかは分からないけど、まぁ金は手に入るし、変な契約書類を交わしもしなかったから問題ないとして了承したってわけだ。


(じゃ、早速調べに行ってみましょうか!)


 ダンジョンの扉を開けて中に入ると、正面には雑木林に挟まれた長くて広い石階段。その上には日本の寺院とかによくある山門が見えた。


(お寺……ですかね? それも結構立派な)

(とりあえず……上に行ってみようか)


 石階段を数回の跳躍で登り詰め、山門を潜って寺院の敷地内に入る。そこに広がっていたのは、綺麗に整備された庭園と、大きくて厳かな本殿。昔写真か何かで見た、モンスターの襲撃によって焼き払われ、今はもう存在していない、京都府に存在していたという大きな寺院を連想させる光景だ。


(本当にモンスターも何もいませんね。ダンジョンって入った途端にどこからかモンスターの鳴き声が聞こえてきたもんですけど、ここはすっごい静かな場所です)

(とりあえず俺たちも散策してみよう)


 それから三時間……俺たちはダンジョン内を隅から隅まで探ってみた。その結果――――


((マジで何もねぇ))


 雑木林の奥に進んでみれば、いつの間にか石階段まで戻ってきているし。山門を調べ回してみても何も無いし。寺院を囲む塀を延々と眺めて見ても何も無いし。本殿を調べても、中央に超デカい仏像があるだけだし。

 ヒントや手掛かりでもないかと細かいところも探ってみたけど、本の一冊どころか文字の一つもありゃしない。

 仏像の前で無駄にエネルギーゲージを削られたカズサに駄菓子を食べさせる。異世界の探索に余裕がある時は、ポーションみたいな味気ない物じゃなくて、好物の駄菓子を与えてエネルギーゲージを回復させるようにしているのだ。


(何でこんな何もないダンジョンが存在するんだ?)

(まぁ、何となく分かってはいましたけどね。大勢の冒険者が調べても何も無かったなら…………あれ?)

(どうした? なんか見つけた?)

(あの仏像……おデコに小さな穴が開いてません?)

(穴ぁ?)


 右スティックで視界を調整し、仏像の額が見えるようにする。本来仏像っていうのは皆、額にデカい黒子みたいなのが付いてるんだけど……言われてみれば、小さな穴が開いている。

 それこそ、ゼンマイが丁度すっぽり入りそうなほどの小さな穴が。


(嘘だろ? 他の冒険者たちがアレに気が付かなかったのか?)


 少なくとも、事前に受け取った情報にあんな穴の存在は無かった。実質一人分の視野しか持たない俺たちはあの穴の存在に気付くのに時間は掛かったけど、このダンジョンには大勢の冒険者が来たはずだし、この仏像はダンジョン内でもかなり目立つ物だ。

 そんな仏像の額に開いた、お誂え向きな大きさの穴を、俺たち以外の誰もが見逃した? そんな話って、ある? 


(とりあえず、入れて回してみるか)


 仏像の頭まで登り、額の穴にゼンマイを入れて回してみると、カチカチカチってゼンマイを回す時の独特の音が聞こえてくる。


(これ……手を放した瞬間に仏像が動き出して襲い掛かってくるパターンじゃないっすか?)

(怖いこと言うなよ)


 仏像を【天眼】で見てみても、何の変哲もない仏像っていう説明が出てきた。こんな仕掛けがある時点で既に変哲もないっていうのは嘘だと思うんだけど……とりあえず、ゼンマイを掴む手を放さなきゃ進まない。

 俺とカズサは覚悟を決めてゼンマイから手を放した瞬間、ゼンマイに突然炎が着いて穴に吸い込まれ……仏像は大爆発し、カズサの体は山門のところまで吹き飛ばされた。


((このオチは予想してなかったああああああああああっ!?))


 幸いにも体力ゲージを削るほどの衝撃じゃなかったけど、代わりに周囲は地獄のような光景が広がっている。

 仏像の内部に貯め込まれていた灼熱が炸裂したかのように、ダンジョン全域が紅蓮に染め上げられ、本殿や塀、山門に雑木林は大炎上。

 静謐とした厳かな寺院は、まるで焼き討ちに遭ったかのように見る影もなく焼けていく。そんな燃え上がる寺を呆然と眺めていると、背後から爆発音が聞こえてきた。


(嘘だろ!? ダンジョンの出入り口が!?)


 今の爆発による影響か、それとも別の理由かは分からないけど、冒険者たちの逃げ道でもあったダンジョンの出入り口が見る影もなく砕かれていた。あれじゃあ、ここから逃げ出すことも出来ない!


(アタシたちを、この戦いから逃がさないつもりみたいっすよ……ボスモンスターの、お出ましみたいです)


 周囲の炎がカズサと本殿の丁度中間あたりに収束していき、徐々に人の形を成していく。 

 そうして現れたのは、右手に刀を、左手に火縄銃を握り、こちらに背中を向ける一人の具足武者だ。立派な兜を頭に被り、背中には紅蓮に染め上げられた外套(マント)を熱風に靡かせる……見ているだけで冷や汗が止まらない、凄まじい威圧感を放つ未知のモンスター。

 そんなモンスターの真っ赤なマントには、金糸でとある家紋が縫われているのが見えた。


 ――――〇まい棒のスタイリッシュな開け方は知ってるのに、なんでこの武将の事は知らないんだ?

 ――――そう言われましても……。ていうか、このチョンマゲの人ってそんなに偉い人なんですか?

 ――――そりゃあ、日本に住んでいる人じゃ、知らない奴は誰も居ないっていうくらいの偉人だし。


 それを見た時、前に歴史の小テストが返ってきた時にカズサと話した会話の内容を思い出した。

 だってそうだろう……? あの家紋の呼び名は――――


(織田木瓜……だと……!?)


ご質問があったのでお答えします。


Q『家族襲うぞとか脅してもその場でぐちゃぐちゃになるまで潰されたらそれまでじゃね?』

A『どんな格闘競技でもやり過ぎは問題ですし、ましてや試合外で叩き潰すのなんて論外ですからね……警察やギルドに相談し、対応するのが正解です。ただ、正当防衛として実際に家族を襲おうとした不届き者を叩き潰すのはありです』


Q『ユニゾン中はユースケの装備効果がカズサに乗るんなら、フルプレート系や小林幸子系の物理的に行動阻害受ける装備や、見た目がアレ過ぎるネタ装備でもユースケが着て特殊効果のみカズサが活用する方向でアリですね。

重ねがけアリなら10本指指輪や2桁ネックレス、ベルトや上着多数の着ぶくれ装備ユースケも検討の余地ありますかね?』

A『十分ありです。実際に装備品を大量に身に着けて戦えば動きが阻害されてしまいますが、雄介たちの場合、雄介の手と目が自由であれば、幾らでも魔法の装備を詰んでも問題ありませんし』


Q『空蝉は1回だけ攻撃を防ぐんですか?回数のあるスケープバリアの方が得なのでは?』

A『少々誤解があるようですが、スケープバリアも一回に付き一度の攻撃を防ぐスキルです。大会で三枚掛け出来たのは、大会に協力した《神奈川守衛隊》というパーティの専売特許のようなものですね』


Q『ジョッブやスキルはともかく、槌にはテイムや召喚を付与するものはありますか?もしあったら、付喪神、呪いの魔導書、リビングソードやリビングアーマーのようなアイテム系モンスターを仲魔にすれば、アイテムマスターにもワンチャンスありますか?

育成など人間の強化とは違うかもしれないが、アイテムを使うならアイテムマスターが効率的に育てるし。人形のように中に入れないのが残念ですが、リビングアーマーなどを装備すれば安全かも?』

A『現状、モンスターを使役する方法はテイムシールという専用マジックアイテムしか確認できてませんが、テイムや召喚系のスキルが今後現れる可能性はあります。ご質問にあったモンスターをアイテムとして分類できるかと言われれば、ちょっと無理ですね。リビングアーマーやモンスター化した魔導書などを冒険者は装備することができますが、それはあくまでも装備品……アイテムとして扱われません。ちなみに、モンスターの育成は冒険者と同じく、スキルカードを取り込ませることができます。ただ、テイムしたモンスターを冒険者の一部として扱える設定で考えれば……』


Q『瞬殺全国バレしたのかな、全国放送はエキシビジョンだけだったのかな?』

A『新藤の瞬殺は全国バレしました。全試合テレビで流れますからね。同時に新藤のお株も大暴落』


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― 新着の感想 ―
[一言] モンスターいないとか観光地によさげなのに崩壊しちゃったね・・・
[気になる点] アイテム調合を連続して使えば超チートアイテムができませんか?鑑定眼×2で天眼なら天眼と天眼を調合したら神眼とかになったり?あと違う種類のアイテムを調合することは出来ますか?
[気になる点] 本能寺か? [一言] テイムしたモンスターを冒険者の一部として扱える設定っていうのは義眼や義手として身体に仕込んだ場合なのかな? バロールの眼やアガートラームの銀腕などが思い浮かんだが…
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