これ見よがしなキーアイテムを見つけたら
トイレで襲われる48話の描写について、修正を入れておきました。こちらとしては、単なるギャグ要素でしかなかったんですが……なんか、やたらとツッコまれることが多かったんで。
ただ、雄介がビビったことに関しては訂正しませんよ。外野からは何とでも言えますが、冒険者歴半年も経っていない半分一般人の上に【恐怖耐性】もない、まともな戦闘経験のない奴が刃物持ったピエロに襲われて冷静に対処できる方が不自然です。それでも納得のできない方がいる場合の為に、今回の修正によってより危険な状態にしましたし
ただ、このままでは終わらせるつもりはありません。主人公は成長する者です。いつかはこの汚名、返上させる予定です
お祝いムードから一転、正体不明の冒険者に襲われたことで、俺は警察から事情聴取を受けることに。
事件の場であるトイレの周辺に人気が無かったことと、警備員と警察、そしてギルドからの配慮で、この事はマスコミの目に留まることはなくひっそりと処理され、俺とカズサが掴み取った名声にケチが付くことはなかった。
後に俺に関する情報を一部規制しつつ、犯罪行為に走った冒険者の存在をマスコミを通じて公にするらしいんだけど、警察は人的被害が出なかったこの事件を深刻と捉えているらしい。
「こうして被害届が受理されましたが、冒険者犯罪は犯人の特定に時間が掛かるケースがあります。警察としてはギルドと協力していち早い犯人逮捕に尽力しますが、大なり小なり時間はかかるでしょう。……これからは、決して一人で行動しないように心がけてください」
スキルの中には、姿を変えるもの、透明になるものといった、人や機械、モンスターの目を欺くものが多く存在する。
人間を超越した身体能力や破壊力を持つ冒険者がそう言ったスキルを悪用すれば、完全犯罪も夢じゃない。だからこそ、冒険者犯罪を犯した者には重い厳罰が課せられると警告し、品格を求める風潮を作り出した。
「ふぅ……ようやく事情聴取も終わったな」
「長時間の取材から、長時間の聴取……座って話してるだけなのに、疲れちゃいましたね」
用事があるからと編集者たちと連絡交換をしてからその場を切り上げらせ、事情聴取が終わって警察から事件に関する口止めをされた後、カズサと一緒に出向いた警察署から出た時には、既に夜中の九時を超えていた。
まさか有名になった途端にあんなのが出てくるなんて……これからは、本気で変装をして出歩くことを考えないといけないなぁ。眼鏡と帽子でも買えば、いけるか?
「それでだ……カズサさんよ」
「何でしょう、ユースケさん」
「さっきから挙動不審だけど、マジでどうした?」
事情聴取終了後、警察署を出て帰宅する道中、カズサがやたらと視線をキョロキョロさせながら、電柱やコンビニのゴミ箱、塀の上で寝てる猫や通行人に向かって、何とも素人っぽい武術の構えみたいなのを取っている。一体この子はどうしちゃったんだろう?
「これは雄介に襲い掛かってくる変質者を威嚇しててですね」
「あ、それ威嚇の構えだったのか」
「気を付けてください。そこのポストの中からユースケを狙っているのがいるかもしれないっす」
んな訳ねーだろ……と、言いたいところだけど、冒険者のスキルならポストの中に入り込めそうだから、何とも返答に困る。
「アタシも不覚でした……まさか本当に襲ってくる冒険者と出会わせるなんて。出来ることなら365日、アタシの中でずっとユースケを守りたいくらいですね。ていうか、そうしません? それが一番安全ですし、ご飯は【アイテムボックス】を通じて渡しますし」
「何それ怖い。警察の人もそこまで規制してねーから!」
今回の事件で、酷く心配したカズサはちょっとヤンデレ気味になってしまった。体の内側に永遠に閉じ込められるとか、それどんなメリーバッドエンド?
「トイレとか学校とかプライベートとか色々あるだろ。四六時中カズサの中に引き籠るなんて現実的じゃない」
「むぅ~……それはそうですけど、心配くらいします。今回は何事もなかったですけど、ユースケに何かあってからじゃ遅いですし」
「俺自身そこそこの戦闘力を得たし、何よりお前がいるんだからここまでしなくても大丈夫。だからずっと俺の傍にいろよ」
……なんだろう。ちょっと気障なプロポーズみたいになっちゃったぞ。このことを必要以上にツッコまれるのもあれだし、カズサが気に留めていない内に話題を変えないと。
「それに俺も今回の件で自衛を見直してさ……今度、危険察知系の強化槌を手に入れにいこうと思ってる。それが手に入れば、カズサも少しは安心だろ? 他にも自衛のスキルとか、手に入れられるのは手に入れるようにするからさ」
「まぁ、それはそうですけど」
魔法の装備なら俺でも扱えるし、今の戦闘力を合わせれば冒険者による危険からもある程度は逃れられるはずだ。
戦闘力も3万に近いし、危険察知系の強化槌が手に入ったっていう情報があるダンジョンには、ある程度の難易度のところには行けるはずだし、最悪買えばいい。
「何だったら、予定の合間を見て訓練所に護身術を習いに行くしさ」
訓練所っていうのは、有志の冒険者たちによって開かれた、主に新米冒険者などにモンスターへの対処法や、対冒険者への対処法を訓練するギルドの施設だ。
講師役には近接職の冒険者も多く、武術スキルの杵柄から一般人に護身術を教えることも出来たりする。
「はぁ……分かりました。確かにアタシも過剰になり過ぎてたみたいっすね」
カズサは眉尻を下げながら俺の顔を見上げてくる。
「でも忘れないでくださいよ? 貴方の痛みはアタシの苦しみ……こういう時こそ、アタシを頼ってください。約束です」
「あぁ、約束だ」
差し出された小指を絡ませる。置いて逝かれる時の喪失感は、俺だって身に染みている……俺が死んだらカズサがどうなるのかは分からないけど、彼女の顔をこれ以上曇らせることはしたくない。
「とりあえず、次の冒険の方針としては、まずは危険察知スキルが付いた装備を手に入れてから……報酬の正体を見定めに行くか」
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ユース王決定戦から一週間……危険察知スキルが付与された魔法の装備は、思ったよりも簡単に手に入った。
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品名:小動物のベルト
身に着けるだけで野生の小動物のような危険察知が出来るベルト。魔力を得たことで耐久力が大幅に向上した。
《装備スキル》
・窮鼠の直感
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身に着けるだけで害意を始めとした悪意全般や大きな脅威を感じ取れるようになるというベルト。これは俺自身が装着することになった。
一人で居るところを狙われた時対策だけでなく、カズサの操作中でも効果を発揮することは、花橋ダンジョンのラミアで既に実証済み。大蓮の上に立ってたところを、下からラミアが槍で突いてくる直前に危険を察知出来て避ける、なんて芸当も出来たし。
「まぁ、高かったんだけどな。直感の強化槌」
「安全を買ったと思えば安いっすよ」
かなりのレアスキルだったらしく、お値段まさかの一千万。市販のベルトを合わせると、一千とんで一万円である。
この値段に驚いて少し調べてみると、冒険者たちの命を何度も助けた実績がある有用スキルらしく、その効果は俺たちも既に実感済みだ。
しかもダンジョンでもなかなか出難いらしく、先日の事件の事もあったから思い切って出費したわけである。
「強化槌を買うお金も手に入ったし、【スケープバリア】も良いスキルに強化されましたし、大会に出たこと自体は良い事でしたね」
運営からの報酬で貰った、本来なら【スケープバリア】を覚えられる身代わりのスキルオーブ。これを【アイテム強化】込みで使ったことでカズサが新たに習得したのは、【空蝉】というスキルだ。
インターバルは三十分と相変わらず長いけれど、予め発動しておけば、攻撃が直撃した瞬間、半径十メートル以内ならどこにでも空間転移が出来る代物。これを活用すれば、漫画の忍者みたいに「馬鹿め! それは偽物だ!」とか言いながら攻撃したばかりの相手を背後から奇襲することだってできる。是非やってみたい。
「それじゃあ、運営から最後の報酬……これの正体について探っていこうか」
俺は手に持った木箱の蓋を開ける。そこには金色のゼンマイが一つだけ収められていた。
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品名:英雄人形のゼンマイ
戦国が生み出せし業の火を乗り越えよ。さすれば落日を切り開く一閃とならん
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ご質問があったのでお答えします。
Q『主人公の名前の「九々津」は操り人形や木偶を指す言葉「傀儡」と掛けて付けられた名前でしょうか?』
A『お察しの通りです。イメージしやすいかなって思いまして』
Q『後書きの最後の答え、「死生活」ではなく「私生活」ですよね?』
A『はい、その通りです』
Q『最初からトイレで主人公を襲うつもりで大会来てたんじゃなくて最初は正々堂々の試合で勝てるつもりで来てたってことか?アホすぎんかコイツ』
A『というか、脅して勝つこと前提で来ましたね。トイレで襲ったのは、当初予定していた「大々的に公開されている試合で勝って自分の沽券を取り戻す」という作戦が上手くいかなかったから、自棄になったんです』
Q『>戦闘力に大差はあったけど、問題ない。九々津の家族を人質にとって脅してしまえばいい。
そんな計画してたくせに一回戦までなにもやってなかったのか...どう考えても間に合わないだろ。』
A『すみません、描写ミスです。「試合で勝ったらお前の家族を襲うぞ」と伝えるつもりだったんですが、指摘されて気付きました。修正しておきます』
Q『アイテムマスターは監視カメラとかに看破のスキルとか付与出来ないのですか?』
A『何らかの真実を看破する……そういうスキルが宿った強化槌があれば、誰でもできますね』
Q『質問ですスキルに覗きに使われそうな透明化や盗みに使われそうなピッキングとか犯罪に使われそうなスキル持ち冒険者はギルドの注意リストに登録されたりするのでしょうか?』
A『そうですね。発覚した時点でギルドから警告を受けますね。実は冒険者は、半年から1年の間にギルドで免許更新みたいなことをするんですけど、その時にスキルや装備のチェックも入って、犯罪に直結できるスキルがあれば警告され、注意リストに入ります』
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