おや? 新藤の様子が……
新スキル【レビテーション】……アレを改名しておきました。感想で教えてもらって初めて意味を知ったんですよね……依然とあるゲームで同名の回復魔法があったもので。
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください
エキシビジョン……エキシビジョンマッチの事か? でもどうしてそういう話に?
[九々津様は、二十歳未満の冒険者の方々の、平均戦闘力をご存じでしょうか?]
「いえ……」
[二十歳未満……つまりユース王決定戦の参加が出来る方々の平均戦闘力は、1500にも満たないんですよ]
「え? そんなに低いんですか?」
……あ、でも言われてみればそうかもしれない。二十歳未満の冒険者なんて、基本的には皆学生だ。ダンジョンの踏破や異世界の探索なんていうのは基本的に時間が掛かるもんだし、俺たちみたいに冒険者業にかまけてられないか。
学生という意味では俺たちも同じだけど、戦闘力の上昇率が二倍であることに加えて、【ゲージシステム】で多少の無茶も出来るし、ラミア道場もやってるからな。既にカズサの戦闘力も2万を超えていることもあって感覚が狂ってたけど、そのくらいが普通なんだった。
[中学校卒業してから三~四年冒険者業をしていたという方でも、大体1万を超えているくらいですが、それも全体から見れば少数派で、今大会に出場しているかも、現段階では分かりません]
マジでか……まさか同年代の冒険者と、既にそこまでの開きがあるとは。
[昨日、九々津様が所有しておられる特殊な木偶人形……カズサさんの戦闘力が2万を超えたという報告動画も投稿されていましたし、ハッキリ言えば異常なレベルです]
「……もしかして、エキシビジョン枠で出場してほしいのって、俺たちが大会荒らし的な存在になるって言うか……結果の見えた勝負で観客を盛り下げるのを防ぐため……とか?」
[滅相もございません。例えこの話を断られたとしても、我々運営は九々津様の参加を歓迎しております。確かにデュエルの大会を観に来られた方々からはそのような声もありますが、今回お声を掛けさせていた理由は、程よく高い戦闘力を誇るお二人に是非ともエキシビションマッチを引き受けてほしいからです]
どういう事だ?
まぁ、運営の意図はともかくとして、こちらとしては大会に参加する目的さえ果たせれば何でもいいんだけど……。
「でも……俺たちはランカー入りを目指してましてね? その為に有名になったり、優勝賞品とかも欲しいんですよ」
知名度と賞品。これさえ手に入れば言うことはない。
[勿論、その辺りのご事情もお察ししておりますが、ご安心ください。お引き受けていただけるのなら、可能な限り九々津様がご満足いただける報酬をお渡しする所存です。つきましては、直接お顔を合わせて説明をさせていただけないでしょうか?]
……優勝賞品に代わる、何かを差し出すという事か? そう言うなら話は変わってくる。
「分かりました。とりあえず、まず話から聞きたいと思います」
[ありがとうございます。参加登録の際に記入された住所を見る限りですと……九々津様は第十七支部の近くにお住まいですよね?]
「はい」
[それでは、話し合いの待ち合わせ場所は第十七支部にあるカフェテリアで如何でしょう? もちろん、不都合がございましたらいかようにでもお申し付けください]
「大丈夫です。そこのカフェで、カズサと一緒に待ってるんで」
[ありがとうございます。それでは日付と時刻ですが――――]
そのまま俺と柴田さんは細かい時刻を話し合って電話を切った。
「どういう話だったんすか? なんか、大会に関することだったみたいですけど」
「あぁ、実は……」
先ほどまでの会話の全容を聞かせると、カズサは「なるほど」と頷く。
「まさか運営からそんな話が直接来るとは……アタシたち、動画投稿してからそんなに経ってないっすよね? 運営も良くやりますよ」
「バズってるバズってるとは思ってたけどな」
そう言いながらも、俺は内心ニヤニヤが止められなかった。戸惑いもあるんだけど、なんだかんだ言ってこういう扱いも「俺たちは特別だ」って言われてるみたいで、何か嬉しい。
我ながら内弁慶のくせして、自己顕示欲が強いもんだ。
「何か話してたらちょっと眼が冴えちまった。俺、ちょっと小腹満たしてから寝るわ」
「食べてすぐに寝たら太るっすよ? ユースケ、ただでさえ最近体のあちこちがプニプニしてるのに」
……カロリーオフなゼリーにするから、良いんだもん。これも全て、カズサのご飯が美味しいのがいけないんだ。
「いやいや、致命的な原因はユースケがお風呂上りにアイスばっかり食べてることっすからね? アタシこれでも栄養バランスとか考えてますし」
そんな以心伝心はいらない。
「そっちの方が寝つきが良いんだよ、個人的に。カズサはどうする?」
「んー……アタシもお茶でも飲んでから寝ましょうかね。エネルギーゲージも微妙に減ってますし」
そう言うと、俺たちは一旦仮眠室を出て、ギルド内に展開されているコンビニへ向かう。その道中、すれ違う通行人は皆、一度は俺たちに視線を向けていた。
「……何か、最近見られることが多くないっすか?」
「……これが有名税って奴だな」
「マジっすか」
以前呼び名関連で通行人から白い眼で見られたものだけど、今となっては好奇や尊敬のようなものが入り混じった視線を、ギルドや街を歩いていると向けられるようになった。
街中やギルドで有名冒険者が通り過ぎれば、俺だって思わず視線で追いかける。特にギルドに出入りする人間っていうのは、冒険者に対するアンテナを張ってたりするからな。ちょっと落ち着かないけど……嫌いじゃない。優越感の浸れるから嫌いじゃないよ、この視線。
そうして少し通路を進み、総合受付の前を通り過ぎると、三十代後半くらいのスーツを着た男性がこちらを見るなり近付いてきた。
「おお、雄介君! 丁度良かった、今少しだけ良いかな?」
「吉川さん? どうかしました?」
この人は吉川さん。昔から面識がある親父の部下で、カズサの件でも色々とお世話になった人だ。
そんな吉川さんだが、今は単身赴任中の親父に代わって支部長代理。何時もはビシッと着こなしたスーツもどこかくたびれている。よく見て見ると周りの職員たちも似たような感じだ。
「何か、大変そうですね」
「まぁ、君たちのおかげでね」
「え? アタシら、なんかしました?」
「おっと、非難している訳じゃない。ただ、君たちの動画を皮切りに、ギルド所属のアイテムマスターの業務改変が大々的に行われていてね……どこのギルドもその対応に追われているんだ」
少し詳しく話を聞いてみると、俺がこれまで上げた【アイテム強化】スキルに関する動画……特に強化槌関連が、ギルドを始めとしたアイテムマスターを雇用する組織に衝撃を与えたらしい。
「アイテムマスター自体が少数派で、強化槌やオーブは冒険者本人が使うのが主流だっただけに、【アイテム強化】スキルを持ったアイテムマスターが、スキルを付与するマジックアイテムを使うと一ランク上のスキルに昇華されるというのは我々にとって革新的だ。これまで主にマジックアイテムの調合や資源の鑑定がアイテムマスターの仕事だったが、ここ最近は強化槌と装備品を持ってアイテムマスターを訪ねる冒険者が急増しているんだよ」
それでギルドは大急ぎで、所属しているアイテムマスターの業務に装備品の強化を新たに加えるための手続きとかに奔走しているらしい。
オーブや回復ポーションとは違って、攻撃アイテムや強化槌だけは〝自分自身に対してだけ作用する〟という【アイテム強化】の制限を掻い潜れるからな。俺が上げた動画の内容を簡単に参考に出来る、数少ないところだ。
「まさかアタシたちの動画がギルドの仕事にまで影響を与えるとは……これも有名税ですか」
「それ使い方ちょっと違う。それで、話っていうのは?」
「うん。他のアイテムマスターたちでも同じことができるのは証明済みだから、これまで雄介君たちが使ってきた強化槌の効果がどのように作用したのか、それを詳しく――――」
聞きたい……そう言おうとしたのが予想できた、その瞬間。
「ふざけんな‼」
受付全体に響き渡るような怒号に俺たちは肩を跳ね上がらせる。一体何事かと声をした方を見て見ると、そこには苛立った様子で受付の若い女性に詰め寄る新藤がいた。
ご質問があったのでお答えします。
Q『他のアイテムマスターでも搭乗型のアイテムなら戦えますか?
まさかの撮影用のカメラってドローンみたいに飛ぶんじゃ無くて手持ち
あと、スキルで強化できるの?』
A『搭乗型のアイテムがあるのなら、他のアイテムマスターでも戦えますよ。今のところは確認されていませんが、異世界は地球からの情報を得て変化する性質がありますし、このまま雄介たちが活躍していけば、何時かはそういうアイテムがダンジョンでひょっこり見つかる時が来るかと。
あと、魔力のないカメラは強化不可です。例え魔力が込められた魔法のカメラが見つかっても、カメラ自体は装備品扱いになるので、そもそも無理ですけどね』
Q『休憩部屋(シャワーとダブルベッド付きで二時間五百円)ダブルベッドですか・・・命がけのダンジョンアタックの興奮鎮めなきゃですが、もう一桁高くてもいい気がします。
ダンジョン施設なのでカズサはアイテム扱いの1人分価格で500円でしょうか?』
A『一人500円ですね。現実のホテルの休憩なら、半日で4000円とかだったし、娯楽がない代わりに良心価格なネカフェみたいな感じで』
Q『戦闘力800や1000がどう凄いのか、判らない。ここまで、他の冒険者の戦闘シーンが無いので…
+1や+2のカードの初期モンスターでも地道にゲットすれば誰でも辿り着ける数字では?半年一年と最初期のモンスター狩りつづけるだけで相当に戦闘力の数字は上がりませんか?デビューからの制限時間でもあるのでしょうか?』
A『難しい質問ですが、1000もあれば力士でお手玉が出来ますね。確かにランイーターのような最弱モンスターのカードでも地道に上げられますが、広い異世界でモンスターを探す手間や、カードのドロップ率が一割であること。死生活に割く時間なども考慮すれば、半年や一年そこらで高いと称されるだけの戦闘力を得られませんね。勿論、その方法を始めた時の冒険者の戦闘力やスキルによりますが』
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