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ゲームでも毒ったらすぐに治したくなるよね

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください


 毒ガスだ……そんな直感が頭をよぎった瞬間、ホログラム画面上の体力ゲージが緑と紫に点滅しながら徐々に減っていく。

 毒の状態異常だ。慌てて解毒薬を使ったけど、数秒ほどでまた毒状態になってしまった。俺は□ボタンを連続で押しながら、回復ポーションと解毒薬を交互に使って体力バーの減少を防ぐ。


(ケホケホッ!)

(大丈夫か!?)

(だ、大丈夫っす。苦しいですけど、肉体へのダメージはゲージが肩代わりしてくれますし、ユースケがアタシを動かすから戦闘には支障ないっすよ)


 体力が継続的に減ることにさえ目を瞑れば、戦闘の続行は可能だ。後は解毒薬と回復ポーションがどれだけ持つかが勝負を分ける。

 俺は紫色に染まったボス部屋の中央に佇むギョロ木を睨みつけた。まさか、こんな厄介な範囲攻撃を使ってくるとは……!


「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ!!」


 ボゴォッと音を立てながら、ギョロ木は地面に埋まっていた根を地面に出し、それを足代わりにして立ち上がると、猛然とこちらへ向かってきた。

 おいおい……お前、走れるのか!?


(あの骨を全部砕いて、向こうも本気になったって事っすか!?)

(そういう事だろうな……とぉっ!?)


 幾つも分かれた枝部分が独自の意思を持ったヘビのように蠢き、横薙ぎに木偶人形を吹き飛ばそうとした直前にバックステップで回避させる。

 従来の魔法攻撃に加えて、外見よりも素早く動き回る上に、枝も使っての物理攻撃が加えられたことで攻撃が当てにくくなる。更には木偶人形みたいな特殊な奴や、毒対策の装備やスキルがある奴以外は即座に詰みそうな毒ガス……もう花橋ダンジョンの推奨戦闘力、絶対に350じゃ収まらないと思う。

 だがそれは、裏を返せば動かざるを得なくなったという事。さっきみたいに不動の状態で攻撃を受けるのは拙いと言っているようなものだ。 

 

「オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!」


 振り回される枝攻撃に合わせて、斬り結ぶようにガンブレードで迎撃すると、枝は呆気なく寸断されて地面に転がった。

 それを見て俺は確信する。やはりあの骨が砕けたことによってスキルの発動条件が満たせなくなったみたいだ。


(今なら攻撃が通るっすよ!)

(そうしたいんだけど……その前に体力がっ!)


 気が付けば体力ゲージは半分以上削れている。すかさず後退して解毒薬と回復ポーションを使用するが、それに合わせてギョロ木は魔法スキルを発動したらしく、寸断された枝が元通りに戻っていた。


(回復スキルまで使うのかよ!?)


 そうこうしている内にまたしても木偶人形は毒状態に。

 何というクソボス……! 無敵化を突破したと思えば、常時毒にしてくるスキルに回復スキルを使ってくる厄介なモンスターに早変わりとは。


(回復が追い付かないくらい、絶え間なく連続攻撃をするしかないんだけど……!)


 多分だけど、敵の攻撃速度から察するに戦闘力自体は木偶人形の方が大分上だ。インファイトでも勝てる自信はあるし、相手の攻撃に対処しながらでも削り切る自身もある。

 だがそうするには毒状態が厄介すぎる……! 毒によるダメージは戦闘力に影響がない、固定スリップダメージみたいなやつだ。体力が削られたところにギョロ木の攻撃まで受けたら体力ゲージが全部吹き飛びかねない。

 一体どうすればいいのか……対処法が見当たらず時間ばかりが過ぎていき、忙しなく指を動かし、解毒薬と回復ポーションが見る見るなくなっていく中、俺はふとあることに気が付く。

   

(あれ……? 毒状態になる間隔が長くなってる?)


 さっきまで数秒ほどで毒状態になっていた筈なのに、それが数十秒ほどに一回くらいの間隔へと、毒状態になる頻度を下げていた。

 これはもしやと思って木偶人形のスキルカードを確認してみると、そこには俺の想像していた通りのスキルが新たに加わっていた。


(【毒耐性】! ここで会得できたか!)


 何度も繰り返して毒状態になったことで、遂に毒に対する抵抗が出来たのだ。

 とは言っても、このスキルは毒に侵されにくくなるだけのスキル……常に毒が充満しているこのボス部屋の中に居ては、またすぐに毒状態にされてしまう。

 俺は【アイテムボックス】内にある解毒薬と回復ポーションの量を確認する……前もって補充しておいたおかげで、まだ半分ほどあるな。


(……聞いてくれ。今から――――)

(【毒無効】のスキルを取りにいかないか……ですか?)


 俺が言おうとしていた提案を、木偶人形は予見していたように口にする。


(上等っすよ! それで毒が効かなくなるって言うんならこっちのもの……存分にメッタメタにしてやりましょう!)

(……こっちから提案持ちかけようとしておいてなんだけど、良いのか? お前、毒状態になったら苦しいんだろ? それを延々と繰り返すことになるぞ?)

(まぁ、戦いなんて常に苦しいものですし、薬がある限り死にはしません。いざって時は逃げればいいんです。……それに)


 木偶人形は少年のような快活な……何一つ不安のないような明るい笑みを浮かべた。


(ユースケの事、信じてますから。ちゃんとアタシを操って勝たせてくださいね、マスター!)


 八重歯を剥き出しにして力強く笑う木偶人形に、俺は何も言えなくなる。

 それと同時に呆れもした。出会ってまだ一月も経っていない相手にここまで信頼を寄せるなんて人が良すぎる。それともアイテムとして、持ち主の意向には全て沿うようになっているのか?

 ……でも、そういう事情はもうどうでも良かった。我ながらチョロいとは思うけど……とびっきりの美少女の信頼に応えたいって、俺の中の男心が訴えかけてきたから。


(分かった……最後の一本を使い切るまで粘ってみよう。それで駄目なら即撤退ってことで!)


 それからしばらく、俺はコントローラーを操作して木偶人形に回避行動を徹底させながら、毒状態になっては癒して、また毒状態になってと、イタチごっこを繰り広げていた。

 今の木偶人形の戦闘力なら攻撃を避けるのは簡単。後は薬の残数との勝負になる。


(まだか……? まだ、【毒無効】を会得しないのか……!?)


 見る見る内に【アイテムボックス】から消えていく解毒薬と回復ポーション。

 その残量が二十、十、五とあっという間に減っていく中、俺たちは虎視眈々とその時を待ち続けた。

 毒が効かなくさえなれば、このうざったい毒ガスに構わず、思う存分戦える。そうなった時が決着だ。


(ラスト一個も使い切ったら……)

(全力で逃げの一手ですね。そうなったらまたリベンジに来ましょう!)

 

 そして遂にラスト一個の解毒薬を使うために□ボタンに親指を添えるが……俺がそのボタンを押すことは無かった。


(よしっ! 来たぞ……! 【毒無効】のスキルが……!)


 危なかった……この最後の解毒薬を使う時が撤退の合図だったけど、【毒耐性】が【毒無効】に変化したことで、その必要性は完全に無くなった。


(さて……これがどういう事か分かるか?)

(反撃タイムって事っすよね。今まで毒ガスで好き放題してくれた、お返しをしてやろうじゃないっすか)


 ふっふっふっ……と、木偶人形と不敵な笑みをこぼしながら、【オーラブレード】を発動する。


「オ゛…………オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!!」


 光輝く刃を見たからか、あるいは俺たちから発せられる不穏な気配を察したのか、ギョロ木は牽制するように毒球を連続発射してきた。

 それに魔力の弾丸をぶつけて相殺すると、弾け飛んだ毒球の飛沫を木偶人形は盛大に浴びるが……ダメージは0。毒状態にすらならない。


(これでお前の魔法も無効……今トドメをくれてやる!)


 地面を割るような踏み込みによって、急加速しながら近接戦に持ち込む。

 それに対してギョロ木は枝を縦横無尽に振り回しながら迎撃を始めるが、【オーラブレード】によって切断力が上がったガンブレードが眼にも留まらない速さで何度も何度も閃き、ギョロ木の枝を片っ端から剪定していく。それこそ、回復スキルが間に合わないくらいに。


「オ゛……オ゛オ゛オ゛……オ゛オ゛ォ゛……ッ!」


 やがて枝が根こそぎ斬り飛ばされ、攻撃手段を失ったギョロ木。文字通り手も足も出せなくなった醜悪な目玉だらけの幹を、限界まで溜めた【チャージショット】で木端微塵に砕き、貫いてやった。



面白いと思っていただければ、お手数ですが下の☆☆☆☆☆から評価ポイントを入れて下されると幸いです。

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― 新着の感想 ―
No estuvo mal el capítulo, pero a la vez fue predecible el resultado, ya que la acción donde logran …
[気になる点] 弱毒無効とかじゃないのよね?全毒無効なら簡単すぎやしない??
[気になる点] 八谷と二村に「疲れて眠いから詳しいことはまた話す」と返してから数日経っていますが、まだ話さないんですか?
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